○○○ (気付いたときには) 遅すぎる日記 ○○○
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2016年 8月 2日(火)
『週刊金曜日(16/7/22)』
より。
無知なら投票しない方がいい
(P18、白井聡「争点設定以前の問題」)
今回
(2016年7月の参院選のこと)
私にとって最も印象深かった点は、有権者の無知である
。「本当の争点は改憲」というアピールを野党も私を含む専門家も、選挙期間中に繰り返したが、それは浸透しなかった。『高知新聞』の調査が明らかにしたのは、改憲発議を可能にする「3分の2」の意味を理解していたのは、わずか17%。同様の調査を『神奈川新聞』も行ったところ、7割弱が理解していなかった。自民党改憲草案を読んだことのある人はもっと少ない。そして、これまた当然のことながら、投票率は低迷したままにとどまった。
これらのことが何を意味するか。森達也氏が
「棄権していい。へたに投票しないでくれ」
と題して、
「『憲法を守りたい』と『自民党支持』がなんとなくイコールになってしまっているレベルなら投票しない方がいい」
との主張を述べ(『週刊プレイボーイ』2016年6月27日発売号)物議を醸しているが、この主張は全くの正論だ。今回の選挙で自民党を支持することとは自民党主導の改憲に賛成することである、という自明の理を理解していないほど盲目な有権者が大多数なのである。はっきり言えば、こんな状態で普通選挙が行われていることの方がよほど奇妙である。
したがって、リベラル・左派の「投票率が上がれば、自公政権を葬れる」という観念は、捨て去る必要がある。有権者が右に述べた状態にある限り、投票率が上がったところで、結果はむしろ悪くなる可能性が高い。この現実からどんな戦略を立てるか。自民党は18歳への選挙権年齢の引き下げをこうした現実を見透して実行したのであり、権利拡大などに彼らは何の興味もない。求められるのは、自民党のリアリズムよりももっとリアルな戦略の発明である。
↓
まさにその通り。よく言われる「投票へ行こう!」だけでは政治は変わらない(自民党を利するだけでは?)と以前から思っていました。「投票へ行こう。そして自民・公明・維新以外に入れよう!」と常にセットで訴えなければ、改憲をはじめとする悪政の阻止にはつながらないだろうと。
さて、本稿の重要な指摘
「棄権していい。へたに投票しないでくれ」
(森達也)は日本の選挙の本質を鋭くえぐり取っていると思いました。日頃からマスコミに「洗脳」された大多数の無知な人々が「平穏な日常」を求めると、現状維持で自民党に投票してしまう(しかし現実には「平穏な日常」から遠ざかっていく)というパラドックス。正確には、権力者(政権党とマスコミ)によって作られた
悪質な人工パラドックス
ですけどね。
大手マスコミの上層部が実質的に現政権とベッタリな関係にある以上、マスコミに自浄作用を期待するのは無理と考えた方が良いでしょう。インターネットは有力な媒体ですが、上手く使ったとしても、国民の半分にも届かない。だから、ネット対策はもちろん必要ですが、それだけでもダメ。
さらに悪いことに、上手に「洗脳」された大多数の国民は、国会の意味も、憲法の意味も、ほとんど理解していない。
なかなか難しい課題ですが、かならず解法はあるはずです。決して諦めずに、明るく楽しく考え続けることが大事ですね。
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