2007年 2月 28日（水）

• 君が代伴奏命令 合憲　「思想の自由侵さぬ」　最高裁初判断（毎日新聞・朝刊）
  　公立小学校の入学式で「君が代」のピアノ伴奏を求めた職務命令を拒否し、懲戒処分を受けた東京都の女性音楽教諭（53）が「伴奏命令は憲法が保障する思想・良心の自由を侵害する」として東京都教育委員会の処分取り消しを求めた訴訟で、最高裁第３小法廷（那須弘平裁判長）は27日、原告側の上告を棄却した。国旗・国歌の「強制」を巡る初の最高裁判決で「伴奏命令は思想・良心の自由を侵害しない」として、職務命令を合憲と判断した。同種訴訟に影響を与えそうだ。
  ●処分の教諭が敗訴
  　判決は、君が代が日本のアジア侵略と結びついているなどとする教諭の考えを「自身の歴史観や世界観に由来する社会生活上の信念」と位置づけつつ「職務命令が直ちに教諭の歴史観や世界観それ自体を否定するものと認めることはできない」と指摘。
  ↓
  「思想・良心の自由を侵しているか否か」は、本人にしか分からないことでしょう。それを外野が「侵していない」と決められるわけがない。なぜ他人の心の中が分かると言えるのか？　この客観的な証明が無い限り、判決の論理構成に大きな穴が空きます（というか、空いています）。＞最高裁判所
  それにしても、何というデリカシーの無さだろう。ここまで酷い判決も珍しい。

2007年 2月 26日（月）

• 有言実行できますか？（毎日新聞・夕刊、「近事片々」）
  　安倍晋三内閣の支持率がついに不支持を下回る。「首相の指導力に期待できないから」が不支持の最大の理由。「指導力不足のダメ教師には辞めていただく」と力説していた人にはつらいなあ。
  ↓
  たしかに（笑）。
  でも、安倍晋三首相には自ら辞任する勇気も責任感も無いでしょうね。その程度の人間に「教育」 を語って欲しくはありません。

2007年 2月 24日（土）

• 『週刊金曜日（07/2/16）』より。
  • 不毛ミサイル防衛で狙う巨額の税金（P8-、本誌取材班「巨大兵器産業　三菱重工の正体」）
    　ＢＭＤ（弾道ミサイル防衛）で弾道ミサイルを撃ち落とすことができる確率は、おおむね「２０％程度かそれ以下」といわれる。…
    　それだけではない。航空自衛隊が運用する地上配備型ＰＡＣ３（パトリオット３）の射程はせいぜい半径２０キロ程度。日本全土のほんの一部しかカバーできない。「沖縄への先行配備も米軍基地を守るためで、県民のためではない。首都圏への配備も、横田（東京）や横須賀基地を守るためであって、米国は日本国民のことなど考えていない」（評論家）
    　結局、ＢＭＤでは日本の安全が守られない危険性が高い。イージス艦のレーダー運用や、正面装備の減少に象徴されるように、危険がより増すとも言える。
    　その代わりに、企業収益という形で果実を最も受け取るのは、ＳＭ３（スタンダード３）やＰＡＣ３をライセンス生産する三菱重工なのだ。「ＰＡＣ３の値段は公表されていないが、１発４億〜５億らしい。それを三菱重工業が生産すると、ライセンス料などで８〜１０億円に跳ね上がるとみられている」（安全保障に詳しい新聞記者）
    　そもそも、ＢＭＤの総事業費を１兆円規模としている防衛庁の見込み自体が疑わしい。「米国も、実際にどのくらいまで事業費が膨らむかは不明としている。事実上、際限はないとみなければならない」（ジャーナリスト）
    　先に述べたように米国から買ったほうがはるかに安いのだが、三菱重工は「国力維持のために防衛産業基盤を維持する措置が必要」（西岡会長）などとして、ライセンス生産にこだわる。その理由は簡単だ。企業収益に結び付けたいからだ。
    「ＰＡＣ３のライセンス生産だけで、三菱重工は少なくとも１０００億円、場合によっては３０００億円規模の収益を確保するとみられる。現在のＰＡＣ２による収益が、年間数十億円規模にとどまっているのに比べて大幅な収益アップだ。そのうえＳＭ３のライセンス生産による収益が加わる。さらに、次期ミサイルのＳＭ３将来型を開発し、米国を通じて世界中に事実上の武器輸出をしたり、必然的に生じるＢＭＤシステムの更新にともなって、新たな兵器をライセンス生産するようになれば、はかりしれない収益アップにつながる」（経済誌デスク）
    ↓
    無駄なものを作って大儲けする三菱重工。しかも、これらの兵器は日本政府が私たちの血税を投入して買うことになる、ということを忘れてはなりませんね。
    税金の使い道を決めるのは国会です。衆参の国会議員を選挙で変えることで、税金の使い方を変えることが可能です。
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  • ＜ニュースを見る目＞が変えられる（P30、山口正紀「映画『チョムスキーとメディア』」）
    マスメディアの第一の機能は、政府や企業の利益に民衆の支持をとりつけること、と彼は言う。全体主義社会で暴力が担う統制機能を、民主主義社会ではメディアが果たす。
    　何がニュースか。その大枠を決めるのは、『ＮＹタイムズ』や全国ネットテレビ。他のメディアはそれに追随する。大手メディアがニュースを選択し、形作り、統制・制限して、討論の範囲を決定する。
    「思想注入には、リベラルな方がより効果的」とチョムスキーは言う。『ＮＹタイムズ』に代表される「リベラル」は、高学歴層が受け入れやすい。だが、反体制ではない。「そこまでだ、それ以上はダメ」という枠がある。 … 広告のターゲットは購買力のあるエリート層、ニュース素材の安定的な供給源は政府と大企業。そのようにして、人口の２０％の富裕エリート層の「合意」が形成される。残り８０％は、考えず、関心を持たず、命令に従う。
    　彼は、「メディアは気晴らしで民衆の脳を鈍らせる」とも言う。異様な話題で重要な問題から目を逸らせ、思考能力を奪う。…
    「民主主義国におけるプロパガンダは、政府の検閲や悪意による報道の歪曲でなく、マスメディアが持つシステムそのものによって、ごく自然に行われる」──これが、彼のメディア分析の核心。…
    　大手メディアを民主的にするのは不可能と言う彼は、「市民が支配するオルタナティブなメディア」に希望を見出す。 … それは悪戦苦闘を強いられるが、可能性はあるという。なぜなら、「本来なら、人はごく自然に世界を知ろうと努め、良心の示す方向に進む」のだから、と。
    ↓
    この映画、面白そうですね。要チェックです！
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  • 「あるある大事典」のスポンサーを降りた花王の「あるある」度（P38-、鳥集徹「「花王」の企業体質が生んだ捏造事件」）
    　事実、健康エコナの「体に脂肪がつきにくい」という効果に異議を申し立てる専門家は何人もいる。早稲田大学スポーツ科学学術院教授の鈴木正成氏（筑波大学名誉教授）は健康エコナで揚げたコロッケをご飯と味噌汁と一緒に食べるという日常の食事と同じ条件で、花王が謳う効果が得られるかどうかを調べた。その結果、総エネルギー消費量や血中の中性脂肪濃度も、一般の油と比べて差がなかった。
    　実は、健康エコナの効果を報告しているのは、ほとんどが花王の研究所だ。「（都合の悪い結果の）データ隠しや改竄はないか」という筆者の質問に対して、花王は「そのような事実はない」と否定したが、ほんとうに信用できるのか。
    　健康エコナの効果を検証した鈴木氏は、花王の企業姿勢をこう批判する。
    「『体に脂肪がつきにくい油脂』とは言えないという私の指摘に対して、花王は『子どもたちや肥満していない一般成人には効果が出ない』と自ら情報隠蔽を認めました。にもかかわらず、『ご家族の健康のために』などと、誰にでも有効であるかのような広告で消費者を愚弄してきた花王の企業姿勢は大いに疑問です」
    　健康エコナは効果に疑問があるだけでなく、発がんを促進する可能性も指摘されている。また、ヘルシア緑茶も有効成分である高濃度茶カテキンのサプリメントが原因と疑われる肝障害の事例が、カナダやヨーロッパで報告されているという。
    ↓
    健康エコナは、子どもたちや肥満していない一般成人には効果がないことを、花王自ら認めました。が、ほとんどの人はこの事実を知らないでしょう。

2007年 2月 18日（日）

• 『週刊金曜日（07/2/9）』より。
  • 音楽科の教員として、「君が代」のピアノ伴奏をできない２つの理由（P10、池田幹子「「君が代」の伴奏は“流れ”に加担すること」）
    　なぜ「君が代」の伴奏をできないかと言うと、２つの理由があります。１つは、まったく違う体系のメロディーと和声を強引に一緒にしたもので、音楽として不自然だということ。
    　もう１つは、天皇をたたえる歌詞の問題です。かつてこの「君が代」と教育勅語がセットになり、学校現場で「天皇のために死ぬことが最高の道徳だ」と教え込まれてきたのです。
    　そういった「君が代」を戦後そのまま復活させて、今度は職務命令でもって教員に「立て、歌え、ピアノ伴奏しろ」と強制しているのです。そして、最終的には生徒にも「君が代」を強制的に歌わせようとしているのです。教員にも生徒にも「抵抗することはできないんだ」と諦めさせ、何も考えないで服従させることが目的なのだと思います。
    「君が代」のピアノ伴奏をすることは、自分がそういった流れに加担することになるので、「それはできない」と思っているのです。
    ↓
    つまり、「君が代」の強制に従うことは、「戦時の再現」＝「侵略戦争への協力」につながるということですね。「それはできない」と思って当然です。それを都教委は、減給・停職などの「実弾」でつぶしにかかる、という構図。結局、権力を持った人間が、「愛国心」を楯に、さらに権力を強めたい（そして、好き勝手なことをしたい！）と考えているだけでしょう。
    そもそも「愛国心」と「強制」とはなじまないものです。権力者どもにダマされないようにしましょう。
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  • 東中野修道の醜態（P26-、熊谷伸一郎「南京大虐殺という史実をめぐる攻防」）
    「これは日本人から受けた、２度目の被害です」
    　小柄な夏淑琴が、それまでの訥々とした口調を一変させ、強い口調で言った。昨年夏、渋谷でのことだ。
    　夏淑琴は1937年、南京で８人の家族とともに住んでいた。そして１２月のある日、闖入してきた日本軍によって夏淑琴は祖父・祖母、父と母、姉２人と生まれたばかりの妹を失った。姉２人は夏淑琴の目の前で強姦され、殺された。
    「思い出すたびに、今でも涙が流れます。あまりに泣き続けてきたので、私の眼は悪くなってしまいました」
    　姉２人が外国軍の兵士に犯される光景を前に叫び声をあげた夏淑琴もまた、日本兵に銃剣で体を３カ所刺された。彼女の被害状況は、当時南京にいた外国人牧師によっても記録されている。
    　その彼女が南京で、１人の日本人を相手取って裁判を起こしたのは2000年のことだ。訴えた相手は東中野修道（亜細亜大学教授）ら。その著書のなかで、外国人牧師の資料に残された夏淑琴と現在の夏淑琴は「別人物」、すなわち夏淑琴はニセ証言者というに等しい評価を下した人物である。『南京事件「証拠写真」を検証する』などの著書を通じ、いわゆる「南京大虐殺否定論」を唱える代表的な存在といっていいだろう。夏淑琴は憤る。
    「こんな中傷を受けるとは夢にも思っていませんでした。これほどひどい被害を受けた私を、さらに東中野は傷つけようというのです」
    　南京で起こされた訴訟に対して、東中野側は東京地裁に「債務不存在確認訴訟」、すなわち、仮に中国で敗訴判決が出されたとしても東中野らに債務は存在しないことの確認を求めて提訴した。それを受けて日本の弁護士や支援者らが、正式に日本で東中野らを相手取って訴訟を起こしたのは、昨年５月のことだ。
    ●「コメントできません」
    　提訴後の昨年７月１５日、亜細亜大学で開かれた市民講座で東中野が「市民生活と戦争〜南京事件を中心に」というテーマで教壇に立つと聞き、足を運んだ。
    　講義の始まる前には、夏淑琴を支援する市民団体「南京への道・史実を守る会」のメンバー数人が、大学構内を通る公道で、「東中野修道は夏淑琴さんに謝罪せよ／南京大虐殺の否定を許しません」と書かれた幅４メートルほどの横断幕を掲げ、東中野への抗議活動を行っていた。
    　講義内容は、南京大虐殺を世に知らしめた文献は国民党の金（かね）で書かれたものであり、武装を放棄した兵士を殺しても国際法違反ではない、といった、東中野が著書で書いている内容を基調としたものであったが、質疑の時間には、市民からかなり専門的な見地から疑問が呈され、東中野が回答できずに質問を打ち切る光景も見られた。筆者も東中野にいくつかの質問を提出した。
    　まず、確認として「南京では民間人の被害者は１人もいないという見解なのか」と問うたところ、東中野は『市民重大被害報告』という資料を挙げ、そこからは「今おっしゃったことの痕跡を見出すことは困難」と、一言一言を選びながら、慎重に回答した。そこで、重ねて「現に被害を証言している人がいるが、その証言も否定するのか」と質問したところ、「それはお答えできません。裁判になりますので。それはノーコメントでお願いします」と回答を避けた。
    「驚いた。まさか被害者本人の目の前で中傷を繰り返すほど、彼らの人間性が失われているとは……」
    　先述の市民団体「史実を守る会」のメンバーはそう話す。昨年６月、東中野らの名誉毀損を裁く第１回の法廷で、東中野の支援者ら（中年男性数人）が東京地裁前で繰り広げた宣伝活動は、東中野の主張を極めて平易かつ直接的に表現しているのかもしれない。彼らが「日の丸」とともに掲げたプラカードには次のような文言が記されていた。
    「指名手配シナ人／夏淑琴に天罰を／罪状大嘘吐き」
    「日本人を舐めるな／シナ・中共の売女／夏淑琴に天罰を」
    　幸いなことに夏淑琴本人にプラカードは目に入らなかったようだが、夏淑琴の代理人弁護士は「議論の余地なく名誉毀損に該当する」と指摘する。東中野支援者はハンドマイクでも東中野らの唱える否定論を繰り返すとともに、「シナ人の銃殺を支持（指示？）する」といった類の文句も発する。…
    ●百人斬り競争裁判は決着
    　一方、南京へと向かう途上で２人の日本軍将校が殺害数を競った、いわゆる「百人斬り競争」の報道をめぐって、戦犯裁判で刑死した２人の将校の遺族が、ジャーナリストの本多勝一や朝日新聞社などを訴えていた裁判は、昨年末１２月２２日、最高裁が原告の上告を棄却する決定を下し、決着した。「百人斬り競争」は虚偽だとする遺族らの訴えをすべて退ける判決が確定した。本多勝一は苦笑しつつ言う。
    「当然といえば当然の判決だというしかない。提訴された当初から、あまりにバカバカしい裁判だと思っていたが、裁判のおかげで多くの新しい資料が発掘されてきた点については感謝したい」
    　本稿の締切日に、東中野が、その名も『南京「百人斬り競争」の真実』という本を出版した。想像にたがわず、最近になって多く発掘された、百人斬り競争の実態を明らかにする資料のほとんどを無視し、否定論を展開する内容である。
    ↓
    そうそう。右派の「否定論」は、最近発掘された多くの資料を無視しているので、全く説得力がないんですよね（昔からの主張をバカのひとつ覚えのように繰り返すだけで進歩がない）。誰か、学術的な（科学的な）議論の方法を右派に教えてやって下さいな。どうも、そういう訓練がされていないようなので…。
    東中野修道やその支援者たちは、日本国の品位を下げていることに気付いているのでしょうか？　それとも、ウソの説を唱えてしまい、今さら後戻りができなくなってしまった自分を守ることで精一杯で、そんな余裕もないのかな？　ただ、彼らを単に追い込むだけではなく、彼らに謝罪させる道も用意しておいた方が良いと思います（もう、そういう段階に来ている）。
    --
  • 「慰安婦」は「売春婦」ではない。連行・監禁・強姦された上に、保釈金まで取られたのだ。（P46-、班忠義「性暴力被害者の軌跡」）
    日本軍の性暴力によって人生を台無しにされた中国人女性たちの半生を追った『蓋山西とその姉妹たち』。このドキュメンタリーを、９年の歳月をかけて完成させた監督が、映画で表現しきれなかったことを綴った。
    
    　１９９５年秋、私は切り立った岩山と深い谷間に黄土が果てしなく続く、山東省の辺鄙な田舎をジープで走っていた。「蓋山西（ガイサンシー）」と呼ばれた日中戦争当時、旧日本軍から性暴力の被害を受けた伝説の女性を探すためだ。
    　その３年前の９２年末、中国国内で初めて「慰安婦」だったと名乗り出た万愛花さんが来日した。彼女は農民服を着た、なまりの強い方言を話す老婦人であった。東京の神田パンセホール（当時）で開かれた市民集会で、万さんは過酷な体験を涙ながらに証言するうち、「日本人が憎い！」と言い放ち気絶したという。私はこの話を聞き衝撃を受けた。「中国人慰安婦」とは何なのか、言葉にならない当時の出来事とはいったい何なのか。
    　８９年から残留婦人帰国運動に関わってきた私は知人の元日本兵から「従軍慰安婦なんて存在しない、皆お金をもらった売春婦だったのだ」と聞かされ疑問を持っていた。実際に何があったのか取材しようと被害女性たちの住む山東省盂県を訪れることにした。…
    「ガイサンシー」について聞き取りを始めたところ、彼女同様、日本軍に連行、監禁、暴行された女性が生きていることが分かった。中には「ガイサンシー」と一緒の粗末な建物に監禁されていた女性もいた。事件当時１０代から２０代、結婚前の少女から乳飲み子がいた女性まで、どの人も輪姦、暴力、恐怖によって現在も婦人病やトラウマによる精神障害に悩まされている。
    　戦後も後遺症が原因で子どもが産めず、食べ物さえ不自由な農村で１人過酷な老後を送っている人も。彼女らの多くは「進圭社」（しんけいしゃ）という日本軍が築いたトーチカ周辺の出身者だった。村人たちの協力で滞在２、３日で十数名が名乗り出てきてくれた。
    　なぜ山岳地帯の小さな村でこんなに多くの旧日本軍の性暴力被害者がいるのか。
    　彼女たちの中に日本軍からお金をもらった人はいなかった。監禁状態を解いてもらうため、保釈金を払わなければならなかったのだ。唖然とした。日本で耳にする「慰安婦」の話とはずいぶん違う。…
    ●普通の少女が犠牲者に
    　取材を通じて私の知る「慰安婦」という概念は変わった。実際、長年にわたって広い範囲で起きた戦時中の性暴力事件は日本軍が関わる「慰安所」での性暴力、という一形態だけではなかったのだ。
    　中国では、抗日戦争当時、日本との民族戦争、政権党である国民党と共産党の階級闘争という２つの闘争が同時に存在した。日本軍の攻撃で徐々に弱体化した国民党と山間部に根拠地をつくり着実に力をつけた共産党の同床異夢という情況下、ゲリラ戦に対する日本軍の報復作戦の中で、共産党の支配地域の女性が特に深刻な被害を受けていた。彼女たちは、日本人の言う「慰安婦」ではなく、普通に村で暮らしていた少女たちであった。
    　現在も言論統制下の中国では、共産党の筋書きによる輝かしい抗日戦争の英雄談が宣撫されており、性暴力の犠牲者たちの存在、体験を記録し広めることは難しい。
    ↓
    小林よしのり等の様に「慰安婦は売春婦であった」と信じたい人間がいることは事実ですが、彼らは、もし慰安婦たちが主張していること（上記のような内容）が完全に事実だとしたら、どう責任を取るつもりなのか、考えたことはあるのでしょうか？　どうもその辺、想像力が欠如したまま、走り出してしまった様に思えてなりません（浅はか過ぎる）。
    あと、中国の権力者も日本の権力者と同様、自分に都合の悪い事実を隠蔽する傾向があるようですね（どの国の権力者も腐っている、の法則）。脚色せずに、ありのままの事実を後世に残すことが人類の発展のためには不可欠なのですが…。
    いつの世も、どこの国でも、つらい思いをするのは、非力な一般庶民です。

2007年 2月 16日（金）

• 元従軍慰安婦が米下院公聴会で証言　謝罪決議案めぐり（asahi.com、2007年2月16日）
  　旧日本軍の従軍慰安婦問題について日本政府に謝罪を求める米下院の決議案をめぐり、下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会は１５日、元慰安婦３人を招いて公聴会を開いた。これに対し、加藤良三駐米大使は「日本政府はすでに謝罪している」と反論する内容の書簡を小委員長あてに提出した。
  　公聴会で韓国の元慰安婦は、過酷な当時の生活を振り返り、「私は（日本政府から）謝罪を受けていない。彼らが私の前にひざまずき、心からの謝罪をするまで私は訴え続ける」と述べた。別の元慰安婦は「自殺を試みたが、見張りのために死ぬことすら出来なかった。私の青春を返してほしい」と語った。
  　また、旧日本軍が占領していたインドネシア・ジャワ島に住んでいた元慰安婦は、刀を突きつけられて暴行された体験を生々しく語り、こうした女性への人権侵害が二度と起きないよう訴えた。
  　提案者の一人である日系のマイク・ホンダ議員は公聴会で、９３年に当時の河野洋平官房長官が軍の関与と「強制性」を認めた「河野談話」の見直しを行う動きが自民党内にあると懸念を表明。決議案を出した意図について記者団に「正しいことだからだ」と語った。
  　加藤大使の書簡は１３日付で、公聴会の開かれた１５日に公表された。「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明してきた」と主張。日本大使館は「決議案は事実に基づかず、日本が既に行ってきたことを改めて要求するなど不適切な内容を含んでいる」としている。
  ↓
  「日本政府はいわゆる従軍慰安婦問題に関する責任を明確に認め、政府最高レベルで正式なおわびを表明してきた」とは驚きです（初耳です）。よくそんなウソがつけますね。客観的な証拠を出して欲しいものです。逆の立場の証拠なら、ポコポコ出て来ますがね…。歴史的事実を正視しようとしない現代日本の狂信的右翼（自民党の政治家や小林よしのり等の文化人）が元従軍慰安婦の方々を現在進行形で傷つけ続けている現状を見て見ぬふりしている日本政府の現在の姿勢も問われているのですよ。
  そもそも「謝罪」になっているかどうかは、加害者（日本）が決めることではなく、被害者（元従軍慰安婦）が決めることです。被害者が「不十分だ」と言っているなら、それは不十分なのです。にもかかわらず、「ちゃんと謝罪してるだろが！」とでも言いたげなゴーマンな態度は取るべきではありません。＞日本政府

2007年 2月 12日（月）

• 政務調査費：全国１８３億円　「領収書いらず」が７割（毎日新聞・朝刊）
  　「第二の議員報酬」とされる地方議員の政務調査費が今年度、４７都道府県と１５政令指定都市で総額約１８３億円に上ることが１１日、毎日新聞の調査で分かった。このうち４４自治体では現在、収支報告書に領収書添付が義務づけられておらず、約１３１億円が事実上ノーチェックで支出されていることも判明した。議員の審議能力向上のため導入されながらずさんな使いぶりが次々と明らかになっている政務調査費。巨額の税金が投入されながら、不透明ぶりを改めて示した形だ。政務調査費の扱いについては、統一地方選でも大きな争点となるため、緊急調査した。…
  　議員１人当たりの年額で最高額は東京都と大阪市の７２０万円。以下、大阪府７０８万円▽横浜市、名古屋市６６０万円▽京都市６４８万円▽北海道、神奈川県６３６万円−−などとなっている。 …
  　議員の間には添付した領収書が公開されることに抵抗感は強い。栃木県議会の阿久津憲二議長も、「領収書添付を義務付けて公開したところで１００％訴えられる。日ごろから後援会の人たちと会合や会食をしなければ次の選挙で勝てない。添付義務や公開の話をする前に、議員活動に必要なものは何なのか、まずそのあたりの議論を先に進めるべきだ」と漏らす。
  ↓
  ハァ？　「日ごろから後援会の人たちと会合や会食をしなければ次の選挙で勝てない」って、あんたらが次の選挙で勝つため、という超個人的な目的のために「政務調査費」（公金）を使って良いわけないでしょう。仮に「政務調査費」が必要だとしても、現在の政治にのみ使うべきで、元が税金である以上、領収書添付も当然です。「添付した領収書が公開されたら訴えられる可能性がある」って、訴えられるような使い方をしていること自体が問題なのですよ！
  しかも新聞の取材に「正直」に答えているあたり、悪いことだと分かっていない（笑）ようなので、柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言と同様、現在の「主流」政治家たちの意識の低さには呆れるばかり…。
  次の選挙で勝つための費用は、税金を使わずに、自腹で用意しなさい。＞全国の議員諸君

2007年 2月 10日（土）

• 『週刊金曜日（07/2/2）』より。
  • 四男への公費投入問題だけではなかった石原慎太郎・東京都知事（P10-、吉田信夫「都政私物化と浪費をただす　批判に居直った石原知事の傲慢」）
    　石原知事はこれまで、「何が贅沢かといえば福祉」と公言し、老人福祉手当や老人医療費助成の廃止など福祉施策の容赦ない切捨てを行ない、この間、福祉関係費を５４０億円、中小企業予算は４割も削減してきた。その結果、全都道府県で後退レベルは最悪といえる事態となり、３０人学級・少人数学級はついに全国で唯一の未実施となってしまった。
    　しかも少額にもかかわらず、視覚障害者に貸与してきた盲導犬のエサ代（年間６４万円）や、盲ろう者のための通訳介助者養成事業まで打ち切った。その一方で石原知事自ら、都民の血税を１日当たり何十万円単位で個人的に浪費し、実質的には観光でしかない超豪華な「海外出張」を繰り返している。
    　その回数は、２期７年余で１９回。資料が保存されている１５回分だけで見ても、経費は実に総額２億４０００万円に達した。１回で２０００万円から３０００万円もかけ、しかもガラパゴスやグランドキャニオンなど、明らかに観光目的としか思えないような旅行に「海外出張」と称して公費が投じられている。
    　石原知事の「海外出張」は、首都圏の埼玉、千葉、神奈川の各県知事の出張費が１回当たり２００万円から８００万円という事例と比べ、ケタはずれの浪費である。しかも知事自身ばかりか、妻や特別秘書など身内も引き連れての「大名旅行」だ。
    　飛行機は知事だけでなく妻も特別秘書もファーストクラスで、成田・ワシントン往復は１人１１６万円も支出されている。都の条例規定では妻の旅費を支出する根拠はなく、特別秘書もビジネスクラスまでしか利用できないにもかかわらずだ。
    　宿泊費も並外れだ。知事と妻、そして特別秘書も条例規定を数倍超えるホテルの部屋を利用するのが常習になっている。ワシントンの場合、規定は１泊４万２０００円であるにもかかわらず、１泊１３万１５００円のホテルに泊まっている。しかも１日目は午前中ホテルに入ったため、２日分の２６万３０００円となり、夫婦で５２万６０００円を支払ったケースまであった。
    ↓
    石原慎太郎は、都民の血税を個人的に無駄遣いしているだけではなく、
    「文明がもたらした最も悪しき有害なものはババァなんだそうだ。女が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪。男は８０、９０才でも生殖能力があるけど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害。」
    などの暴言でも有名ですが、なぜ都民が都知事選で石原慎太郎なんかに投票したのか、理解に苦しみます。
    俳優の石原裕次郎とは全くの別人なのですが、ちゃんと区別ついてますか？（笑）＞東京都民
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  • どう見てもやっていることは「人道復興支援」どころか戦争そのものだ（P18-、成澤宗男「イラクで航空自衛隊は何をしているか　秘密の裏に隠された侵略協力」）
    　イラクに足を踏み入れた自衛隊を報道するのにあたって、必ず「人道復興支援活動」を枕詞にしているマスコミによって国民の目は曇らされているが、現場の実態も責任者によれば戦争そのものだ。
    「Ｃ１３０Ｈの機体に関しては、対空砲火の目標にされにくくするため、従来の迷彩塗装から、空の色に同化するブルーグレーに変え、機体底部などは機内を装甲用の鉄板で補強した。装備関係では、ミサイルを“おとり”の熱源に誘導するフレア装置を、夜の運航用には夜間暗視ゴーグルを備えている。さらにＣ１３０Ｈを飛ばす際、全クルーは防弾チョッキを身につけ、常に緊張して任務に臨む」
    「飛行ルート周辺はテロなどの危険地帯で、常に脅威を前提にして活動中だ。空自の任務はメディアでほとんど取り上げられない運用状況下で行なわれるため、ややもすれば地上で働く陸自よりも安全だろうと思われているが、それは事情を知らない見方だ」（『世界週報』０５年１２月１３日号における永岩俊道空自航空支援集団司令官の発言）
    ↓
    もうすっかり忘れ去られているようですが、まだ自衛隊はイラクにいて、しかも米国によるイラク侵略戦争に協力しています。
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  • 日本に強制連行された中国人の遺骨２３００人分を中国に送還（P60、本多勝一「貧困なる精神312　５回目の南京へ19年ぶりに(3)　傷跡が生々しい侵略の被害側」）
    　林（伯耀）氏は神戸市在住の２代目華僑である。報告は中国人強制連行の実態だ。1990年にこのことを知って調査を始めた。日本に連行されるや135カ所の現場で酷使され、１年半以内に約7000人が死んだ。林氏らはその遺骨さがしをして、これまでに約2300人分を中国に送還した。さる８月１８日に、天津市でそうした連行労働者の追悼記念碑が完成して落成式に参列したという。戦後６０年を経ても、侵略の被害側は傷跡がいつまでも生々しいのだ。
    　こうした記念碑には３つの意味があると林氏は語った。第一に「歴史を忘れるな」という日本人への警告。第二は遺骨さがしの労を厭わず、日本側の協力者もいることを忘れるなという中国人民への警告。第三は「靖国神社」が存続する現実への認識。Ａ級戦犯がまつられているこの神社は中国人民の心を、一般日本人の想像をはるかに超えて傷つけている。
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    南京での国際平和討論会にて発表されたものです。
    今回の件に限らず、「事実を知っている人間」の方が、「（侵略など）無かったことにしたい、という人間」よりも、広い視野で深く考察している傾向があるのでは？と思いました。やれ「反日だ」、やれ「親中だ」とレッテルを貼ることで安心していると、そこで思考停止してしまい、そこから先へ進んで思考している連中に負けてしまうのでは？＞右派の諸君

2007年 2月 5日（月）

• 『週刊金曜日（07/1/26）』より。
  • 日本経団連は売国奴である（P8-、対談：斎藤貴男・佐高信「日本経団連「御手洗ビジョン」のゴーマン」）
    佐高　…「御手洗ビジョン」では、消費税を二段階で１０％に引き上げる一方、法人税は現在の実効税率約４０％を３０％に引き下げるとしています。これでは露骨な企業優遇、大多数の市民・国民いじめじゃないですか。会社は強くなるが、個人消費は弱くなる。企業の発展にはつながらないですよね。企業の利益と国家の利益は背反するんです。そういう想像力をなくし、財界が国家の下請け、政治の下請けになってしまっています。奥田、御手洗とどんどん質が悪くなっていますね。…
    斎藤　ビジョンにあるメニューも、表現こそキレイですが、徹底的に身勝手な、金儲けだけの論理ですね。法人税を下げ、貧乏人から消費税を取って、暮らしていけない人は死んでしまえ、国際貢献の名の下に世界中を市場化し、アメリカとともに収奪していくためには戦争も辞さない。だから憲法９条第２項を見直し、自衛隊を軍隊にし戦争のできる国に変える。知性も人間性もみじんも感じられません。このビジョンによって「世界中から尊敬され親しみを持たれる国」を目指すとしていますが、とんでもないですね。逆に「世界中から軽蔑され憎悪される国」になってしまいます。
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    斎藤貴男氏も、佐高信氏も、こんなにも日本のことを心配しています（私と同じ「真の愛国者」の様です）。
    最近話題の「ホワイトカラーエグゼンプション」ですが、「年収４００万円以上の者は残業代ゼロ」という残酷なアイデアも、実は、2005年から（2006年じゃないですよ！）日本経団連が強力に導入を推進してきたものです（『週刊金曜日』を読んでると、時代を先取りできるなあー）。
    なお、最近、私の不買運動リストに（御手洗冨士夫が会長を務める）キヤノンが加わりました。昔は結構、好きだったんだけどな…。「キヤノン、お前もか」。
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  • 『新潮』の暴力扇動こそ徹底批判を（P26、中嶋啓明「人権とメディア　『金曜日』の「おわび」」）
    　少々時機を逸したかもしれないが、やはり一言書いておかなければと思う。
    　ほかでもない、本誌主催の集会で演じられた皇室パロディのパフォーマンスをめぐり、昨年末の本誌636号に載った文章についてだ。…
    「おわび」は、こう述べている。
    「パフォーマンスは、人権およびプライバシー上、一部の表現に行き過ぎや不適切な言動があったことで、誤解や不快の念を生じさせてしまいました。集会主催者として配慮を欠いたことを率直に反省しおわびする」
    　これは、誰に向かって「反省しおわび」しているのだろうか。右翼なのか、読者なのか。皇室の「人権」などを「侵害」したという、『新潮』の指摘を前提にしても、いずれも当事者ではない。パロディを含む表現行為は、何らかの「誤解や不快の念を生じさせ」るものだろう。「誤解や不快の念」を含む多様な認識や感情を、受け手に抱かせるものが表現という行為なのだから。なのになぜ、第三者でしかない読者や右翼に「おわび」する必要があるのだろうか。
    　もし本当に、「人権」などを「侵害」したと、本誌編集部が思っているのなら、「侵害」した相手の当事者に対してこそ、謝罪すべきだろう。当事者が、自らそうした権利があると考え、それを要求してきているのなら。…
    『新潮』に書かれているパフォーマンス程度のことで「人権やプライバシー」を云々するなど、「人権やプライバシー」概念の歪曲というしかない。何が「不敬で下劣」だ。日ごろ、市井の人々に対する人権無視やプライバシー侵害をやりたい放題やっている『新潮』こそ「下劣」と批判されるのに相応しい。権力の犬となって、暴力を扇動する『新潮』の記事こそ「人権やプライバシー」に対する「不敬」だと思う。
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    その通り。思考停止せずに、ちゃんとここまで考えましょう。
    それにしても、 『週刊新潮』の人権無視・プライバシー無視の記事は本当に酷いですよね（まさに、「おまえが言うな！」って感じ）。2004年4月のイラク邦人人質事件 以来、私は今でも新潮社の不買運動を継続中ですが、新潮社の悪質さは一向に改まる気配がありませんので、このままだと永遠に新潮社の書籍を買うことはないでしょう。
    それはともかく、じゃあ今度『週刊新潮』が人権無視・プライバシー無視の記事を書いたら、『週刊新潮』の発行人と編集長は「おわび」をするかというと、そういう事態は絶対にありえないんですよね。『週刊金曜日』の編集部は本当に良くやっていると思うけど、まじめだなあ…。図太さについては、『週刊新潮』を見習っても良いかもしれません（笑）。
    もっとも、信頼性の高い記事も載る『週刊金曜日』にそこまで求めるのは酷か、という気がしないでもないです。 『週刊新潮』のようなテキトーな雑誌の「左派バージョン」を創刊すべきなのかも…。