2005年 1月 30日（日）

• 『週刊金曜日（05/1/21）』より。
  • 官僚化したＮＨＫ（P8-、本誌取材班「大メディアの正体　第２回　ヨン様から“兵器展”まで貪欲なＮＨＫ商法」）
    ＮＨＫが“官僚化”する原因に、ＮＨＫの関連団体展開と、そこでの人事があるといわれる。海老沢勝二会長など経営幹部に気に入られれば“天下り”先を世話してもらえるのなら、働き方がどうなるかは明らかだろう。しかも、公共放送ＮＨＫ本体では難しい“金もうけ”に関連団体は使われているのだ。…
    ＮＨＫの子会社など３４の関連団体は、ＮＨＫ職員の「天下り」の受け皿にもなっている。なかでも子会社の役員は、ＮＨＫ出身者が約７割を占めている。
    もちろん、中央官庁の役人と同様、優雅な第２の人生を送ることになるのは言うまでもない。イベント事業担当の子会社「ＮＨＫプロモーション」にＮＨＫから天下り、社長を務めていたＵ氏の場合はこうだ。
    ＮＨＫ大阪放送局長として定年を迎えたＵ氏は、まず３０００万円強の退職金を手にした（ＮＨＫ職員の平均退職金は２４９１万円）。ＮＨＫプロモーションに天下ったＵ氏は、ここで４年間務める間に専務から社長になり、二度目の退職金として約５００万円をもらった。
    しかも同社の顧問に就任できたため、最高額で年間６００万円の給与を２年間受け取れることになった。子会社時代の給与と退職金と顧問料を合わせると４０００万円は下らないだろう。
    こうしたＮＨＫ幹部の天下りについて、海老沢勝二会長は「普通の会社でやっているのと同じやり方と認識している」と国会で答弁、問題視していない。
    天下り社長の“役得”は他にもある。２００２年５月２８日から６月５日までＵ氏は、イスタンブールからパリ、プラハ、再びパリへと回る欧州視察に出かけた。しかも帰国便ではＮＨＫによく出る女性タレントと隣り合わせになるという“幸運”にも恵まれた。
    だが、その後が大変。この海外出張が参議院（０３年３月２７日の総務委員会）で取り上げられたのだ。追及したのは宮本岳志前議員（共産党）。「（Ｕ氏の）前任の社長も退職直前にスイスに行っていましたが、Ｕ氏も社長退任の２週間前に海外視察をしていた。慰安旅行ではないのかと思って質問しました」（宮本氏）
    これに対しＮＨＫの山田勝美理事（当時）は「全くの事実無根。本人の名誉を著しく傷つける」と反論しながらこう説明した。「ＮＨＫとＮＨＫプロモーションがトルコ関連の展覧会を開く予定になっていて、その下見と今後の業務展開に資するために現地の美術館、博物館を訪れた」
    宮本前議員はあきれた。
    「帰国して２週間後に退任する社長がトルコ文明展のリサーチに行った。こんな説明では視聴者の納得は得られない」
    ↓
    2005年1月29日の毎日新聞・朝刊によると「ＮＨＫ　海老沢氏ら顧問辞任　6500件抗議受け」とのことですが、橋本新会長は「顧問任命自体は「業務を円滑にするためのもので、判断は間違っていなかった」」と考えているとのこと。
    海老沢前会長に支払われる退職金１億２千万円（元は受信料です！）といい、ＮＨＫ職員の「常識」は、世間の「非常識」ですね。
    --
  • 「メキシコ産」牛肉に注意！（P32-、和田泰明「ブッシュのために食の安全を犠牲にした小泉首相　米国産牛肉輸入疑惑の背景」）
    小泉首相はブッシュ再選のために米国産牛肉輸入を決断してしまった。だが、一方で、すでに米国産牛肉がメキシコ経由で日本に上陸している疑惑がある。…
    日本はこれまでも、わずかばかりメキシコから牛肉を輸入していた。ただ、例年１トンあるかどうかで、０３年はわずか０.２トン。そもそもメキシコは、日本と同様、牛肉の輸出国ではない。
    しかし０４年９月までのメキシコからの輸入量は、８６５トンに急増している。
    確かに米国やオーストラリア産に比べれば微々たる量だ。これを不気味と書いたのは、メキシコが同年３月、米国産牛肉を輸入再開しているからだ。
    おわかりであろう。米国産牛肉が、メキシコを迂回して日本に入っているのではないか、という不安である。
    実際、その不安通りの事件が、韓国で起こってしまった。
    同年７月下旬、メキシコのある業者から輸入した３８トンに、２８７キログラムの米国産牛肉が交ざっていた。これを受け、韓国農林部は１０月中旬まで、同業者からの輸入を禁止し、ほかの業者の牛肉も、すべて開封検査を行なった。農林省衛生管理課はいう。
    「日本は、３０のメキシコの業者から輸入しているが、すべて、メキシコ政府の輸出証明書をつけさせている。韓国に米国産牛肉を持ち込んでいた業者は、この中に入っていない」
    しかし、同省はこの証明書自体の真偽をチェックしていない。
    ↓
    なるほど、たしかに、あやしいなぁ、こりゃ…。
    ホントに、いろんな手を考えますね。

2005年 1月 26日（水）

• ＮＨＫ　海老沢会長が辞任　橋本─永井体制に　05年度予算 初の前年度割れ　“院政”の疑念消えず（毎日新聞・朝刊）
  ＮＨＫの海老沢勝二会長（70）は、一連の不祥事による受信料不払い急増の責任を取り、25日の経営委員会（委員長、石原邦夫東京海上日動火災保険社長）に辞表を提出した。海老沢氏はＮＨＫ顧問に就任する見通し。
  ↓
  はぁ？　 海老沢はＮＨＫから完全に離れるんじゃなかったのか？　何でＮＨＫ顧問などというオイシイ地位を用意してるんだ！？
  まあ、今回の一件で、ＮＨＫが腐っていると感じたら、受信料を支払わなければ良い（＝ 私たち視聴者の不払いによって、ＮＨＫを動かすことができる）ということが証明されたのは、大きな前進だと思いますが…。
  言うまでもなく、（海老沢が会長を辞任しただけでは）まだ支払いを再開すべきではありませんよ！　＞現在、不払いを実行している皆様！

2005年 1月 25日（火）

• 朝日とＮＨＫの大げんか　陰でほくそ笑むのは誰だ（毎日新聞・朝刊、牧太郎（社会部）「記者の目」）
  朝日新聞も、ＮＨＫも、それなりに良質なメディアだと思っている。でも突然ウブなことを言い出されると、こちらがドギマギしてしまう。「ＮＨＫの番組改変に政治家の介入があった」と初めて知ったかのようにスクープする朝日新聞。「圧力を感じなかった」と強弁するＮＨＫ……。冗談じゃない。陰に陽に“介入”が行われているのは永田町の常識ではなかったのか。ウブな顔で正義ぶったり、被害者ぶったり。冷静になってほしい。
  半日常的に「権力」から介入され、圧力を受けながら、それを上手にくぐり抜け「真実（に極めて近い事実）」を報道するのが、ジャーナリズム。両者のけんかを陰で喜んでいる人がごまんといることを、僕は悲しく思う。
  政治的圧力は過去も現在も、どこにでも存在する。例えば某特殊法人のトップは某政治家の無理難題を断り「宣戦布告だ！」と脅された。その政治家の背後に「闇の勢力」が存在するから周囲も緊張する。最近この事実を知ったが、僕は書かない。明白な犯罪行為とは言えないうえ、報道したことで１つ間違えると人命が危うくなるからだ。
  別の特殊法人のトップはある政治家から「言いなりにならないのなら、○○省関連の法案をすべて廃案にする」と脅された。この圧力も知ったが、これは書く必要がない。単なる駆け引きで、政界では日常茶飯事なのだ。…
  圧力をかける時「権力」は表に出ない。第三者の意見という形を取る。「ご意見ですが、書きます」と答えた後、もう一度関係者を再取材すると、数人が「あれは勘違いだった」と証言を一変させた。これは明らかに介入だ。
  それでも、核心を証言した人物の１人が同僚記者にこう話した。「首相官邸からお達しがありました。昨日お話ししたことは忘れて下さい。でもどうしても記事にして裁判になったら、私は毎日新聞の味方です」
  勇気づけられた。記事にした。首相官邸から抗議はこなかった。記事と微妙に関係したようだが、内閣は短命だった。…
  我々には、最後まで守らなければならない一線がある。憲法21条の第２項で「検閲は、これをしてはならない」と定めた民主主義の根幹である。メディアの日常的な自己規制が事前検閲になってしまったら、民主主義は死ぬ。
  ↓
  こういう記事が載るから、毎日新聞は面白いですね。
  「権力」 からの圧力を上手にくぐり抜け「真実（に極めて近い事実）」を報道するのが「良心的な商業ジャーナリズム」（≠真のジャーナリズム）だとは思います。
  毎日新聞には、「良心的な商業ジャーナリズム」の範囲内でも構いませんから、これまで以上に頑張って「真実（に極めて近い事実）」を報道してほしいと思います。
  これからも、厳しくチェックさせて頂きますよ！（読む価値のある限り、購読料で応援しつつ…）＞毎日新聞

2005年 1月 21日（金）

• 『週刊金曜日（05/1/14）』より。
  • ＮＨＫの腐敗について、過去の２例を紹介（P8-、本誌取材班「大メディアの正体　第１回　ＮＨＫを覆う本当の腐敗」）
    • また、元ＮＨＫ記者は本誌取材班にこう打ち明ける。
      「ＮＨＫは頂点に政治部が君臨している。政治部に逆らうものは地方や“政治犯収容所”と呼ばれる放送文化研究所に飛ばされることが少なくありません」
      ２００３年５月、政治部出身の海老沢独裁体制を象徴する事件が起きた。会長直系で次期会長候補とされる諸星衛理事が突然、５月１２日に放送予定だった「クローズアップ現代　終わらない戦争（仮題）」を放送中止にしたというのだ。
      実は、この番組企画が具体化した背景には、ＮＨＫの報道姿勢がある。当時、ＮＨＫは米軍への従軍取材を進める一方、バグダッドなど一般人に犠牲者が相次ぐ現場に記者やカメラマンが残るのを許さなかった。ワシントン支局の手嶋龍一支局長（政治部出身）の報告にもブッシュ政権に都合がいい内容が目立った。このため、「米国寄りの偏向報道」といった批判がＮＨＫに寄せられ、受信料支払いを止めた視聴者も相次いだ。
      ＮＨＫ内部からも疑問の声が上がり、「クローズアップ現代」の企画が具体化、外部の記者との共同制作により、イラク側の視点から戦争の現実を伝えようとしたというのだ。
      企画・提案・編集は、報道局国際部と番組制作局社会情報番組部が進め、二人三脚を組んだ外部の記者は４月下旬にかけてバグダッドの市民生活を密着取材した。自爆テロを警戒して子連れの父親にまで銃を向ける米兵、自由に街を歩くことができない市民、戦死した市民の遺体を庭に埋めるしかない病院、それを掘り起こして行方不明の家族を探す人々などの映像を収めた。編集は４月末から始まり、試写をみた国際部の記者からは「自信をもって放送できる」との声が出たという。
      しかし放送予定の５日前の５月７日、番組担当の管理職が「クローズアップ現代」担当の諸星理事に呼ばれ、「ＮＨＫが取材していない内容を主とする番組を放送する訳にはいかない。番組は没にして他の番組で穴埋めせよ」との内容の中止命令が発せられたという。
      企画会議で没になる提案はいくらでもあるが、「企画会議を通り、取材や編集まで終わった番組をトップダウンで放送中止にするのはきわめて異例」（ＮＨＫ関係者）のため、管理職は一丸となって諸星理事との交渉を繰り返したが、最終的に決裂。別の放送枠で復活させる話も潰されたという。
      ＮＨＫ経営広報部は当時、「この番組の放送が決まっていたわけではない。フリーの記者の映像だから取り上げなかったわけではなく、ＮＨＫの自主的な編集判断」と答えている。ＮＨＫの面子で放送を中止したのなら、報道機関の使命を放棄したに等しいし、戦争被害の映像が好ましくないと考えたのなら、ブッシュ政権や追随する小泉政権の広報機関と言われても仕方がない。
    • ８１年２月４日には、当時ニュースの看板番組「ＮＣ９」で放送する予定だった「ロッキード事件５年─田中角栄の光と影」という１５分ほどの短い特集の一部が突如、島桂次報道局長（当時、以下同）の業務命令で放送中止となった。
      制作にあたった政治部や社会部を中心に猛烈な抗議が起こり、島局長は最善の方法ではなかったと譲歩するような見解を出し、事態は収束した。ところが、５カ月後の７月６日、放送中止の業務命令の撤回を求めて活動した部長やデスクが報復人事で現場を追われ「ＮＨＫニュースが死んだ日」と大騒ぎになった。
      島氏が後に書いた『シマゲジ風雲録─放送と権力・40年』によると、二階堂進・自民党総務会長が坂本朝一ＮＨＫ会長に特別番組を手控えるように要請。坂本会長と中塚副会長が番組の放送中止を島局長に求めたため、島局長が「経営陣が日放労の上田哲委員長と手を切ること」を条件に放送を中止させたという。
      島氏は８２年に理事となってＮＨＫの実権を握り、８９年４月には会長にまで登り詰めた。ところが島氏が９０年４月、腹心だった海老沢理事（現会長）を更迭したことから、海老沢氏が島氏のスキャンダルを野中広務ら竹下派にリーク、島会長は失脚した。政治部時代、海老沢氏は田中派（経世会）、島氏は福田派（森派）の派閥記者だった。
      海老沢会長が再選される直前の２０００年５月。森喜朗首相が「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞ……」と発言した際、窮地に立たされた森首相に対し、記者会見の対応策などを指南するペーパーが見つかった。ＮＨＫは作成を否定しているが、ＮＨＫ官邸担当記者が作成したとみられている。
      川崎 泰資氏（椙山女学園大学教授、元ＮＨＫ政治部記者）はこう明かす。
      「ＮＨＫは、昨年７月の人事異動で、指南書を書いた記者を政治部副部長に昇進させています」
      ＮＨＫとは、こういう組織なのだ。
      ↓
      ＮＨＫのドロドロ具合が良く分かる記事です。ＮＨＫは、外部（自民党の政治家）からも圧力が掛かるし、内部でも「自主的に」圧力を掛けているのですね。これが、我が国の「公共放送」の実態です。
      「ＮＨＫ特番問題」も、本質は「ＮＨＫ 対 朝日新聞」ではなく「ＮＨＫ 対 政治家」（ＮＨＫが報道の独立性を守れているか否か）なのですが、現在の議論は枝葉の方に走っている（← 実は、体制側が混乱を狙って実行している）ので、誤魔化されないように要注意です！
      常に、こうした「メタな視点」を忘れないようにしましょう（さもないと某政治家が大喜びしますよ！）。
      --
  • まるで戦時下の言論弾圧　またもビラ配りで逮捕（P5、金曜アンテナ）
    昨年１２月２３日、東京都葛飾区のマンションで、日本共産党の「都議会報告」「区議団だより」などを各戸新聞受けに配布中の男性Ａさん（５７歳）が、亀有警察署に住居不法侵入容疑で逮捕された。
    Ａさんの弁護士によると、Ａさんはこのマンションに住む男性に「何をまいているんだ。やめろ！」などと呼び止められたため、「正当な政治活動だが、あなたが入れてほしくないのなら入れない」と応じた。しかし男性は携帯電話で警察に連絡し、「ＰＣ（パトカーのこと）で来い」「ガラ（身柄のこと）はおさえた」など警察用語で話していたという。
    翌２４日、Ａさん宅は家宅捜索され、２５日には東京地検に送検された。…
    同党葛飾区議団の小笠原光雄幹事長は、「立川自衛隊官舎のビラ配布では、無罪判決が出たばかりだ。判決では“政治的ビラは商業的なものよりも尊重すべき”との判断も示されている。それをいきなり逮捕とは、民主主義を侵す行為で、断じて許せない」と怒りをあらわにした。
    ↓
    自民党や公明党のビラ配りなら逮捕しないのでしょうね（ますます露骨になってきました）。
    【参考】官舎にビラ配り無罪　自衛隊派遣反対訴え「法益の侵害、軽微」

2005年 1月 20日（木）

• ＮＨＫ特番　朝日側が抗議「取材幹部、発言翻した」（毎日新聞・夕刊）
  朝日新聞社は19日、ＮＨＫ番組「問われる戦時性暴力」（01年１月30日放送）をめぐる問題で、当時放送総局長だった松尾武ＮＨＫ出版社長が会見で「『政治的圧力は感じなかった』と繰り返し語った」と主張していることについて、「取材時に『圧力を全く感じていない』と松尾氏が話した事実はない」などとする反論を発表した。
  反論によると、松尾氏は取材時に「『圧力は感じますよ』と明言し、『圧力とは感じるが、それは１つの意見だったと聞く耳は持つ』と語った」という。「議員に呼ばれて行かないとどうなるのか」という質問に、「『３、４倍の圧力。放送中止になったかもしれない』と放送中止の可能性にも言及した」としている。
  さらに松尾氏が会見で「『安倍氏とは会ったが、中川氏については記憶が定かではない』と答えた」としていることに対し、「松尾氏は放送前日の１月29日のことについて、『中川さんが先で安倍さんの順ではないか。もう１人、途中でどなたかにお会いして車で移動した』と同じ日に相次いで面会したことに言及した」としている。
  朝日新聞は同日、「言論に携わる責任ある立場の人が、発言内容を翻したことは誠に遺憾」として、謝罪と訂正を求める抗議文をＮＨＫに送った。
  ↓
  朝日新聞側からは、具体的な会話内容が出てきましたね。生々しくて、リアルに感じます（もし、これが「創作」だとしたら、すごい才能ですね … 笑）。
  さて、ＮＨＫ・松尾氏側は、これに対抗できる具体的な会話内容を今すぐ出せるのかな？　それとも、「記憶にございません」と逃げるのかな？
  ひとつウソをつくと、そのウソを隠すために、またウソをつかなければならない（そして、いずれ破綻する）って子どもの頃に教わりませんでしたか？　今回は、関係者が（政治家も含め）複数名いますから、口裏を合わせるのも大変でしょう。
  ウソをついていなければ、堂々としていられるのですけどね。

2005年 1月 19日（水）

• 朝日の特集紙面　ＮＨＫが抗議文　慰安婦特番問題（毎日新聞・朝刊）
  ＮＨＫの従軍慰安婦をめぐる番組内容変更問題を特集した18日の朝日新聞朝刊紙面についてＮＨＫは同日、朝日新聞に対して、事実と異なるとして訂正を求める抗議文を送った。また、この内容を夜のニュースで報じた。
  抗議文によると、ＮＨＫが同日、朝日が取材した「ＮＨＫ幹部の１人」から事情聴取。その結果、この幹部は朝日の取材に対して、01年１月29日に中川昭一衆院議員に会ったかどうか「記憶は定かではないと回答した」と話したという。また番組の制作過程で「『政治家の圧力は感じなかった』と言った」と答えた──などと、朝日の特集記事を否定している。
  ↓
  「記憶は定かではない」とか「記憶にございません」というのは、「本当は記憶しているのだけれど、立場上、言えません」（笑）という意味ですから、 仮に 上記の証言（「記憶は定かではないと回答した」）が正しかったとしても、それはそれで「29日に会っていた」ということを暴露したに等しいです（政治家も、ＮＨＫ職員も、分かり易い人たちだな〜）。
  もっとも、この「ＮＨＫ幹部の１人」がウソを言っている（または、言わされている）可能性の方が高いと思いますけどね…。つまり、朝日新聞の取材に対しては「29日に中川昭一と会った」「政治家の圧力を感じた」とちゃんと回答していて、今になって「記憶は定かではない」「政治家の圧力は感じなかった」と回答した、ということに変更したと。
  右寄りのサイトの中の幾つかは、この 「ＮＨＫ幹部の１人」の現在の発言を信じ切っているようです（「だから、朝日新聞がウソをついている」という方向に誘導したいらしい…）が、物事の表面しか見ていないと思います。

2005年 1月 18日（火）

• 取材・報道過程　朝日新聞が掲載　ＮＨＫ番組改編問題（毎日新聞・夕刊）
  ＮＨＫの従軍慰安婦をめぐる番組改編問題を報じた朝日新聞の12日の朝刊記事について、同紙は18日朝刊で特集紙面を組み、取材・報道過程を掲載した。
  12日の記事は「ＮＨＫ幹部や中川昭一、安倍晋三衆院議員が述べた内容などを総合した結果」と説明。ＮＨＫ幹部に約２時間取材し、幹部が番組放映前日の01年１月29日に中川、安倍両氏と相次いで面会したことを認め、「『圧力と感じた』」と証言した、と報告している。
  中川氏については、10日に長崎県で電話取材した経緯を明らかにし、一問一答を掲載した。中川氏が１月29日の面会について「会った、会った。議員会館でね」と語り、「あそこを直します、ここを直しますから、やりたいと。それで『だめだ』と」と答えたうえで、放送中止を求めたのかという問いに「まあそりゃそうだ」と述べた、と紹介している。
  さらに「中川氏は記事掲載後、ＮＨＫ幹部と会ったのは放映後であると主張を変えたが、当初の取材に対する応答は、事前としか思えないやりとりを生々しく伝えており、不可解といわざるを得ない」とする横井正彦東京本社社会部長の署名記事を載せている。朝日新聞の12日の記事について中川氏は訂正記事を要求する意向を示している。
  ↓
  一応、記録のために残しておきましょう（笑）。
  どうやら中川昭一は「政治家がマスコミに対して圧力を掛けてはいけない」ということを知らなかったようですね。 ここまで常識の欠如した人間が大きな顔をしているのが自民党です。

2005年 1月 15日（土）

• 『週刊金曜日（05/1/7）』より。 今号は１冊丸ごと「敗戦６０年　そして　これから」特集でした。
  • 「非国民」という言葉の使われ方（P9-、國弘正雄「戦災と政変の修羅場から日本の行く末を視る」）
    戦争を語るとき、今でも私の脳裏に鮮明に蘇ってくる２つの光景がある。１つは神戸大空襲時、隣家の旧制高等学校２年生の兄貴分が大腿部に焼夷弾の直撃を受けた時のこと。彼はみるみる痙攣を起こして私の腕の中で息絶えた。敗戦のわずか５〜６カ月前のことである。２つは同じ空襲で一切の家作を失った近くの大家さんが、ふと「こんなことで戦争に勝てるんやろうか」と呟いた時のことだ。その言葉を若い憲兵隊員に耳ざとく聞き咎められた彼は「このド非国民め！」という怒声とともに、私の目の前で、殴る、打つ、蹴る、の暴行を受けたのだった。国民の生命・財産をよう守り得なかった権力の手先が、戦争被害者たる無力な老人に浴びせかけたあの暴行シーン、そしていくら子どもだったとはいえ、彼をかばうことのできなかった自分自身に対する怒りが、私の心に未だ抜けないトゲとして深く突き刺さっているのである。
    ↓
    現在も右寄りの政治家の口から「非国民」という言葉が時々出てきますね。要注意です。
    --
  • 敗戦直後の日本の新聞（P46-、山口正紀「民衆の側に立ち権力と対峙する＜報道の原点＞へ」）
    第２次世界大戦の終結後、＜枢軸国＞のドイツ、イタリアでは、国旗の廃棄とともに、戦争に協力した新聞は全て廃刊された。
    日本では、ほとんどの新聞が題字もそのまま、＜日の丸＞とともに生き延びた。そこに、「内部から腐ってくる」要因が残された。
    １９４５年８月。『毎日新聞』西部本社版は敗戦直後の５日間、廃刊を主張する編集局長の指示で紙面の半分以上を白紙で発行。『毎日』は８月中に編集幹部が総退陣した。
    『朝日新聞』では１１月、社員による戦争責任追及で社長以下編集幹部が総退陣。同月７日付宣言《國民と共に立たん》は幹部総辞職について、《真実の報道、厳正なる批判の重責を十分に果たし得ず》《国民をして事態の進展に無知なるまま今日の窮境に陥らしめた罪を天下に謝せんがためである》と述べ、今後は《常に国民と共に立ち、その声を声とするであろう》と宣言した。
    『読売新聞』では１０月に結成された従業員組合が幹部の戦争責任を追及して第１次読売争議に突入。正力松太郎社長が戦犯容疑で逮捕された後の１２月１２日付社説で《今日以後読売新聞は真に民衆の友となり、永久に人民の機関誌たること》を宣言した。
    ↓
    『読売新聞』にもそんな時代があったとは驚きです（現在は、「自民党公明党政府の機関誌」となっていますが…）。
    ＮＨＫをはじめとして、 自民党公明党政府に協力しているマスコミ諸君は、現在、次の「戦争」へ向けて国民を「窮境に陥る」方向に導いています。が、次の「戦後」には自分たちも裁かれる（責任者が戦犯容疑で逮捕されたり…）ということを忘れないようにした方が良いですね。
    そして現在、何をすべきなのか（また、何をしてはいけないのか）を考えて、行動して下さい。

2005年 1月 14日（金）

• ＮＨＫ特番問題　内容を６カ所変更　放送前、当日にカットや挿入（毎日新聞・朝刊）
  旧日本軍の慰安婦問題を扱ったＮＨＫの特集番組が放送前に自民党議員から「偏っている」と指摘された問題で、指摘後の番組内容の変更は放送前日と当日の２回にわたり、計６カ所でカットや挿入が行われていた。この番組の制作責任者で内部告発した長井暁チーフプロデューサー（42）は13日の記者会見で「番組の体をなさなくなった」と嘆いた。長井さんは別の番組でも自民党の反対で再放送が中止されたことがあったとも証言した。…
  ◆政治家の指摘が問題になった番組の変更内容◆
  ＜01年1月29日＞＝放送前日
  (1) 日本軍による強姦（ごうかん）や慰安婦制度について、民衆法廷が有罪と認定し、日本国と昭和天皇に責任があるとした部分を全面的にカット
  (2) 民衆法廷を評価する立場の米カリフォルニア大学準教授の話を数カ所カット
  (3) 民衆法廷に反対の立場を取る秦郁彦・日本大教授のインタビューを大幅に追加
  ＜01年1月30日＞＝放送当日
  (1) 中国人被害者の紹介と証言をカット
  (2) 東ティモールの慰安所の紹介と元慰安婦の証言をカット
  (3) 自らが体験した慰安所や強姦についての元日本軍兵士の証言をカット
  ↓
  「当方から放送内容の変更や放送中止は一切言っていない」（中川昭一）とか、「ＮＨＫ側に圧力を掛けたことは全くない」（安倍晋三）とか、 あくまでもシラを切るつもりらしいです（これで、ウソをついていることがバレたら、政治家生命も終わりですかね）。
  もし自民党議員がＮＨＫに対して一切圧力を掛けていないのであれば、上記の「◆政治家の指摘が問題になった番組の変更内容◆」 を元に戻した番組を放映しても全く問題ないはずですよね。
  ぜひ、政治家の介入のないオリジナル・バージョンを放映して下さい。＞ＮＨＫ

2005年 1月 13日（木）

• ＮＨＫ特集番組「偏向」指摘問題　「政治介入、恒常化」　制作責任者が告発会見（毎日新聞・夕刊）
  旧日本軍の慰安婦問題を裁く民衆法廷を扱ったＮＨＫの特集番組に対し、中川昭一・経済産業相と安倍晋三・自民党幹事長代理が放送直前、ＮＨＫ幹部に「偏っている」と指摘した問題で、この番組の制作責任者が13日会見し、「政治家の圧力によって番組改編を余儀なくされた。ＮＨＫは政治介入を許した」と証言し、「今回のような露骨な政治介入は希有なケースだが、海老沢勝二会長体制になってから政治介入は恒常化している。今回の問題も海老沢会長は報告を受けて了解していたはずだ。職員の不祥事より重要な問題だ。会長と役員は総退陣すべきだ」と訴えた。政治家の“圧力”に抗議して、内部告発した現職のＮＨＫ職員が会見を開くのは極めて異例。
  会見したのは、この番組の担当デスクで制作責任者だった長井暁・教育番組センターチーフプロデューサー＝ＣＰ（42）。長井ＣＰは、昨年12月に、ＮＨＫの内部告発窓口「コンプライアンス推進委員会」（委員長・海老沢会長）に対し、調査を求めている。しかし、１カ月たっても調査が行われないため、会見に踏み切ったという。
  ↓
  関係者の間では有名な話ですが、やっと表に出てきましたね。
  長井ＣＰだけではなく、他の関係者（ＮＨＫ職員）も、ＮＨＫの改善のために協力して欲しいと思います（ＮＨＫの上層部から圧力が掛けられているのでしょうけれど…）。
  それにしても、ＮＨＫの内部告発窓口「コンプライアンス推進委員会」の委員長が海老沢会長というのは、良くできた冗談ですね。

2005年 1月 11日（火）

• ８億4391万円で和解　発明の対価 青色発光ダイオード訴訟　200億円（１審判決）から大幅減　東京高裁（毎日新聞・夕刊）
  青色発光ダイオード（LED）の発明者、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授（50）が、勤務先だった精密機器メーカー「日亜化学工業」（徳島県阿南市）に発明対価を請求した訴訟の控訴審は11日、東京高裁（佐藤久夫裁判長）で和解が成立した。日亜側が８億4391万円を支払い、中村教授は自らが関与した特許など１９５件の対価請求をしないとの内容。発明対価を巡る訴訟としては、調味料メーカー「味の素」の人工甘味料製法特許訴訟での１億5000万円を超える過去最高額で決着した。
  １審の東京地裁判決（昨年１月）は、発明の対価を約６０４億円と認定。中村教授の請求通り２００億円の支払いを命じていたが、大きく減額された。日亜の経営に多大な影響を与えないよう配慮したとみられる。…
  中村教授は弁護士を通じ「和解額には全く納得していないが、弁護士の助言に従って勧告を受け入れることにした。問題のバトンを後続のランナーに引き継ぎ、本来の研究開発の世界に戻る」との声明を発表した。
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  事実上、中村教授の大敗ですね（残念！）。 １審では、中村教授の特許による日亜の利益（「売り上げ」ではなく「利益」ですよ！）を１２０８億円と算定しましたが、この莫大な利益を日亜は８億円で手に入れたことになります。差し引き１２００億円は丸儲けですね。
  １２００億円儲かる「ノーベル賞級の発明」を８億円で売っていたら、 どの企業も飛びつくでしょう（お買い得すぎる！！）。仮に２００億円だとしても、安い買い物なのではないでしょうか？
  企業は笑い、技術者は泣く。日本の優秀な技術者（頭脳）は、これからますます外国へ流出していくことでしょう。