2006年 9月 30日（土）

• 『週刊金曜日（06/9/22）』より。
  • 八木秀次による「解説」は無視して下さい（P22-、小山エミ「悲劇の意味をすり替えたジェンダー叩き勢力　『ブレンダと呼ばれた少年』の著者Ｊ・コラピントに聞く」）
    　「男らしさ」「女らしさ」の復活を目論む八木秀次をはじめとする右派勢力。「男女共同参画は疑似科学に基づく」の根拠として最近、かれらが用いるのが『ブレンダと呼ばれた少年』の症例だ。その著者である作家のジョン・コラピントがこのほどインタビューにこたえた。
    　『ブレンダと呼ばれた少年』は、カナダのウィニペグに生まれたデイヴィッド・ライマーという男性の波乱の半生を綴ったノンフィクションだ。
    　デイヴィッドは幼くして包茎手術の失敗でペニスを失い、性器形成手術や思春期以降のホルモン療法などにより女児として育てられながら「女性」として生きることに苦悩し、１０代半ばで自分の過去を知って男性として生きることを選ぶ。そして同書販売から数年後に３８歳で自殺した。
    　日本では米国版と同じ2000年に無名舎から邦訳（村井智之・訳）が出版され一部に衝撃を与えたが、翌年同社が出版事業から撤退して絶版となった。
    　ところが０４年頃から、八木秀次（当時の「新しい歴史教科書をつくる会」会長）・林道義（元東京女子大学教授）・山本彰（『世界日報』元ワシントン支局長）ら反「ジェンダーフリー」論者が雑誌や書籍などにおいてこの『ブレンダ』を取り上げはじめる。…
    ●再版本では八木氏の解説を追加
    　 ０５年５月、『正論』を発行する産経新聞社と同じグループであり「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書なども出版している扶桑社が『ブレンダ』を再版する。しかもこの版では、新たに「ジェンダーフリーの“嘘”を暴いた本書の意義」とする１０ページに及ぶ「解説」が八木の手によって追加された。この「解説」で八木は、この本は男女共同参画社会施策の見直しを迫るものだという。
    　かれらのような、いわゆるバックラッシュ論者による『ブレンダ』利用は、無数の誇張と曲解、そして文献の文脈逸脱的な引用に満ちたものだ。 …
    ──あなたの本は米国でも保守系団体によって「ジェンダーは生まれつきである」という主張の根拠に援用されているようですがどう思いますか？
    ＪＣ　かれらがわたしの本の趣旨や意義を歪めて自らの政治的アジェンダを推し進めようとしているのにはうんざりしています。本が出てすぐにワシントンで講演に呼ばれたのですが、その場に着いてかれらの前に立つまでそれが過激な右翼グループの集会だとは気付きませんでした。うっかりクリントン大統領（当時）について好意的なことを言ってしまったときは、襲われるのではないかと思ったくらいです。
    ●「追加部分は無視してください」
    ＪＣ　私の本がこのような形で政治的に利用されていることには心を痛めていますが、特に驚いてはいません。イデオロギー的な濫用の危険はあったとしても、事実をありのままに伝えるのがライターとしての自分の役割ですから。それに、自由な国では言論の自由だけでなく、他人の言論を自由に解釈する権利もあります。愚かな解釈をする自由もね。
    もちろん、幸いにして、ジェンダーや男女関係の問題について良識的で寛容な価値観の人たちも、大勢この本を評価してくれています。わたしはたくさんのそういう人たちに会ってきました。
    ──『ブレンダ』の日本版は保守系出版社から出ており、第２次大戦中の南京大虐殺や「慰安婦」に対する強制売買春の存在を否定する団体の会長（当時）が書いた、デイヴィッドの件は男女共同参画施策の見直しを迫るものだとする「解説」が追加されていますが。
    ＪＣ　それは本当に困ったことです。はっきり言って、もし予めそのようなおかしな出版社であると分かっていれば、日本版を出してはいなかったでしょう。もちろん、翻訳さえ正確であれば良識ある読者は本文を読んで何を言わんとしているのかちゃんと理解してくれると思いますが、そうと言っても非常に腹立たしいです。出版エージェントに連絡して、その出版社から版権を引き上げられないか調べてもらっているところです。
    ──最後に、日本の『ブレンダ』読者に対して何かメッセージがあればどうぞ。
    ＪＣ　本文以外に日本におけるこの本の出版社やその代理人が勝手に追加した部分は全部無視してください。この本をきちんと読んだ読者には、この本が性とジェンダー、同性愛、インターセックス、そして医療における患者の自己決定の権利に関して、寛容さの必要性を訴えていると伝わることを願っています。
    ↓
    何よりもまず、原著者の意思を尊重して欲しいですね。
    あと、意外に「解説」というのは重要で、多くの読者に「モノの見方」を刷り込んでしまう可能性が高いです。例えば、同じ事実を伝えるニュース番組であっても、その後にキャスターが加える「ひと言のコメント」次第で、視聴者の解釈が変わってしまうのは、わりと良く知られた話ではないでしょうか。
    少なくとも扶桑社は、 八木秀次氏による「解説」を翻訳し、原著者であるジョン・コラピント氏に事前に読んでもらうべきだったと思います（もし「解説」が完全に間違っている場合、原著者がそれを知る手段がないのは、まずいのでは？）。それとも翻訳出版界では、勝手に「解説」を付けて販売してしまうのが「常識」なのですかね。
    --
  • 自衛隊は１人も死んでいないが、イラク民間人は５万人以上死んだ（P66、片岡伸行「金曜日から」）
    　「考えてもみて下さい。イラク派遣の自衛隊は１人の犠牲者も出していないんです。野球の試合に例えれば、ノーヒット・ノーランみたいな内容じゃないでしょうか」──麻生太郎外務大臣のオフィシャルサイトに載る『サマーワからの撤収』と題した一文より。
    　やけに胸を張り、軽薄な調子。戦場を野球場に喩えるのも非常識かつ不謹慎で、命の尊厳に対する見識や畏怖も感じられない。
    　２００３年３月の開戦から０６年７月までに、武力攻撃で死亡したイラク民間人は５万人超と言われる。大量破壊兵器も、アルカイダとの関係もなかったイラク。そこに先制攻撃をした米英を日本は支持し、侵略に加担した。５万人超の死に対する責任の一端はあるのだ。罪もない子どもたちが多数犠牲になっているのに、「ノーヒット・ノーラン」はないだろう。
    　そういう神経の持ち主だから、自ら会長を務める日本クレー射撃協会の内部はひどい不謹慎状態で、総裁選どころではないはず。
    ↓
    自分の国のことしか考えていない（他国のことは考えていない）人間が日本国の外務大臣とは情けない。
    麻生太郎は安倍内閣でも外相ですが、その責任は組閣した安倍晋三にあることを確認しておきましょう。

2006年 9月 25日（月）

• 『週刊金曜日（06/9/15）』より。
  • 「慈悲深く利他的な人間」にしては、心が狭いね（P7、筑紫哲也「風速計　笑いたいあなたに」）
    　首相の靖国参拝賛成派の論拠のひとつはあの戦争が「解放戦争」だったということだが、そんなに慈悲深く利他的だったと言う立場なら、当の「解放」されたアジア各国、隣国から参拝に反発が起きると、どうして敵意を剥き出しに「嫌中」「嫌韓」を明らさまにするのか。
    　その靖国についてまともな議論をした、かつての首相の盟友の実家と事務所が右翼に焼き打ちに遭った時、首相も官房長官（次期首相候補）も鈍い反応しか示さず、この2人に気がねしたのか、同じ与党の仲間も押し黙っていた。
    　まぎれもないテロが足許で起きてもこの様子では、9・11以来「断固テロと戦う」と息まいていたことが笑劇（ファース）となる。だが、そういうことを「お笑い草」にするには、現実を見定める、ほんの少しの「知性のかけら」は要る。そんなことは面倒だという向きはやはりテレビのチャンネルを回すしかない。お笑い番組に。
    ↓
    鋭い指摘です。たしかに、一般に「解放戦争だった」と言ってる連中ほど「嫌中」「嫌韓」なので、思わず笑ってしまいました。
    彼らは、はなから他国を見下す傾向にあり、（利他的ではなく）利己的に行動していることが、改めて浮き彫りになりましたね。
    --
  • 安全を犠牲にし、金儲けを優先する日本航空（ＪＡＬ）（P34-、安田浩一「ニッポンの翼が危ない(3)　視界不良のコックピット」）
    ●交代要員なしの「長距離」「日帰り」「連続」
    　話は１９９３年にまで遡る。この年、日本航空は、４０年間にわたって労使の合意で結ばれてきた運航業務における労使協定を、一方的に破棄した。
    「それまでは労使協定によって９時間を超えるフライトの場合は交代要員を含むパイロット３人体制で運航していました。ところが会社側は協定を破棄し、交代要員は１１時間を超える運航でないと認められないとしたのです。つまり、太平洋横断アメリカ西海岸路線（ロサンゼルス、サンフランシスコ便）などは、２人のパイロット（機長と副操縦士）が交代なしで運航しなければならなくなったのです。また、香港やマニラといったアジア便も現地で１泊した後に戻ってくるスケジュールが、日帰り運航に変更させられました。さらに国内線においては３日間までとされていた連続乗務が５日間にまで延長されたのです」（日本航空乗員組合員）
    　日本航空は「人件費の効率化」をその理由とした。当時、同社は関連事業の失敗、競争激化など、“バブルの後遺症”に悩まされていた。前年の９２年には「構造改革委員会」を社内に設置し、合理化の検討を進めている。一方的な勤務協定の破棄は、経営責任のツケ回しでもあった。
    　ちなみに太平洋西海岸路線の交替要員なしの運航、そしてアジア便の日帰り運航などは、国内ライバル社の全日空をはじめ他の主要航空会社でも例のないことであった。世界的にも突出した運航体制だったのである。
    「われわれは世界最低レベルの勤務基準であると主張しています。規制緩和の“先進国”である米国の航空業界でさえ、こんな長時間のフライトを２人編成で乗務することなど認められていません。英国航空の機長などは、『私の家族を日本航空の便に乗せるような危険をおかしたくない』といったメッセージを我々に送ってきました。世界レベルではそれだけ非常識とも言える運航体制を、日本航空は合理化・コスト削減策の一環として取り入れてしまったというわけです」（前出・国際線機長）
    ↓
    その後、裁判により、最長１１時間までのシングル編成（交代要員なし）は「安全性に問題がある」として否定されたのですが、日本航空は判決を守らず、（最長９時間に戻すのではなく）最長１０時間を押しつけてきたそうです。その結果、成田・サンフランシスコ間の往路、成田・シドニー間の復路などは、いずれも飛行時間が「１０時間以内」であるため、交代要員なしの運航が続いている。そのうえ、太平洋路線以上に過酷な勤務といわれる成田・香港間の日帰り運航も、そのまま認められることになった、とのこと。笑うに笑えません。
    ともかく、ＪＡＬには乗らない方が良いですね。

2006年 9月 23日（土）

• 安倍晋三が改憲を急ぐワケ（きっこのブログ、2006.09.22）
  フリーライターの西山澄夫さんが発行しているＭＬ、「週刊オルタ」に、驚愕のニュースが掲載されていたので、西山さんに転載の許可を得た上で、以下、掲載する。
  「速報」
  2005年10月25日、26日、ブッシュの支持基盤であるネオコン派の政治家、知識人が集まるワシントンの政策研究所、AEI・アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートが主催して、日本の国会議事堂裏のホテル、キャピトル東急で、「政策研究集会」が開かれた。テーマは、「日本と中国を、どのようにして戦争に突入させるか、そのプラン作り」である。
  参加者はAEI所長クリストファー・デムス、次期総理・安倍晋三、鶴岡公ニ（外務省、総合外交政策局審議官）、山口昇（防衛庁、防衛研究所副所長、陸将補）、民主党・前党首・前原誠司、その他自民、民主の複数の議員。テーマは「有事、戦争に、どう対処するか」では無く、「中国と日本を、どのようにして戦争に持って行くか」である。
  以上は裏付けが取れた正確な情報である。
  以下は裏付けの取れていない未確認情報（裏付けの取りようがない）である。
  今後２年前後に、日本海側の都市に、「米軍の」ミサイルを着弾させ死傷者を出させ、それが北朝鮮からのものである、とマスコミ報道を行い、一気に日本国内の世論を戦争賛成、治安維持体制に持って行く、また京都、大阪付近で新幹線の爆破テロを起こし世論を戒厳令体制、戦争賛成方向に誘導する（テロは米軍と自衛隊の共同作戦で実行し、イスラム原理主義または北朝鮮のテロと報道する）。
  「京都、大阪方面」と場所が特定されている点、テロ作戦の準備を知った軍内部からのリーク情報の可能性がある。が、真偽の確認のしようがないので、情報の「信用度は低い」。ただし万一、本当にテロがあった場合には、北朝鮮やイスラムのテロではなく、「戦争をするための米軍と自衛隊の画策」である事を事前に明らかにしておくため、日本を戦争賛成の方向に誘導させない「クサビを打ち込んでおく」ため、あえて信用度の不確かな情報を流します。
  （転載ここまで）
  ↓
  ぜひ、原文をお読み下さい。
  「９.１１はアメリカ政府の自作自演」という説が、あながち否定できなくなってきている昨今ですが、似たような国家的犯罪を日本でも実行しようというわけですか！？
  もっとも、この情報の「信用度は低い」のですが、日米両政府や政治家たちの最近の「言動」を見ていると、本当にこういうことをやりかねない（実行することに何の矛盾もない）のが気になっています。

2006年 9月 22日（金）

• 「アーミテージ氏に脅されていた」パキスタン大統領が告白　９.１１後、「対テロ非協力なら空爆」（毎日新聞・夕刊）
  　【ワシントン和田浩明】パキスタンのムシャラフ大統領が米ＣＢＳテレビに対し、01年９月の米同時多発テロ直後、対テロ戦争に協力しなければパキスタンを空爆するとアーミテージ米国務副長官（当時）が脅していたと語った。アーミテージ氏はパキスタンの情報長官に「空爆で石器時代に戻る覚悟をしろ」などと「極めて無礼な調子」（ムシャラフ氏）で協力を迫ったという。放映に先立ち、ＣＢＳ電子版が21日報じた。
  ↓
  なるほどね。こうして、９.１１を利用して世界侵略を進めるアメリカのブッシュ大統領以下ネオコン一味の化けの皮が剥がされていくわけですね。
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• 「国旗・国歌」強制は違憲　東京地裁判決　思想の自由侵害　教職員ら全面勝訴　都に賠償命令（毎日新聞・朝刊）
  　卒業式や入学式などで、日の丸に向かって起立し、君が代を斉唱するよう義務付けた東京都教委の通達は違憲違法だとして、都立学校の教職員ら４０１人が義務がないことの確認などを求めた訴訟で、東京地裁は21日、原告全面勝訴の判決を言い渡した。難波孝一裁判長は「通達は不当な強制に当たり、憲法が認める思想・良心の自由を侵し、教育基本法にも違反する」と指摘。教職員らに従う義務がないことを確認したうえ、通達違反を理由にした処分の禁止や１人当たり３万円の賠償も都と都教委に命じた。都側は控訴する方針。…
  　判決はまず、日の丸、君が代について「第２次大戦までの間、皇国思想や軍国主義の精神的支柱として用いられ、現在も国民の間で宗教的、政治的に価値中立的なものと認められるまでには至っていない」 と指摘。「掲揚や斉唱に反対する教職員の思想良心の自由も、他者の権利を侵害するなど公共の福祉に反しない限り、憲法上保護に値する」と位置づけた。…
  　さらに、通達に違反したことを理由にした懲戒処分は「裁量権の乱用に当たる」として今後の処分を禁止。「教職員は、従う義務がないのに思想・良心に反して職務命令に従わされ、精神的苦痛を受けた」として、退職者も含めて慰謝料を認めた。
  ↓
  やはり、強制ではないのが望ましい、ですね（笑）。
  こうした憲法・法律の条文に忠実な判決は、論理的にも明快で、すがすがしいです。
  一方、日本国民の思想の自由を奪いたい右派勢力にとって、日本国憲法や教育基本法が邪魔な存在であることがはっきりしましたね。逆に言えば、日本国憲法や教育基本法は私たちの思想の自由を守るための強力な武器になるということです。もっともっと活用しましょう！
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• 国旗・国歌訴訟　東京地裁判決（要旨）（毎日新聞・朝刊）
  　学習指導要領は法規としての性質を有するが、大綱的な基準にとどめるべきものと解するのが相当。大綱的基準を逸脱し、教職員に一方的な理論や観念を生徒に教え込むことを強制するような場合は、教育基本法10条1項が定める不当な支配に該当し、法規としての性質は否定される。…
  　（４）都教委は職務命令違反の教職員を、１回目は戒告、２回目及び３回目は減給、４回目は停職との基準で懲戒処分にした。（５）定年退職後に再雇用を希望する教職員に職務命令違反があった場合、再雇用を拒否した──などの経緯が認められる。一連の指導は校長の裁量を許さず、教職員に国歌斉唱などを強制したと評価できる。…
  　教職員は原則として校長の職務命令に従う義務を負うものの、命令に重大かつ明白な瑕疵（かし）がある場合は従う義務はない。起立して国歌を斉唱し、ピアノを伴奏する義務はなく、むしろ思想・良心の自由に基づき拒否する自由を有している。原告らが起立や斉唱を拒否しても、入学式、卒業式の式典進行を妨害することはないうえ、生徒らに拒否をあおる恐れがあるとも言えない。
  　仮に教員がピアノ伴奏を拒否したとしても代替手段がある。原告らの拒否は、異なる世界観、主義、主張を持つ者に対して不快感を与えることがあるとしても、憲法は相反する世界観、主義、主張を持つものに対しても相互の理解を求めている。不快感により原告ら教職員の基本的人権を制約することは相当ではない。校長らの職務命令には重大かつ明白な瑕疵がある。
  ↓
  この判決から読み取れるのは、教育基本法は学習指導要領よりも上位に立つ、ということです。もちろん、日本国憲法はこれらよりも上位の立場から、権力者（この場合は、東京都と都教委）の権力行使に制限を加えます。
  それにしても、この判決に不快感を表している右翼の諸君は、立場が逆になった時のことを想像していない点が愚かだと思いますね（笑）。
  つまり、もし仮に日本全体が（右翼が嫌悪する）「サヨク」的思想に傾いたときでも、日本国憲法は、右翼の諸君の思想の自由を保障する──つまり、例えばどこかの県の教育委員会が「赤旗」に向かって起立し「インターナショナル」（古いか…笑）の斉唱を強制したとしても、それに従う必要はなく、その教育委員会は糾弾される、ということです。
  右翼の人間も左翼の人間も、自分の思想を守りたいでしょうから、それぞれの精神の自由を尊重しましょう（強制はいけません）、というのが日本国憲法と今回の判決の基本的精神です。

2006年 9月 13日（水）

• 『週刊金曜日（06/9/8）』より。
  • 安倍晋三の支持者は、安倍と統一教会との関係を知っていますか？（P16-、横田一＋本誌取材班「安倍晋三官房長官の正体　第２回・怪しい政治家」）
    　今年５月、安倍氏は統一協会の“ダミー団体”が開催した大会に「内閣官房長官」名で祝電を送った。統一協会は、霊感商法などで社会問題になったカルト宗教団体だ。しかも統一協会との関係は、祖父の岸信介・元首相から続いていた。岸氏は統一協会の政治団体・勝共連合の設立に協力、教祖・文鮮明氏との関係もあった。父の晋太郎氏も文鮮明の晩餐会に出席。祖父の代からカルト集団と良好な関係だったといえるのだ。
    ↓
    ほほう。以前、「地元事務所が送った」なんて言ってますが、相手の確認もせず勝手に祝電を送りつけるわけはありませんから、「それまでのお付き合い」があったのでしょうね（笑）と指摘させて頂きましたが（そしてその指摘は当たっていましたが）、まさか祖父の代からの三代にわたる「お付き合い」だったとは・・・。
    想像を絶するとはこのことです。恐れ入りました（笑）。
    --
  • 「英霊」たちは御意に逆らった？（P30-、豊下楢彦「昭和天皇と歴史の“ねじれ”」）
    　基本的に「英霊」とは、「聖戦」、つまり「天皇の意を体した戦争」で倒れた軍人たちの御霊を意味している。ところが、昭和天皇が死去して以来今日に至るまで、主要なメディアはもちろん、「自存自衛の戦争」を掲げる「靖国イデオロギー」の担い手たちも、「昭和天皇は戦争に反対であった」「天皇は平和主義者であった」と主張し続けているのである。つまり、「天皇のための戦争」に殉じたはずの「英霊」たちは今や、実はあの戦争は「天皇の意に反した戦争であった」と宣告されているのである。これほどの欺瞞と悲劇性があるであろうか。
    ↓
    そうですね。そして、「天皇の意に反した戦争」だったから「反省」しているのかと思いきや、正当化に躍起になっているのも滑稽ですね。＞右翼の諸君
    「天皇の意に反した戦争」だったならば、徹底的に批判・否定すべきなのではないですか？ 　さもないと、現代の右翼は昭和天皇の御心に背いている ── ということになります。
    むしろ戦時中、命をかけて戦争に反対した「共産主義者」たちの方が昭和天皇の御心に近かった ── ということにもなりますね。
    --
  • 軍事国家への利用価値（P34-、鈴木裕子「崩れる「平和愛好神話」」）
    　多くの人が地上戦に巻き込まれて犠牲になった沖縄に対して「２５年ないし５０年、あるいは永久的に米軍が支配してくれて構わない」とか、広島・長崎の原爆投下に対しては「気の毒だと思うが、戦争中だったから致し方ない」などと平気で発言する「非倫理」性。自らの安全のために「沖縄を売って」、軍事的に米国に従属する「日米軍事同盟」構築を積極的に進めます。事実に基づいて調べていけば、昭和天皇がどんなにオポチュニスト（ご都合主義）的政治家であったかが分かります。しかしそのことを日本のマスコミはきちんと伝えようとしません。…
    　これから再び、天皇家への敬愛心や愛国心などが叫ばれる時代になりつつあります。内閣官房長官・安倍晋三氏は、自民党総裁選で「憲法改正と教育改革」を政権公約として前面に出しました。「お上」、国家、天皇に対して、疑問を持たせず、忠誠を誓うような子どもをつくるためには、現在の教育基本法は邪魔になる。国にとって都合のよい人間をつくり、軍事国家、日米軍備再編強化へとつなげるには、権力者・支配エリート層にとっては天皇制はまだまだ利用価値が大きいのだと思います。
    　そうさせないためにも、天皇制にはもう博物館に入ってもらうのがよいと思います。天皇家の方々は、時の権力者に都合よく利用されないように普通の市民になり、きちんと働いて税金を払い、参政権ももらった方がいいでしょう。神話はいつか崩れるものです。
    ↓
    法律上、天皇家の方々は日本国民ではないので、日本国憲法で保障されている「人権」がありません。本当に気の毒だと思います。
    本人たちの希望があれば一刻も早く解放してあげたいですね。

2006年 9月 12日（火）

• 多極化と日本（１）（田中宇の国際ニュース解説、2006年9月12日）
  　イラクとアフガニスタンで、アメリカやイギリスなどの欧米軍が敗北しそうな感じが、しだいに濃厚になってきている。…
  　最近では、米軍は地方都市における統治権をすっかり失ったため、今年７月から、米軍は軍勢を地方から撤退し、首都バグダッドに軍を結集させる戦略を取り始めた。…
  　しかし米軍は、バグダッドだけでも、貧困層のシーア派が多いサドルシティなどを支配する反米ゲリラとの戦いに勝てず、米軍は、これまで１３万人規模だった駐留兵力を１４万５千人に増やし、バグダッドでの戦いを激化させているが、すでに四面楚歌の状態で、勝てる見込みは薄い。米軍は、ベトナム戦争以上の不名誉な負け方をする可能性が増えている。…
  　イギリスの新聞には最近「ソ連軍が１２万人を派兵しても勝てなかったアフガン人ゲリラとの戦いに、イギリスが４千人の派兵で勝てるはずがない。戦争せず、タリバン幹部と交渉した方が良い」「タリバンがアフガニスタンの政権を奪回するのは時間の問題だ」などという主張が載っている。…
  　日本が核武装するとしたら、その場合の仮想敵は、中国やロシアであるが、いずれも国土が日本よりはるかに広大である。中国と日本が核戦争して互いに５発ずつの核ミサイルを相手に撃ち込んだ場合、中国は、首都圏に３発、関西に２発を落とせば、日本を国家として機能停止させられるが、日本が北京や上海などの主要都市に５発を落としても、無傷の大都市がいくつも残り、中国は国家として生き延びられる。
  　ロシアとの核戦争の場合、１９８１年の自衛隊の研究によると、日本では２５００万人が死ぬが、ロシアは人口の希薄な極東で１００万人が死ぬだけである。国土が狭い日本は、広大な中国やロシアと核戦争しても不利になる。核兵器を持つことが戦争を防ぐことにつながるという「核の抑止力」の考え方は、アメリカとロシアなど、国土の広い国どうしが対峙している時にのみ有効である。だから、日本は自前の核兵器を持つより、アメリカという強くて広大な国の核の傘の下に入っていた方が有効なのだ、という分析が最近、アジアタイムスに出ていた。…
  　この理論で考えると、アメリカが孤立主義に陥ったり、覇権を衰退させた結果、日本がアメリカの核の傘に入れなくなったとしても、それなら自前の核兵器を持てばよい、という話には直結しないことが分かる。
  　むしろ、核兵器を持たない方が道徳的には「良い国」であり、核兵器を持たないことは、その分だけ外交的な力を持つことができるとも考えられる。
  　たとえば核兵器を持っているイスラエルが、イランに対して「核兵器を開発しそうだから制裁すべきだ」と主張しているのに対し、アラブ諸国から「イスラエルこそ核兵器と核開発施設を破棄し、核拡散防止条約に署名して査察を受けるべきだ」と非難されている。イランはＥＵやロシアの説得を受けて核開発（ウラン濃縮）を中止することを検討し始めているが、もしイランが核開発を凍結したら、イスラエルに核廃絶を求める圧力はさらに強まる。…
  　北朝鮮が核実験をしたら、日本でも核武装すべきだという主張が増えそうだが、この流れに乗って日本が核武装しても、その後北朝鮮が国際社会の要求に応じて核兵器と核開発施設を廃棄したら、日本も同様の核廃棄せよという国際的な要求が高まることになる。このような展開になると、日本は「非核国」として世界から得てきた良いイメージをも失うことになる。
  ↓
  なるほど。興味深い記事ですね。
• 一般論として、侵略は必ず失敗する。→ 米英によるイラク・アフガン侵略は、ソ連によるアフガン侵略や米によるベトナム侵略と同様、失敗する。
• 核兵器を持つと「核を持つな！」と他国を非難できなくなる。むしろ持たない方が外交的な力になる。→「核兵器」に限った話ではないのでは？
• 国際的な視野に立った、けれども泥臭いまでの現実味を帯びた「平和のための戦略」が求められている。→ 偏狭な「国粋主義的戦略」は時代遅れ。
  …… なんてことを考えました。国際世論を味方に付けることも含めた「外交的戦略」で、軍事費を使わず、したたかに平和を構築する ── そんな日本らしい選択も、真剣に検討する価値があるように思います（政治家こそ「クリエイター」であるべきですね）。
  自民党の小泉・安倍ラインのように、アメリカの真似をして軍事大国化を目指すと、「日本国は物質的にも精神的にも荒廃し、喜ぶのはアメリカの軍需産業だけ」なんてことになりかねません。とにかく「楽をしている（＝頭を使わない）と、他人に利用されて、美味しいところを持って行かれる」のは、世の常ですから（笑）。

2006年 9月 8日（金）

• 『週刊金曜日（06/9/1）』より。
  • ＪＡＬ・ＡＮＡの７７７型機に注意！！（P14-、安田浩一「ニッポンの翼が危ない(1)　Ｂ７７７エンジン停止」）
    　１年の間に同一機種で連続９件のエンジントラブルである。地上走行中の場合を除き、いずれのケースもシングルエンジン（片肺飛行）で緊急着陸せざるを得なかった。しかもそのほとんどは、後の検査でブレード破断が発見されている。
    　７７７型機に何が起きたのか。
    　実は同型機であること以外に、もう１つの共通点がある。故障したエンジンはいずれも米国プラット＆ホイットニー社製の「ＰＷ４０００シリーズ」と呼ばれるものだった。
    「要するに欠陥エンジンが装着されていたのです」
    そう打ち明けるのは日本航空の関係者。…
    ●未修理機も飛行中
    　ところが──。この欠陥エンジンを搭載した航空機、いまだに日本上空を飛んでいるのである。
    　前出の整備士が説明する。
    「当該エンジンのブレードは、すべて交換することが決まりました。ですが、部品不足ということもあり、程度の悪いものから順番に交換を進めているのが現状です。つまり、欠陥が明らかとなっていながらも、いまだ“交換待ち”の航空機が少なくないのです」
    　たとえば日本航空では、ＰＷ４０００シリーズのエンジンを搭載した７７７型機を２１機所有している。そのなかで８月末現在、左右両翼エンジンの部品交換を終えたのは、わずか６機に過ぎない。残り１５機は欠陥エンジンを抱えたままだ。うち３機は、左右両翼ともにエンジンの交換を終えていない。飛行中にもしも左右のエンジンが同時にトラブルを起こしたら、どうなるのか。想像するだに恐ろしい。
    　また全日空は現時点において、未交換のＰＷ４０００シリーズのエンジンが１０基であると本誌に回答した。当該機の数については「明らかにできない」（広報室）とのことだったが、エンジン基数を考えると、欠陥を抱えた５機以上の７７７型機が今も飛んでいることになる。
    ↓
    こういう情報が新聞（一般紙）に掲載されないことの恐ろしさ。『週刊金曜日』は読者数が少ないからなあ…。
    --
  • 労組をもっと気軽に使いましょう（P47、須田光照「きんようぶんか　読書『ひとのために生きよう！』（石川源嗣=著、同時代社）」）
    　最近は会社を辞めたいのに辞めさせてくれないとの相談が急増しているという。暴力や脅しで無理やり働かせる。経営者の独裁と労働者の奴隷化。信じがたい実態が紹介されている。
    　労働相談は矛盾の噴出口といえる。そこは同時に組織化の最前線でもある。
    　職場で不満を持った労働者が取りうる道は２つしかない。会社を辞めるか、我慢して働くか。本書は第３の道があることを示す。組合結成という道だ。労組があってはじめて経営者と対等に交渉できる。自分と仲間の生活を守ることができる。
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    同じ「自己責任」と言われるのなら、あきらめる（負け確定！）よりも、団結して闘ってみる（好転する可能性がある！）方が良いと思いますね。ちょっと面倒くさいかもしれないけど、団結権は法律で保障されていますから、使わないともったいないですよ。
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  • 「有機」表示できない有機農産物がある（P63、諌山二朗「論争　有機農産物認定制度の問題点」）
    　農産物に「有機」と表示するためには、登録認定機関の認定を取ることがＪＡＳ法（農林物資の規格および品質表示の適正化に関する法律）により義務づけられています。
    　以前は法的規制がなく、ほとんどの農産物に「有機○○」という表示がなされていました。したがって、消費者は本物の有機農産物なのかどうか判断できませんでした。
    　まじめに有機農産物を生産している農家にとっても、偽物の有機農産物が排除されたことは好ましいと言えます。一般的には有機農産物認定制度（以下、「認定制度」）は生産者や消費者にとって、良い制度と思われています。
    　しかし、以前から有機農業に取り組んできた多くの生産者が認定制度に反対しています。もともと有機農業を続けてきた農家は、零細農家がほとんどでした。有機農業を守り育ててきたのはこれらの農家であり、その農家を支えてきた消費者です。
    　この間、国は有機農業に対して無関心かつ冷淡であり、何の支援も行ないませんでした。ところがＪＡＳ法の改正によって、国は登録認定機関の認定を取らなければ「有機」と表示することはまかりならぬと法的に規制しました。
    　認定を取るには複雑で大量の書類や事務処理が求められ、多額の認定料を支払わなければなりません。零細農家にとっては大きな負担であり、有機農業に取り組んできた農家の多くが「有機」という表示ができなくなりました。
    　自分の信念から認定を取らない農家もいます。まじめに有機農業をやっているにもかかわらず、なぜ手間とお金をかけて農薬や化学肥料を使っていないことを証明しなければならないのか、むしろ農薬を使っている農家こそ表示義務があるのではないかと彼らは主張します。
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    公的な認定制度により、零細農家が不利になる。これは大きな問題ですね。
    ここにも「強者はますます強くなり、弱者はますます弱くなる」という「現代日本の構図」＝「格差社会」があります。

2006年 9月 2日（土）

• 『週刊金曜日（06/8/25）』より。
  • 米国による小泉靖国参拝批判（P16-、霍見芳浩「米国も批判した首相失格の「異常」さ」）
    　６月末の小泉訪米では、ヘンリー・ハイド下院外交委員長（ブッシュと同じ共和党）が、小泉首相の上下院合同議会での演説願望に対して、「靖国参拝を止めないのなら議会演説の名誉に値せず」と拒否した。米国政界とブッシュ与党の重鎮が小泉靖国参拝を表立って批判したのであり、「靖国参拝に反対なのは中韓だけ」という小泉首相の大ウソが明らかになった。ＶＪデー（対日戦勝記念日）の小泉靖国参拝を知った米国人はハイド議員の小泉批判を思い出していた。
    　７月２０日、日本の国粋右傾化の象徴としての小泉靖国参拝への警戒心が米国のオピニオンリーダー層に広がり始めていた時に、富田朝彦元宮内庁長官のメモと日記が出た。これで、昭和天皇ですら戦争責任への悔悟から1978年以来、戦犯合祀の靖国神社を嫌って、参拝を中止していたのが明らかになった。欧米英とアジアのメディアがこぞって大きく報道したから、小泉首相の「平和祈願のウソ」は隠せない。
    　これまでは、日本の首相の靖国参拝の批判を論説に掲げなかった『ニューヨーク・タイムズ』紙が、７月２２日、「リーダーの心構え」とのタイトルで、靖国参拝を「個人の心の問題」とうそぶく小泉、安倍晋三両人を名指しで、「歪んだ心なのでは」と痛烈に批判した。要点を忠実に訳出してみよう。
    ＜これまで数年間、日本の小泉純一郎首相は第２次大戦のＡ級戦犯で絞首刑になった７名を含む１４名が祀られている神社に参拝してきている。
    　この恥知らずの行為は国粋右翼におもねるものであるから、中国はじめその他、日本帝国主義の犠牲者たちを怒らせているし、多くの日本人も小泉氏はかつての軍国主義を抱きしめていると恐れている。そして、彼の後継者と目されている安倍晋三は同様に靖国詣でを宣言している。
    　今週、日本の新聞が天皇に仕えていた高官の日記の一部を公表して、かつてアジア支配のためにナチス・ドイツとの同盟を日本へ導いた昭和天皇が、靖国神社が戦犯者を戦死者に加えたとして、1978年以降は問題の神社詣でを中止したのを明らかにした。「これは私の心だ」との昭和天皇の言葉が日記に記されていた。
    　小泉氏および同氏の支持者もこれに心を動かすだろうと常人なら考えるだろう。しかし、小泉氏は記者たちに向かって、思い上がった態度で、「誰でも独自の感情を持っている」とこともなげに言った。昭和天皇の反省さえも同氏には何の効果もないのだろう。
    　昭和天皇自身に戦争（犯罪）責任があったと考えられるが、これは敗戦直後の時代の必要性から不問に付された。しかし、帝国時代の古めいた産物だった昭和天皇は、いま、近代的改革者でかつ国際的リーダー、そして、エルビス大好きのふりをする者よりも、はるかに深い心の中にけじめをつけるだけの余地を残されていた＞
    　この論説を皮切りに、毎週、小泉靖国参拝と日本の国粋右翼化の批判が、米国の主要紙はもとより、英国のＢＢＣ国営放送ニュースなどのインターネットブログ（メルマガ）やチェーンレターでも取り上げられていた。したがって、日本ではボカされている靖国神社の軍国主義メッカとしての歴史と政治性も広く知られて、小泉首相の時代錯誤と首相失格がＶＪデーを迎えた米国民の対日観に重なっていた。
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    とりあえず、小泉純一郎首相の「靖国参拝に反対なのは中韓だけ 」という発言は大ウソだということですね。しかも、小泉首相が大好きなブッシュのアメリカ様が靖国参拝に反対しているのに、自分に都合が悪い事実は知らないことにする、という小泉純一郎らしさが良く現れています。
    ちなみに、これに続く記事（P18-20、天野恵一「詭弁・珍論がまかり通る「歴史認識」　「天皇メモ」で始まった右派の混乱」）は傑作です。すべてが重要なのでここでは「抜粋」はしませんが、日本の右派の論客が「いかに論理的思考に弱いか」が明らかにされています。『週刊新潮』の読者は、この程度の稚拙な「論理」の矛盾も見抜けないとは、情けない…。ここでも自民党による愚民政策は成功していると言えますね。
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  • 日タイ戦争という歴史的事実を忘却（P47、高嶋伸欣「読み方注意！　『いわゆるＡ級戦犯　ゴー宣ＳＰＥＣＩＡＬ』（小林よしのり著、幻冬舎）」）
    　小林よしのり氏は、『戦争論』（幻冬舎、1998年）以降、次々と話題作を発表し、新著『いわゆるＡ級戦犯』も「ものすごい勢いで売れている」という。
    　だが、これらで同氏が展開してきた主張には、いつも危うさがつきまとっていた。それは内容の過激さよりも、事実認識の甘さ、不確実さのためだった。にわか勉強の知識や、一時を万事にすり替える手法も多用している。
    　それがこの新著では、とうとう重大なミスを犯すに至った。
    　同書８２ページの「また、起訴状にはなぜか『タイ王国に対する戦争』という訴因まであった。言うまでもなく、日本はタイとは戦争をしていないのに」という記述がそれだ。１９４１年１２月８日の日タイ武力衝突を、防衛庁がまとめた公刊戦史叢書などでは「小ぜりあい」や「無血上陸」などとされてきた。しかし、このときの半日間の戦闘でタイ側は数百人が戦死した。タイでは、その名誉を称えて今も毎年盛大な追悼行事を開催し、学校でも教えている。
    　一方の日本では１２月８日といえば真珠湾ばかりを話題にしてきた。そこには日タイ戦争に気づかせない情報操作が読める。
    　なぜか。前年６月にはタイの主権と中立政策の尊重を定めた「日タイ友好和親条約」（同１２月発効）が締結されていた。なのに日本軍は一方的にタイ領に侵攻して、タイ領内無害通行承認を強要し、中立を放棄させた。日本側は、天皇の名のもとに確定した国際法（条約）を踏みにじったことになる。このことが明確にされれば昭和天皇を戦犯としないとした東京裁判最大のごまかしが露見する。戦後社会が出発点から虚構だったと国民が広く気づき、保守勢力が改憲の論拠を失い、逆に事実を隠した責任を問われることにもなる。
    　そこで外務省は戦後一貫して同条約をタブー扱いし、マスコミも保守勢力からの反作用を怖れ、ほとんど触れないできた。
    　小林氏は「歴史的事実さえも忘却する」知識人がいると批判し、「東京裁判も国際法違反の復讐劇にすぎなかった」と断じる。
    　即刻絶版にすべきだが、政府などがひた隠してきた事実に目を向けさせた“功績”は大きい。
    ↓
    こうした個々の事例について、面倒でも１つ１つ、専門家（歴史研究者）の手によって、検証することが必要ですね。
    小林よしのり氏　対　歴史研究者（多数）の戦いとなります。

2006年 9月 1日（金）

• 自民党による愚民政策は成功している（『日経サイエンス［2006年10月号］』P43、塩谷喜雄「いまどき科学世評『平和の季節感』」）
  　ところが、その平和の季節感すら怪しくする妖怪がこのごろ跋扈し始めている。それは無知から出発した浅慮とナショナリズムだ。両者はほとんど同義語であろう。薄っぺらな自尊心はちょっとあおっただけで、簡単に火が付き燃え広がる。学力低下がいわれ始めたころと、若者の急速な保守化のスタートは符合する。
  　日本の核武装を何のためらいもなく語る世代は、戦争の歴史を美化された漫画でしか知らない。核や戦争に対する現実感を恐ろしいほど欠いている。広島と長崎を知らないという意味では、米国の若者と日本の若者は大差ない時代になりつつある。もちろん米国の若者のほとんどは、パールハーバーは知っている。…
  　日本独特の平和の季節感すら危機に陥れている浅慮とナショナリズムは、政治指導者のすり替えやごまかしに簡単に乗ってしまうのが特徴だ。
  　たとえば靖国問題。自民党総裁選でライバルが会長を務める日本遺族会の票ほしさに、公約として靖国参拝を宣言したのが小泉首相。沈静化していた近隣諸国との間に自ら政治問題として靖国を突きつけて波風を立てておきながら、強烈な反発にびっくりして、途中から心の問題などと急に言い出して、スタコラサッサと逃げ出してしまった。
  　小泉流のもうひとつの言い分はこうだ。中国や韓国にいわれたからって、参拝は止めません。参拝を止めなさいという人は、中国の言うことを聞けといっているのと同じですよ。
  　これほど稚拙なすり替えにも、ころりとだまされる人はいる。中国は首相の靖国参拝に反対している。Ａさんも反対している。ならばＡさんは中国の手先だ、という論理だ。
  　こわいのは、このつたない理屈をこんな風に使われかねないことである。
  「中韓は日本の核武装をかねて警戒していて、核武装には反対を明言している。日本国内で核武装反対を唱える人は、中国や韓国の言いなりになれといっているに等しく、反日の非国民だ」
  ありえない話だろうか。
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  自民党政府は「ゆとり教育」などにより計画的に若者の学力を低下させておいて、論理的思考力の弱い人間を量産してきましたから、小泉純一郎首相の稚拙な「論理」に「納得」してしまうのも無理はありません（こうして「ネット右翼」の基盤が作られた）。
  もっとも、若者だけではなく、年長者もそれなりに論理的思考力が弱い（笑）ので、自民党や小泉らに投票してしまった、ということを忘れてはなりませんね。バカな若者だけで自民党２９６議席（得票率47.8％）は取れませんよ。