2009年 4月 29日（水）

• 『週刊金曜日（09/4/17）』より。
  • 英国は消費税率を下げている（P51-、竹信三恵子「「経済危機対策」という美名で企業へばらまき　働き手“二の次”政策は総選挙で評価しよう」）
    　ちなみに、英国では金融危機対策として、消費税率の一時下げ措置もとっている。将来は、消費税を戻すが、代わりに所得税の増税で高所得者の負担を増やす見込みだ。低所得者たちに直接お金をまわす方法に知恵を絞らなければならないときに、日本では相変わらずの「企業経由でお金を流す方式」が幅をきかせる。
    ↓
    英国の消費税率はもともと高いとはいえ、 食料品・水道水・書籍（雑誌や新聞も）・国内旅客輸送・医薬品などは初めから税率０％ですし、医療・教育・郵便・福祉は非課税です。こうした危機の時には、高所得者の負担を増やすことはあっても、「弱者を守ろうとする」ことが優先されるのが自然な「お国柄」なのですね。
    「消費税率を下げても、今回の金融危機には焼け石に水。売上が落ちれば意味無い」というのは乱暴な議論だと思います。第１の目的は「売上を上げること」ではなく「低所得者の負担を軽減すること」だからです。今回のような危機に際しても「高所得者優遇」「低所得者冷遇」を続ける日本は、英国以下の冷たい国とも言えます。
    ところで、「企業経由でお金を流す方式」が幅をきかせる というピント外れで効率の悪い税金投入も、企業から政党への献金を無くせば解消されるのでしょうね（笑）。

2009年 4月 20日（月）

• 鳥越俊太郎「誠意が見えない」（毎日新聞・朝刊）
  　「朝日新聞『阪神支局』襲撃事件　『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」
  　4月16日発売（4月23日号）の週刊新潮にこうした見出しを掲げ、10ページにわたる取材開始から連載（４回）に至る経緯の“検証記事”が掲載されました。
  　週刊誌が２、３の 名誉毀損訴訟を抱えているのは周知の事実ですが、週刊新潮は中でも群を抜いて訴訟が多い、というのは業界のいわば“常識”です。…
  　そんな週刊新潮でもこれだけのページを割いて誤報を認め、おわびをしたのは初めてでしょう。前代未聞の出来事です。前代未聞の出来事ですが、その“検証記事”たるや、自分たちが騙された被害者だといわんばかりの言い訳に終始し、「真実」を直視しすべてを明らかにするメディアとしての誠意は全く感じられない──これが私の率直な読後感です。
  　問題点を２点指摘しておきます。
  　検証記事を書いた早川清編集長は「結果的に誤報だったが、捏造したわけではない」ことを強調しています。しかし、私の考えによれば、この考え方がそもそもおかしい、誠意のない点なのです。
  　全くの事実無根の記事を掲載した時点で週刊新潮は「捏造」に加担しているのです。同誌を騙したと言われる島村征憲氏と週刊新潮は「捏造記事」をデッチ上げた“共同正犯”関係にある。つまり、同誌は捏造の共犯であり、加害者なのです。被害者面をするのは、卑怯であり、誠意のない対応といえるでしょう。
  　次に今回の検証記事が、一連の連載記事を取材・掲載したチーム（３人＝編集長、デスク、記者）の責任者早川清編集長の名前で書かれている点に大きな疑問を抱きます。誤報の当事者が誤報の検証をして誰が信用するでしょうか。その検証のあり方が「自分の都合の悪いことには触れず都合のいい部分だけを出している」との印象を読者に抱かせるのは当然ともいえます。
  　ここは、誤報検証は第三者に依頼する──というメディア業界のルールに立たなければ、失われた信用は決して戻らないでしょう。
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  全くその通りなのですが、そもそも『週刊新潮』に失うだけの信用があったのか、というと疑問です（騙されている人々は多いと思いますが……。とはいえ今回の一件で『週刊新潮』の本質に「気付く」人は残念ながら少ないのだろうなー）。
  政治的には自民党の機関誌のような「弱者いじめ」の最右翼。偉そうに国家や社会の対立を煽るだけで、日本を精神的鎖国へと導く一翼を担っている無責任で下品な雑誌。それだけならまだしも……
  イラクで人質にされた同胞である日本人３名に対して『週刊新潮』が極めて卑劣な個人攻撃を行って以来、新潮社に対する不買運動を継続していますが、今回のような不祥事や誠意のカケラもない対応を見るにつけ、やはり不買運動をしていて正解だったと思いますね。
  新潮社が無くなっても困ることはないし、まだまだ不買運動を続けることになりそうです（それにしても、こんなに気分が爽やかな不買運動も珍しい……笑）。

2009年 4月 16日（木）

• 『週刊金曜日（09/4/10）』より。
  • 米軍の核兵器が日本人を殺す（P18-、「イ・シウ（李時雨）氏に聞く　米国の劣化ウラン弾は韓国・日本の国民にとっても恐ろしい」）
    ●保管だけでも高い危険度
    ──イさんは沖縄にも劣化ウラン弾がたくさん貯蔵されていることを知らせてくれました。米軍の劣化ウラン弾を日本と韓国の人々が一緒になってなくす道はありますか。
    　韓国と日本の共通の課題だと私は思っています。劣化ウラン弾は韓国と日本の両方に脅威をもたらしているということを認識する必要があります。沖縄の嘉手納基地には４０万発があります。沖縄と韓国のそれを合わせると３００万発を超えます。米軍は１９９１年の湾岸戦争で約９０万発を使っていますが、その３倍以上の量です。
    　米軍にとって、韓国、日本の間の国境は意味のないものだと思います。配置先の違いでしかありません。
    　そして核兵器と同様の問題があります。核兵器について（米軍には）フィールド・マニュアルがあります。これによれば、（核兵器を）守ることができないとき、たとえば戦争に負けそうなときやテロリストが入ってきて危機に陥ったときとかに、撤退しなければならなくなったときには緊急破壊しなければならない。敵の手に渡すよりは破壊するということです。
    　このフィールド・マニュアルはすべての兵器に適用されます。劣化ウラン弾にも適用されるのです。ですから劣化ウラン弾は敵に向けて使われるだけでなく、ミスや不幸なことがあった場合には、（韓国や日本の）国民に向けても「使われる」。貯蔵自体が危険なのです。
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    そうか、軍隊というのは、形勢が不利になったら、自分たちの兵器を緊急破壊するのですね。
    当然ながら、日本の米軍基地にも配備されている「核兵器」＝「劣化ウラン弾」も例外ではない、と。
    そして、劣化ウラン弾の破壊により汚染されるのは我が祖国・日本と、同胞である日本人たち。
    文字通り「保管だけでも危険」なわけです。

2009年 4月 11日（土）

• 『週刊金曜日（09/4/3）』より。
  • 松下電器の偽装請負を告発させない「労働組合」と「連合」は、誰のために存在しているのか？（P20-、村上恭介「連合大阪の言論抑圧を元副会長が提訴」）
    企業の不正を監視すべき連合大阪（４１万人）で、実名での企業批判が原則禁止とされ、役職員の原稿や講演内容は幹部が事前検閲するという、時代錯誤の言論統制が行われていた。連合に組合活動の自由はないのか？
    　連合大阪の副会長などを歴任し、嘱託職員の立場で労働相談活動に従事していた要宏輝さん（６５歳）は今年１月、言論・出版活動に不当な干渉を受けたとして、連合大阪に慰謝料５００万円の支払いを求める提訴を大阪地裁に起こした。
    　発端は松下電器（現・パナソニック）の「偽装請負」問題である。
    　訴状によると、要さんは２００６年秋、労働専門誌の依頼で「究極のコストパフォーマンス『雇用のない経営』」と題する原稿を書いた。当時、松下電器やキヤノンなど製造業大手で拡がっていた偽装請負の実態を批判し、労組が果たすべき役割を詳細に提起した論文である。松下電器については違法な偽装請負を「合法的」に続けるべく、松下プラズマディスプレイの社員２００人を請負会社に大量出向させ、請負労働者を直接指揮・命令するという脱法行為を図った事実を指摘し、経営者のモラルハザードの一例に挙げていた。
    　連合大阪の学習会で要論文のゲラ刷りを見た松下電器労組の関係者はこの内容に激怒、電機連合大阪地方協議会を通じて連合大阪に抗議する事態になった。
    　会社の違法行為をただす論文に労組が抗議するのも珍妙な話だが、その要旨は (1)連合大阪の役職員名を使って加盟労組が属する企業（松下電器）の行動を批判するのは許せない (2)問題の大量出向は当時、相談に行った労働局の指導で行った（労働局は否定） (3)論文発表前に松下労組や電機連合に事情聴取しなかった──という点にある。記述内容の是非ではなく、組合に断りなく松下電器を批判したことに抗議したのである。
    ●松下が吠えれば連合は萎縮
    　この抗議にあわてた連合大阪は同年１１月、「貴組織および当該労組等に多大なご迷惑をおかけした」「今後、連合傘下の組合がある企業名は、よほどのことがない限り『匿名』とする」などとした事務局長名の「謝罪文」を電機連合側に提出した。
    ↓
    松下電器（現・パナソニック）労働組合の御用組合ぶりは有名ですが、ここまで酷いとは……。しかも、それをそのまま受け入れる連合大阪も完全に職務を放棄してますね。
    労働者よりも経営者の方を向いている連合。大企業の「法律違反」に手を貸す連合。だから連合はダメなんだ！（もっとしっかりしてくれよ！！）

2009年 4月 4日（土）

• 『週刊金曜日（09/3/27）』より。
  • つらくても“自己責任論”には走らずに、現実の問題を解決するために知恵を絞り、行動しよう（P28-、「“労労対立”を超えるために　反貧困ネットワーク事務局長　湯浅誠さんに聞く」）
    ●みんな追い詰められて自己責任論が強まる
    ──働きたくても働けない状況なのに、あいつらは働かないのだという意識が根強いわけですね。
    　お金がなくて服も着替えられないとか、洗濯に行けないとか、面接に行く交通費がない。そういう実態は、遠くから見ている人には分からない。航空写真を見ているようなものです。航空写真を見て、ちゃんと道路が敷いてあるのに歩かないのは、歩く気がないからだという話になるのですが、実際に歩くと凸凹で穴だらけだったりするんです。自分が見ているのは航空写真だと意識すれば、実際に歩いてみるとどうかと考えるはずですが、自覚がないので、道は敷いてあるではないか、歩かないのは自分の責任だとなる。
    　自己責任論は余裕がない人が使うものなんですよね。みんないま追い詰められているので、要するに自分の生き残りや、自分の職場の仕事をこなすのに、あるいは自分の家庭を切り盛りするのに必死だから、他人のことなど構っていられない。一番手っ取り早い解決策は、本人が悪いという理屈なのです。全体的に追い詰められていっているということと、自己責任論が強くなるのは、矛盾しない。むしろそういうものなんですよね。だから、基本底流みたいなのは、なかなかそう簡単には変わらんだろうと思いますよ。
    ↓
    この人（湯浅誠さん）はちゃんと見えている。 やはり現場にいるからですね。
    比較的安全な場所にいながら“自己責任論”を主張したり、“労労対立”（例えば、正規雇用と非正規雇用の間の対立）を煽るような連中は、現場から離れた（例えば、ネット上の議論にしか参加しないような）輩でしょう。どれだけ現場の生の声を聴いているのか？　まず間違いなく「ゼロ」か、それに限りなく近いと思います。
    非正規雇用労働者を合法的にホイホイ解雇できるような法律を作った小泉元首相や自民党・公明党が主犯なのは明らかですが、ピント外れの“自己責任論”で自民党・公明党を擁護している輩も同罪だと思います。“自己責任論”で政府や企業を甘やかしている間にも、日本の労働環境は悪化するばかりです。ひいては日本の国力の喪失につながります（そしてこれは、近未来における、欧米や新興国に対する「敗北」とも直結している）。
    結果的に“自己責任論者”は目の前の大問題から目をそらすことを周囲に勧めているだけ、ということに早く気付いて欲しいですね。あまりにも無責任すぎませんか？