●●●　2004年 5月の三大ニュース　●●●

7日・11日・13日：年金未納で福田・菅が辞任。公明党の神崎・冬柴は辞任せず。
23日：日朝首脳会談　拉致家族５人帰国　不明者・核 進展なし
28日：日本人記者銃撃される　バグダッド近郊　２人死亡

2004年 5月 30日（日）

• 自民改憲案　政教分離見直し　伝統行事対象外に　靖国参拝、決着狙い（毎日新聞・朝刊）
  自民党憲法調査会（安岡興治会長）は29日、今国会中にまとめる「党憲法改正草案の素案」に、特定宗教の布教・宣伝を目的にしない宗教的行事の場合は国が関与できるよう、政教分離を定めた憲法20条３項の改正案を盛り込む方針を固めた。伝統的・儀礼的な行事であれば政教分離の対象外との考え方に基づくもので、首相の靖国神社参拝に伴う憲法問題をクリアするのが最大の狙いだ。戦前の「国家神道」への反省から生まれた政教分離をなし崩しにするとの批判を生むとみられる。…
  自民党内には「首相の靖国参拝や、地鎮祭などへの公金支出は、憲法が禁じる『宗教的活動』にはあたらない」との考え方が根強くある。同調査会の論議でも「戦没者の追悼を目的とする参拝が政教一致のはずがない」「日本の伝統・文化に関する行為を『宗教』の名のもとにひとくくりにしていいのか」といった意見が続出していた。
  ↓
  思想の自由は憲法で保障されていますから何を考えるのも自由ですが、自民党という政党はこんなことを考えているんですね。
  首相の靖国神社参拝に伴う憲法問題をクリアするのが最大の狙いということは、毎年小泉純一郎首相が行っている靖国参拝は憲法違反であることを認めているわけですね。ならば、公務員である小泉純一郎には憲法尊重擁護の義務（憲法第99条）がありますから、まず現憲法下の靖国参拝を止めさせなさい。＞自民党の諸君
  「戦没者の追悼を目的とする参拝が政教一致のはずがない」って、「参拝」という単語自体が宗教用語なのですが…（笑）。目的を問わず宗教施設に「参拝」（神社や寺などに神仏などを拝みに行くこと）をすることは、形式的であれ「英霊」や「神仏」を認めている時点で、すでに立派な「宗教行為」です（つまり、政治家が公的に行えば無条件に「政教一致」です）。
  世界的に見ても、多くの近代国家（民主主義国家）は政教分離をすることで、客観的（科学的）根拠が無くアヤフヤな「宗教」を「政治」から切り離し、合理的に政治・経済を運営できるようにしています（政教分離は、不幸な歴史を繰り返さないようにするための人類の知恵であり財産です）。もちろん、個人レベルでの信教の自由は保障されていますから、問題なのは国家レベルで宗教と政治を結びつける場合ですね。
  伝統的・儀礼的な行事であれば政教分離の対象外というのも危険な考え方です。そもそも「伝統的・儀礼的」の基準が曖昧ですし、全ての文化（人類の知的活動）は多かれ少なかれ「伝統」の上に成立していますから、政府に都合の良いように適用範囲を広げることは容易です。これまで多くの自民党議員が発言してきた通り、政教分離をしていない戦前・戦中の日本の様な前近代国家を自民党は理想としている様ですが、そのための「政教分離見直し」であることは明白です。
  それにしても、自民党（国家神道）・公明党（創価学会）による「宗教国家ニッポン」ですか。他の宗教の信者や無神論者のことなど一切考慮せずに、特定の宗教を政府が国民に押しつける近未来の日本社会。息が詰まりそうです。

2004年 5月 28日（金）

• 勤務実態なく厚生年金加入　首相、事実上認める（毎日新聞・朝刊）
  小泉純一郎首相は27日午後の参院イラク・武力攻撃事態特別委員会で、横浜市の不動産会社社員として厚生年金に加入していた70年４月から74年11月の間の勤務について「（当時の社長は）『あんたの仕事は次の選挙で当選することだ。会社なんて来なくていい』と言っていた」と述べ、勤務実態がないのに加入していたことを事実上認めた。民主党の斎藤勁参院議員の質問に答えた。野党側は「本当であれば法にふれる行為だ」（川端達夫・民主党国対委員長）と強く批判している。
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  小泉首相は重大な違法行為をしていたのに、その自覚はない（ように演技している？）様です。
  本人に自覚があろうがなかろうが、違法行為には変わりがありませんから、追及の手をゆるめてはなりません。「『１、２年何もしないで遊んでいろ』と言った、たいした社長だと思う」（毎日新聞・朝刊）という発言は、日本国の総理大臣という地位にありながら違法行為にお墨付きを与える（「俺もやってたんだから、皆もやれ」ってか？）という二重に問題のある発言です。そもそも、まじめに労働して年金保険料を納めている国民を愚弄しています。
  少なくとも、こんな国会で年金改悪法案を通してはなりません（日本の恥です）。白紙に戻すべきです。
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• 「虐待しながら尋問」新写真（毎日新聞・朝刊）
  米NBCテレビは26日夜（日本時間27日朝）、イラクのアブグレイブ刑務所で米陸軍情報部員らが収容者を虐待しながら尋問している様子とされる写真をウェブサイトに掲載した。虐待の写真は、尋問中のものは初めて。「少数の兵士による個人的な違法行為」とするブッシュ米政権の主張に反し、虐待が尋問の一環として組織的に行われていたことを示唆する新たな「証拠」が浮上した格好だ。
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  ブッシュ大統領が発言する際には「違法行為」の前に必ず「少数の兵士による個人的な」という枕詞を付けていますが、日本のＮＨＫラジオは「自衛隊」の前に必ず「イラク復興支援の」という枕詞を付けていた（『週刊金曜日（04/5/21）』P61）、とのことです。 「ウソも百回繰り返せば、本当だと信じ込ませることができる」という古典的な手法ですが、意外に有効なので現代社会の至る所に見られます。
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• 日本人記者銃撃される　バグダッド近郊　２人死傷の情報　おじとおい　車両襲われ　サマワ取材の帰途（毎日新聞・夕刊）
• マハムディヤ　無差別攻撃相次ぐ（毎日新聞・夕刊）
  日本人ジャーナリストが27日銃撃されたバグダッド南部マハムディヤ周辺は、反占領武装勢力の活動が活発で極めて危険な地域だ。特に夜間には幹線道路を走る車に対して無差別な攻撃が行われているといわれ、現地住民でも移動を控えているほどだ。
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  人質事件の時に日本人の人質に対して失礼な発言をしていた人々は、今回も２人のフリージャーナリストに対して「自己責任」とか「幼稚」とか「金払え」といった悪質な批判をするのでしょうか（基本的な構図は同じです）。

2004年 5月 26日（水）

• 『週刊金曜日（04/5/21）』より。
  • 市民の動きを監視する政府への対応法のひとつ「逆監視」（P12-、テッサ・モーリス=スズキ、小倉利丸「対談　国家と企業が癒着してつくった巨大な檻」）
    小倉　要するにいまの社会というのは、政府も企業も含めて自由というのは非常に大切な価値だということを一応看板として掲げるわけです。だから監視カメラであれ、ほかのさまざまなセキュリティの技術であれ、人々の自由を守るというのが大義名分になっています。たぶん言ってみれば僕らは動物園の動物みたいなものなんです。動物園で生まれ育った動物たちは、動物園のそのスペース自体が自由で、動物園にある檻とか柵は自分の自由を守ってくれるものだと思っている。本当の自由は何かとか、自分たちの自由はどういう形で奪われているのかということを実感として知ろうとすれば、檻を破るとかいう話でしょう。はたからみればそれは違法な行為であるとか、秩序を乱す行為、自由を脅かす行為というふうになりますよ。私たちはそんな複雑な状況にあるのです。
    テッサ　シンガポールで市民運動をなさっているジェームス・ゴメスさんが、面白い提案をされていました。それは「逆監視」です。シンガポールで反体制的な運動を行なおうものなら、必ず情報当局のスパイたちが潜入します。運動をしている市民の側はそのグループの中に全く知らない人が入ってくると、それは当局の人間だと分かる場合があります。それでシンガポールの運動家たちは、スパイの顔写真を撮ってホームページに載せたのです。効果はあったようです。
    小倉　日本ではＮシステムという自動車ナンバー自動読取りシステムがあるのですが、その設置されている場所を全国のメンバーが調べ、地図に示して公表している「一矢の会」というＮＧＯ（非政府組織）があります。その活動が、「逆監視」にあたると思います。
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    この考え方はヒントになると思います。政府や企業が勝手に我々の個人情報（顔や指紋や車の所在地…等々）を取得し「活用」する監視社会において、「やられっぱなし」にならないために。
    （参考：2004年1月5日より、アメリカに外国人が入国する際には、両手人差し指の指紋と顔写真を撮影されます）
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  • 「幽霊社員」による厚生年金加入は犯罪です＞小泉首相（P16-、本誌取材班「小泉首相に厚生年金「不正加入」疑惑」）
    小泉首相の場合、問題は国民年金より厚生年金にある。勤務実態がないにもかかわらず、厚生年金に加入していた「幽霊社員」疑惑である。…
    小泉首相の「年金歴」には、７０年４月から７４年１０月までのおよそ４年半に及ぶ「厚生年金」への加入歴がある。つまり、この間、小泉氏はサラリーマンだった。飯島秘書官も１４日の記者会見で、「不動産会社員」として厚生年金に加入していた、と説明している。そして、この時期は、６９年１２月の総選挙に初出馬して落選し、浪人していたころと重なる。…
    かつての勤め先である不動産会社は横浜市内にある。そして、当時の小泉首相の選挙区は、横浜市ではなく、横須賀市をはじめとした三浦半島周辺と川崎市だった。午前中は（世田谷の福田赳夫・元総理の）秘書、午後は選挙運動なら、一体いつ、会社で仕事をしていたというのだろう。
    さらに小泉首相は、７２年１２月に衆議院議員に初当選した後も、７４年１０月までの約２年間、同社に務め続けて（すなわち厚生年金に加入し続けて）いる。改めて言うまでもなく、ここで問題になるのは、代議士の仕事と並行しての「会社員としての勤務実態」がどのようなものだったのか ーー ということだ。…
    ちなみに、「労務の実態がない」と判断され、詐欺罪で逮捕された政治家が過去にいる。…
    （東大阪市の）清水（行雄）市長は、市長に当選するまでの市議・府議時代、市内の鋳物製造会社の常勤社員としての雇用を装って厚生年金に加入し、給付された年金約６００万円を騙し取ったとして、他の罪状と共に詐欺罪で起訴され、懲役２年６カ月（執行猶予４年）の判決を受けた。
    労務実態のない「幽霊社員」による厚生年金加入は、立派な犯罪なのである。
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    野党やマスコミは、この疑惑を追及しないのでしょうか？
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  • ３人に国民栄誉賞を、日本は歴史に学べ、各自が「私が日本」と認識を、…（P22、小田実「派兵反対メッセージ10：平和憲法は「今こそ旬」なのだ」）
    人質になったあの若者たちがいたから、自衛隊は攻撃されないで済んでいた。自衛隊は彼らに感謝すべきなのだ。それを、自己責任とか、金払えとか中傷するのは許し難い。国際的にも恥ずかしい。海外の邦人を救う政府の義務はパスポートにも書いてある。そのために税金を払っているのだ。自衛隊は一体いくら使っているのだ。まともな日本人もいることを世界に示した３人には、本来、国民栄誉賞でもあげるべき話ではないか。…
    日本はもっと歴史に学ぶべきだ。義和団の鎮圧部隊やシベリア出兵を振り返って見なさい。日本は英国に言われるままに軍を派遣し、そして列強が先に引き揚げた後も、アホみたいにいつまでも残り、現地の顰蹙と反感を買うことをしてきた。今回だって、気が付けば米英は引いてしまい、日本だけが残って馬鹿を見ることになりかねない。小泉首相は全く歴史を学んでいない。すべてが不勉強のきわみだ。…
    イラクは明らかに、それ自体違憲である「特措法」のいう非戦闘地域ではない。サマワの基地内に籠っていて何が人道支援活動だ。…
    平和憲法は「今でも旬」なのではない。「今こそ旬」なのだ。価値観の多様性を認めてこそ民主主義。「われら」でも駄目。「われわれ」である。個人個人だ。各自が「私が日本」だと認識してほしい。間違っても小泉や天皇の国ではない。
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    １ページの記事ですが、密度高すぎです（笑）。詳しくは『週刊金曜日（04/5/21）』で御覧下さい。
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  • 「守る会」の必要性（P36、伊藤千尋「環太平洋通信29：＠東京」）
    ただ、人質事件には反省点がある。人質を世間の批判の中で孤立させてしまったことだ。彼らを擁護、代弁し世間と彼らの間に立つ「守る会」が必要だ。今後はＮＧＯやジャーナリズム、法律家などが一体となってこうした機関をすぐに立ち上げるべきだ。
    ↓
    すぐれた提言だと思います。何か事件が起きてからでは遅いので、常に待機している必要があると思います。

2004年 5月 23日（日）

• 日朝首脳会談　拉致家族５人帰国　不明者・核 進展なし　制裁見送り　食料２５万トン支援（毎日新聞・朝刊）
  ８人全員の帰国を求めた小泉純一郎首相に対し、金正日総書記が「離散家族を作る必要はない」と容認。しかし、曽我ひとみさん（45）の家族３人は来日を拒んだため、当面は北朝鮮にとどまることになった。…
  横田めぐみさん（行方不明時13歳）の父で家族会代表の滋さん（71）は「予想していた最悪の結果が出た」と批判
  ↓
  現時点での評価は分かれていますが、最終的な評価は今後の日本政府の対応によって決まると思います。
  今回の首脳会談で全てが終わったわけではありません。今後も日朝間の「融和」（そして、国交正常化）へ向けた動きを維持できるのであれば、まだ可能性はあります。
  単に７月の参院選で自民党が勝つための「小泉訪朝」であれば、参院選後（もしくはそれ以前から？）、政府もマスコミも北朝鮮敵視政策を再び推進するでしょう（アメリカもそれを望んでいます）。その時に「最悪の結果」であることが判明するのだと思います。

2004年 5月 22日（土）

• 赤十字国際委「米軍、組織的に虐待」施設査察報告書（毎日新聞・朝刊）
  イラクに駐留する米英軍の複数施設での収容者虐待の詳細が、毎日新聞が入手した赤十字国際委員会（ＩＣＲＣ）の報告書で明らかになった。…
  報告書は２４ページで、昨年３〜１１月の間にＩＣＲＣの職員がイラク国内の１４施設を２９回視察、身柄の拘束や移送、尋問時に受けた虐待について、拘束者から直接聞き取りしてまとめた。それによると、昨年１０月中旬に視察したアブグレイブ刑務所では、米軍情報部が一部の収容者を対象に「組織的方法」で肉体的・心理的虐待を実施していた。…
  具体的には▽袋を数日間かぶせられたまま尋問時に殴られる▽裸で女性用の下着を頭にかぶせられ写真を撮られる▽裸のまま手錠で鉄格子に固定▽睡眠や食事を制限ーーなどの虐待を受けたと収容者が証言。裏付けとなる体の傷などもＩＣＲＣ担当者が確認した。尋問で協力すると、服を着たり、ベッドや電灯のある房に移動できるなどの「報酬」が与えられたという。…
  また、昨年９月１３日にバスラで拘束された男性９人のうち２８歳の男性は、占領軍の兵士に激しく殴られて死亡。死亡証明書に死因は「心肺停止」と書かれたが、遺体は鼻や肋骨が折れていた。
• 「豚肉を口に押し込む」米紙報道　刑務所でタブー強制（毎日新聞・朝刊）
  ２１日付の米紙ワシントン・ポスト（電子版）はイラクのアブグレイブ刑務所での虐待事件で、米軍捜査官が収容者から聴取した証言の詳細などを掲載した。証言によると、米兵はイスラム教の断食月間「ラマダン」の最中も暴行や性的虐待を行い、収容者にイスラム教を批判するよう要求したり、宗教上飲食が禁じられている豚肉や酒を無理やり口に押し込んだという。
  証言は１３人の収容者のもので、合計６５ページに及ぶという。いずれも同刑務所の「１Ａ」棟で起きた虐待に言及している。米軍によると、多くは昨年１０〜１２月に発生した。
  収容者の１人は「よつんばいになって犬のようにほえさせられた。拒否すると顔や胸をひどく殴られた」と説明。別の収容者は「背中に女性の絵を描かれ、屈辱的な姿勢を取らされた」と述べた。米兵らは「お前の妻を暴行してやる」といった脅迫も行った。
  ↓
  次々と事実が出てきますね。赤十字国際委員会も「組織的虐待」と考えているようです。
  尋問に「協力」すると「報酬」 が与えられた、とのことですが、虐待（というよりも拷問）から逃れようとした無実のイラク人収容者がウソの内容を証言する（死者も出ている位ですから、無理もないと思います）ことで、また新たに無実のイラク人が逮捕されたり虐待（拷問）されたりしたのでしょう。

2004年 5月 21日（金）

• 「徴兵制」をめぐるブッシュ政権内の駆け引き という視点（毎日新聞・夕刊、田中宇「イラク虐待写真の見方　上官への業務報告か」）
  現場の兵士が 上官の目を盗んで虐待しただけなら、写真を撮って自ら証拠を残すことはないはずだ。兵舎での持ち物検査で上官に写真を見られたら懲戒されるからだ。 …
  虐待写真は、尋問担当者から要請された通りに虐待をやりましたという意味の看守の兵士たちによる「業務報告」として撮影されたと考えられる。…
  徴兵復活論者は連邦議会にもおり、民主党のジョセフ・バイデン上院議員や、共和党のジョン・マケイン上院議員などが急先鋒だが、虐待写真の暴露後、すかさずラムズフェルド辞任要求を発したのは、バイデンやマケインだった。彼らは、虐待写真事件をテコにラムズフェルドを辞任に追い込み、後任の国防長官には徴兵制に賛成する人物を据えることで、兵力増派を実現しようと考えたと思われる。ラムズフェルドが辞めたらイラク情勢は良くなると考えがちだが、全く逆になる恐れがある。
  ↓
  まず１点目。「虐待写真」それ自体が、米軍による組織的虐待の証拠である、ということ。
  そして２点目。 ラムズフェルドも相当な悪人だが、アメリカにはそれ以上の「人材」がいて、後任の国防長官に推そうとする動きがある、ということ（参考：米国は、ベトナム戦争以来、徴兵制を止めている）。
  本当に、アメリカはどこまで腐っているのでしょうか。 小泉自民党公明党政権は、こんなアメリカにどこまで付いて行くつもりなのでしょうか（「日本でも徴兵制を導入したい」と考えている政治家には、かえって好都合なのかもしれませんが…）。

2004年 5月 18日（火）

• 『週刊金曜日（04/5/14）』より。
  • 「帰国後、日本社会に拉致されてしまった」（P19-、浅野健一「今井紀明さん単独インタビュー」）
    今井紀明さん（18歳）は、いまの考えを札幌市の自宅でこう語り始めた。
    「 … 日本に帰って、別の意味で（行動の自由がまったくなく）拘束されていると感じています。韓国の『東亜日報』特派員が書いたように、日本社会に拉致されたという感じです。… 」
    今井さんが指摘する『東亜日報』の記事とは、４月２０日付のバグダッド特派員電だ。
    《手錠をしていないだけで、彼らの様子は極秘裏に海外から移送された犯罪者と変わりがなかった。（中略）韓国をはじめ、中国、ロシアなど多くの国の人々が拉致されているが、日本のように人質に取られた本人が謝罪する国はほかにないだろう。生還の喜びすら人質から奪ってしまった日本社会は、やはり侵略戦争を国を挙げて支持した昔ながらの集団主義から脱却していない不気味さを感じた》 …
    「 … “自業自得”と僕たちを非難する大メディアが、危険な現地からの報道をフリージャーナリストやＮＧＯ（非政府組織）に頼っていることは、矛盾しているのではないでしょうか」
    ↓
    安全な場所にいてエラそうなことを言っている大メディアも、それになびく輩も、人質となった３人について“自業自得”と非難する資格はありません。
    --
  • 「拘束された恐怖体験が消えない」（P21、浅野健一「友人たちが語る高遠菜穂子さんのいま」）
    今井紀明さんも心配している。「拘束されていた間、高遠さんが一番しっかりしていて、拘束グループに『武力を使わず、平和的な方法で戦うことはできないのか』と英語で迫った。彼らも圧倒されていた。私も頼もしく、彼女に励まされ、何とか耐えられた。」 …
    ３人の身代わりになると４月１２日に申し出た箕輪登・元郵政相（小樽市在住）は「３人は小泉君と石破君の憲法違反、自衛隊法違反の自衛隊のイラクへの出動命令の犠牲者だ。政府は解放のために何もしていない。３人と支援者の努力で無事に帰れた。帰国後、高遠さんのお母様からお礼の電話があった。『娘はまだショックから回復できていないが、元気になったらごあいさつに伺います』と言っておられた。しばらく静養して、またイラクの人のために活動してほしい」
    ↓
    箕輪登・元郵政相は保守にしては珍しく骨のある立派な政治家だと思いました。
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  • 「自作自演」の容疑者扱いされた（P22-、竹内一晴「郡山総一郎さん単独インタビュー」）
    「帰国直後に、パソコン、カメラ、パスポートなどを押収されてしまったんですよ。なぜ被害者のパソコンを調べるのか、わけがわかりません。しかも、返却の交換条件として、事情聴取に応じろっていうんですから、ぼくは明らかに『犯人』扱いですよ」郡山さんは眉間に皺を寄せ、強い不快感を露わにした。
    日本の外務省や警察などが、解放後の人質事件の人質被害者３人に行ったのは被害状況の確認ではなく、「自作自演説」の証拠集めだった。政府の３人に対する侮蔑的な態度は、解放直後の次のようなエピソードからも容易にうかがうことができる。…
    「いやあ、（自衛隊）撤退なんて日本政府は考えないでしょう。出してしまったものはしょうがないですよ。（自衛隊も）あれだけ出しちゃったら、引っ込みがつかないもんなあ」
    ９日間拘束されていた３人が解放された直後、バグダッドの日本大使館で３人を出迎えた大木正充イラク担当大使はこうあっけらかんと述べたという。…
    郡山さんは、そのときの怒りが忘れられない。
    「（高遠）菜穂子が『自衛隊を派遣するからこんな事件が起きるんです。とにかく自衛隊をいったん撤退させられないんですか』と言うと、大木大使は足を組んでふんぞり返りながら、あのように言い放ったんです。菜穂子は怒って机をドーンと叩き、『そんないい加減な気持ちでやってるなんて！　もっとイラクを、イラク人を知り、考えて下さい』と猛然と抗議しました。痛いところを突かれたと思ったのか、大使は逃げるようにその場を去りましたね。こんな情けない人が大使だなんて」…
    当初「イラクに残りたい」と全員主張したが、大使館員に「これだけのことを起こしたんだから、一度帰国すべきでしょう。もう家族はドバイに来ることになっていますから」と言われて納得せざるをえなかったという。
    ３人ともアンマン発の航空券を持っていたが、「アンマンにはマスコミがたくさんいて大変」などと理由をつけられ、政府が用意したチャーター機でドバイに出て、そこから帰国せざるをえなくなった。
    「僕たちは自分のチケットで日本に帰れたのです。しかしあの時は政府がチケットを手配した民間機に乗る以外の選択肢は与えられなかった。そのあとで（旅行会社から）航空運賃を請求されたのだから、困りましたよ」
    「解放の翌々日（現地17日）、ドバイでは警視庁（公安部外事三課。国際テロ捜査強化のため一昨年新設）の４０歳代くらいの男性から事情聴取を受けました。柔道選手のような体格でエラそうな態度。『○○なんだろ』っていう決めつけ口調でしたね。迷惑をかけたことを謝罪するように仕向けるような聞き方でした。私は必要最小限のことしか答えないつもりでした」
    帰国後、警察は郡山さんへ再三事情聴取の機会をうかがい、接触を試みて来た。その際、親戚の警察官から家族に圧力をかけ、郡山さんの知らぬ間に提出させていた荷物類を質に取るかたちで、聴取に応じるよう迫ったのだ。…
    「任意提出の証拠品はすぐに返すのが原則のはず。これ以上の聴取には応じない」と申し入れ、内容証明郵便を送付して、やっとしつこい聴取要求は収まったという。
    「家族から攻めてくるなんて、（警察は）ほんとやり方が汚い。任意と言っておいて、実際は強制じゃないかと思いました。」…
    「政府からは疑って申し訳なかったなどの言葉は一言ももらってません。でも僕はバッシングなんか気にしていません（笑）。やり残した仕事があるのでイラクにもまた行くつもりです」
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    こういう証言は、全国紙で報道されるべき内容だと思いますが、掲載されないようなので、やや長いですが引用させて頂きました。
    詳しくは『週刊金曜日（04/5/14）』誌上で御覧下さい。
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  • 救出費用の明細と領収書を出して下さい（P25、きくちゆみ「自己責任よりも政府責任を問う」）
    今回、人質になった方々を批判するすべての人に問いたいと思います。
    「一体、彼らがあなたに何の迷惑をかけたのですか。無駄な税金を使ったというなら、２０億円ともいわれる救出費用の明細と領収書を出してほしい。その一方で、全国各地の無用な公共事業や破綻した銀行や大企業に投入される何兆円もの税金には、なぜ文句を言わないのですか 」と。
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    根拠がなくても、数字だけが一人歩きする恐ろしさ。ちょっと考えてみれば「２０〜３０億円も掛かるわけない！」と気付くと思うんですけれど、真っ先に具体的な数字で示されると信じてしまう。人間の心理の特性を利用した、巧妙な作戦だと思います。
    ついでに言えば、逢沢外務副大臣や政府関係者（結局、何もできなかった）をドバイへ派遣するのに「ファーストクラス」を使う必要性は全くありません。こういう部分こそ税金の無駄遣いだと思います。
    いずれにしても、政府は「救出費用の明細と領収書」を絶対に出せないでしょうね（笑）。
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  • エセ文化人の素顔（P24-、斎藤貴男・天野恵一「対談・人質バッシングを絶対に許さない」）
    斎藤　３億円だとかいう話にも、根拠はないのでしょう。
    天野　全然ない。ところが作家の曽野綾子はありもしない話を前提に『女性セブン』で「１０年でも２０年でも月賦で返せ」などと書いている。
    斎藤　ひどいことを言うね、この人。夫の三浦朱門も、『文藝春秋』３月号で「自衛隊員がイラクで死んでくれれば、憲法改正の尊い犠牲になる」なんて喜んでいたけれど、こんな人たちが現在の「教育改革」の立役者なのだから恐ろしい。
    天野　この夫妻が喜びそうな話だけど、自民党の柏村武昭参院議員が、国会で「人質は反日的分子」と批判しましたね。
    ↓
    柏村武昭氏は人気ＴＶ番組「お笑いマンガ道場」の司会をしていた頃は好きだったのです（笑）が、政治家に転身してからは（特に、無所属で立候補しておいて、当選してから自民党に入った頃からは）嫌いになりました。「人質は反日的分子」発言で、大嫌いになりました。

2004年 5月 17日（月）

• 年金法案の今国会成立　６２％「見送りを」　首相再訪朝７３％賛成　イラクへの自衛隊派遣「反対」増え５０％に　本社世論調査（毎日新聞・朝刊）
  毎日新聞は 15、16の両日、全国世論調査（電話）を行った。国民年金保険料の未納・未加入議員が全主要政党に及んだことを受け、衆院を通過した年金制度改革関連法案について聞いたところ「今国会での成立を見送るべきだ」との回答が62％と、「成立させるべきだ」の23％を大きく上回った。議員らが自らの義務を果たしていなかったことへの反発の強さをうかがわせた。…
  一方、自衛隊のイラク派遣の賛否について聞いたところ「反対」が50％を占め、「賛成」の39％を上回った。 … 陸上自衛隊が活動するイラク南部のサマワで本格的な銃撃戦が起き、治安が悪化したことや、米兵によるイラク人収容者虐待問題が影響したとみられる。
  ↓
  もともと「世論調査」というのは、マスコミや政府が「世論をどのように誘導できたか」という「実績」を確認するために実施する様なところがありますが、それでもある程度は参考になると思います。
  ６２％が年金法案の今国会成立見送りを望んでいても、政府・与党は国民の声など聞くつもりは全くありませんから、（自衛隊をイラクへ派兵した時のように）ゴリ押しするでしょうね。
  政府・与党は「有権者たちは、次の選挙の頃には（自民党・公明党が世論を無視してゴリ押したことなどすっかり忘れて）また自民党・公明党に投票してくれるだろう」と踏んでいるわけです。いつも同じ手口です。世論調査の結果など、厚顔無恥な政治家にとっては痛くも痒くもありません（なぜなら、世論調査で失職することはありませんからね）。政治家に影響力があるのは「選挙」だけです。「選挙」で落としましょう。
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• イラク関連
  • 内閣法制局　サドル師派「国に準じる者」　「非戦闘地域」崩れる可能性（毎日新聞・朝刊）
    内閣法制局が先月、イラクで反米闘争を繰り返すイスラム教シーア派のサドル師派を「国に準じる者」と解釈し、当時の福田康夫官房長官に報告していたことが16日、分かった。しかし、福田氏はこの解釈を政府見解とすることを留保していた。陸上自衛隊が派遣されているイラク南部サマワでは、サドル師派とオランダ軍の銃撃戦が起きており、法制局解釈が政府見解になれば、自衛隊撤退につながりかねず、野党の追及は必至だ。
    政府はイラク復興支援特別措置法上の「戦闘行為」を「国または国に準じる者による、組織的、計画的なもの」と定義し、イラクで自衛隊が活動できる範囲はこうした行為のない「非戦闘地域」としてきた。サマワでオランダ軍と銃撃戦を行ったサドル師派を「国に準じる者」と解釈すれば、サマワが「非戦闘地域」でなくなり、自衛隊の撤退につながる可能性が出てくる。イラクへ陸自を派遣している防衛庁は法制局見解に猛反発している。
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    福田康夫にしても防衛庁にしても、（「イラク復興支援」という大義名分すら完全に忘れて）軍隊（自衛隊）を派遣すること自体が目的になっている様子が良く分かりますね。なお、防衛庁が猛反発しているということは、ここが「ツボ」の様ですから、ここを徹底追及すると効果的かと思われます。
    それにしても、こういう重要な情報が半月以上も遅れて報道されるとは…。現在も政府によって隠されている重要な情報が、まだまだ沢山あるのではないでしょうか？
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  • １８日間裸にされ　電気ショック　いっそのこと殺してほしかった　イラク人虐待　元収容者が証言（毎日新聞・朝刊）
    証言したのはイラク西部ラウィに住む元イラク軍特別部隊教官、サダム・サレハ・ラウィさん（29）。昨年11月末にバグダッドで不審人物と見なされ、12月1日から今年3月28日までアブグレイブ刑務所に収監された。
    証言によると、最初の18日間は「虐待の現場」として知られる「1A」棟の独房42号室に裸のまま入れられた。初日はプラスチック製の手錠で後ろ手に縛られ、ひざ立ちにさせられた。目隠し用のずきんを取られると、目の前に全裸の男性収容者の尻があり、米軍のエジプト人通訳から「同性愛者め」とさげすまれた。
    連日のように立たされ、倒れるとモップの柄で殴られた。つま先立ちになるよう、腕を鉄格子の高い位置に縛り付けられたこともあった。
    看守らは、逆エビぞりの形で縛る方法を「スコーピオン（さそり）」と呼んで多用。看守に体を背後で押さえられたまま、犬をけしかけられたこともあった。電気ショックによる拷問では電線を円形のシールで体に張り付けられた。ショックが体全体を貫き「死ねば神が魂を救ってくれると思った」という。
    サダムさんは拘束中に他の収容者と裸の写真を撮られ、公表されたうちの１枚に自分を指し示すことができた。婚約していたが、出所後、自ら破談にした。「あんな恥辱を受け、女性と結婚などできない」と話している。
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    「婚約を自ら破談に」の悔しさが、ブッシュやラムズフェルドに理解できるだろうか？
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  • イラク人元収容者証言　最悪は「バグダディ」　情報員か“悪魔”名乗る尋問官（毎日新聞・朝刊）
    シリア国境に近い西部カイムに住むホサム・アベド・ハメドさん（27）と弟２人は、昨年11末に自宅を米軍に急襲された際に逮捕され、今年３月まで約５カ月間、「バグダディ刑務所」「アブグレイブ刑務所」「キャンプ・ブッサ」の計３刑務所をたらい回しにされた。各所で裸にされるなどの虐待を受けたという。
    ３人が「最悪だった」と口をそろえるバグダディ刑務所では、収容者が裸にされ、殴るけるの暴行のほか、冷水を浴びさせられた。また、１人１人がひつぎの中に夜通し立たされ、眠気で倒れそうになると、殴られた。弟のアルカンさん（24）は「死んだらそのままひつぎにふたをして葬られると思った」と話す。同刑務所では「サタン（悪魔）」と名乗る尋問官がおり、電気ショックを与える棒を使って執拗に拷問を行った。35歳ぐらいの短パン姿の白人で、情報機関関係者らしいという。
    この尋問官は、両手に持った電線をこすり、スパークを見せた後、体に接触させることもあった。アルカンさんの話では、冷水をかけられた直後に後ろの首筋に電気棒を当てられた時が最も強烈で、その後は記憶を失い、気づいた時は、他の収容者と交じって監房で倒れていた。…
    （バグダッドの運転手）アッフィール（・ケリム）さんが拘束されていた時、米兵２人が、軍用車を放置して持ち場を離れた罰としてイラク人の中に入れられた。看守はこの２人を指さして「笑え」と言った。しかし恐怖で笑えず、従わなかった収容者は、棒で殴られたり、ブーツで蹴られたという。
    ↓
    リアルな描写ですね。 この雰囲気は、第２次大戦中に日本軍が中国で行った蛮行に通じるものがあります。もっと多くの証言を集めて欲しいと思います。国際的な巨大犯罪「イラク侵略」を後世の歴史家（に限らず、人類全体か！）が検証するための有力な資料を今のうちにたくさん収集しておきましょう。
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  • 「虐待、国防長官が承認」米誌報道　情報収集作戦の一環（毎日新聞・朝刊）
    米誌ニューヨーカー（電子版）は15日、イラクのアブグレイブ刑務所での収容者虐待事件は、反米蜂起に対抗する極秘の情報収集作戦の一環で起き、ラムズフェルド米国防長官も同作戦を承認していたと報じた。
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    国防総省は否定している様ですが、有力な続報があるかもしれません。
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  • 「息子の死はブッシュ大統領と国防長官の罪」　殺害男性の父親が批判（毎日新聞・朝刊）
    イラクの反米武装勢力とみられる男たちに殺害される様子のビデオがインターネットに流された米国人、ニック・バーグさん（26）の葬儀が14日、出身地のペンシルベニア州フィラデルフィア近郊で行われ、家族や友人らが故人をしのんだ。
    父親のマイケルさんは13日、「息子の死はブッシュ大統領とラムズフェルド国防長官の罪によるものだ」と政権幹部を名指しで批判、見解を聞かれたマクレラン大統領報道官は14日、同行記者団に「家族にとっては困難な時期」とだけ述べ、直接の反論などは避けた。
    ↓
    マイケルさんの見解は正しいと思います。正しいことを主張しているのに（だからこそ！）、先日の日本の人質事件のように（被害者なのに）強烈なバッシングに遭うのではないかと、心配してしまいます。

2004年 5月 15日（土）

• 首相も年金未加入　強制以前に６年１１カ月　野党「虚偽説明」（毎日新聞・朝刊）
  小泉純一郎首相は国会議員当選後の80年４月から86年３月までの６年間を含む６年11カ月間、国民年金に未加入だったことが14日、明らかになった。近く発売の「週刊ポスト」が首相の保険料問題を報道することを受け、飯島勲首相秘書官が同日夕、急きょ記者会見し、公表した。首相は同日夜、「加入すべき期間は全部（保険料を）払っている。未加入と未納は違う。（政治責任は）まったくない」と強調した。しかし、未納・未加入問題が政権トップを巻き込んだことに野党側は「国民にうそをついた。首相は政治家を辞めるべきだ」（岡田克也・民主党幹事長）と反発している。…
  国民年金への加入が国会議員へも義務付けられたのは86年４月から。飯島氏は「それまでは任意加入だったため、加入しなかった」と説明した。しかし、首相が予備校に通っていた３カ月間については当時の国民年金法上、強制加入の対象だった可能性が強い。
• 年金未加入　首相「政治責任ない」　調査結果の信頼性に疑問も（毎日新聞・朝刊）
  「（国民は）納得できるとは思わないですけどね」。だが、政治責任は「全くない」。国民年金の未加入が明らかになった小泉純一郎首相は14日、強弁した。首相が社会保険庁に納付状況を確認していないことも判明し、調査結果の信頼性にも疑問符がつく。…
  首相に先立って会見した飯島勲首相秘書官は納付状況について、社会保険庁に問い合わせず、事務所に残っている資料を基に発表したことを明らかにし「不都合がありますか」と開き直った。
  ↓
  少なくとも、予備校に通っていた３カ月間は「未加入」ではなくて「未納」でしょう。これまでの「年金未納はない」という小泉発言は、明らかにウソですね。
  福田康夫前官房長官の辞任劇を経て記者団が10日、衆院議員当選前の国民年金保険料未納の有無を聞いた際には「ありません」とだけ答えた。首相は14日夜、10日の発言について 「学生時代のことまで覚えていない」と釈明。「学生時代、40年前ですよ。問題にする方がおかしい」とも述べた。（毎日新聞・朝刊）
  だから、ちゃんと社会保険庁に確認しておけば、このウソ発言は出なかったわけです（週刊誌に報道されなければ、隠し通せると思っていた点が、実に腹立たしい）。それにまた「逆ギレ」ですか。国民は、あなたの誠意ある対応が見たいのですよ。過去の失敗を素直に認め謝罪する、あなたの現在の姿勢が問われているのです。＞小泉首相
  もし、この年金問題で小泉政権が崩壊したら、現行の年金制度も「役に立った！」ということになりますね（笑）。

2004年 5月 14日（金）

• 年金未納 106 議員　衆参全体の14%　12知事、３政令市長も　本社調査（毎日新聞・朝刊）
  毎日新聞は８〜１３日の６日間、衆参両院の全国会議員７２５人（衆院４８０人、参院２４５人）を対象に国民年金保険料（月額１万３３００円）の納付状況についてアンケートを実施した。回答した６２２人のうち、自民、民主、公明、共産、社民、みどりの会議の各党にまたがる１０６人に未納期間があったことが判明した。党として未納議員を公表していない自民党は５８人に上った。論争の部隊が参院に移った年金制度改革関連法案を審議する国会議員の 14.6% が、高齢者を支える社会保障制度上の義務を果たしていなかったことになる。…
  主要５党ごとの未納議員の割合
  ・公明 … 22.8%
  ・自民 … 16.1%
  ・民主 … 12.7%
  ・社民 … 9.1%
  ・共産 … 3.4%
• 非公開・自民、矢面に　長期政権“弱み”多く（毎日新聞・朝刊）
  民主党が１３日に所属国会議員の未納者を公表したことで、主要５党で「未納リスト」を未公開なのは自民党だけになった。
  ↓
  注意すべき点は、 全国会議員７２５人中、回答したのは６２２人 という点です。１０３人が未回答なので、年金未納議員は１０６人〜２０９人の間ということになります。

2004年 5月 13日（木）

• 国民年金　公明・神崎（武法）代表も未納　冬柴（鉄三幹事長）氏含む１２人も　進退問題に発展か（毎日新聞・朝刊）
  （神崎代表は）自身の責任問題をめぐっては、会見の直前に開いた常任役員会で激励されたことを紹介しながら、辞任しない考えを強調した。未納発覚で辞任した福田康夫前官房長官、民主党の菅直人代表との対応の違いについては「福田氏は内閣全体の代表ということでけじめをつけた。菅氏は未納の責任と（年金制度改革に関する）『３党合意』の党内手続きをとるための環境づくりで判断した」と説明した。
• 年金未納　どうする神崎さん　菅代表には「他人のことを言う前に襟正せ」　野党、「辞任」の声強め（毎日新聞・朝刊）
  「けん責」は党規約の処分６段階のうち２番目に軽いが、「厳しい処分」と言い切り、「18年前の（自分の）未納を国民に公表した。これも責任の取り方だ」と“自己評価”した。
  神崎氏はこれまで（４月３０日の会見で）、菅氏の未納について「他党や他人のことを言う前に自らが襟を正さなければならない」と批判 し、自らの年金は「完済した。確認している」と述べていた。
  ↓
  見苦しいという以前に、自分勝手で幼稚すぎる発言だらけで、呆れてしまいますね（こんな党が政権を担当していたとは…）。普通、この様な釈明の場で「（自分の党の）常任役員会で激励された」なんて言うか？　公明党は「公明党自身と創価学会」ばかり見ていて、肝心の「日本国民」の方を向いていないことが、はっきりしました。
  中でも最後の「完済確認発言」は明らかにウソをついていたことになるわけで、ここにも（平然とウソをつける）公明党らしさが良く現れています。
  公明党のトップ本人が、これだけ分かりやすく不誠実さや嘘つき体質を示していても、自分の頭で考えることの出来ない創価学会員たちは次の選挙でも公明党に投票してしまうのでしょう。
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• イラク関連
  • 米国防総省　虐待写真議会に開示　1000枚以上　一般公開求める声も（毎日新聞・夕刊）
    米国防総省は12日、バグダッドのアブグレイブ刑務所でイラク人収容者が虐待されている様子の写真やビデオを米上下両院議員に限定して開示した。…
    議員らによると、映像の多くはすでに報道されたものと似通っていた。しかし、「犬をけしかけられ、無理やり裸にされる女性」（共和党上院議員）など、表面化していないものも含まれているようだ。（民主党の）カール・レビン上院議員は「虐待が情報収集のため組織的に行われていたとの印象を深めた」とＣＮＮテレビに語った。
    問題の写真やビデオについては「米国が事件への対処で透明性を重視していることを世界に示すべきだ」などとして、一般公開を求める議員もいる。しかし、上院軍事委員会のウォーナー委員長ら共和党の議員らは同日、「米兵への攻撃を誘発する可能性がある」として反対した。
    ↓
    「米兵への攻撃を誘発する可能性がある」という発言については「ハァ？」という感じですが（原因を作ったのはアメリカ自身のはず）、アメリカ（の政権を担当している共和党）はどこまでも自分のことしか考えないのですね。
    ５月６日のワシントンポスト紙によると、（同紙が）今回入手した写真は1000枚以上に及ぶというとのことですから、これを公開してみてはいかがでしょうか？　＞ワシントンポスト紙
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  • 「対米偏向改めよ」伊野党が撤退要求（毎日新聞・夕刊）
    米英兵士によるイラク人虐待事件の拡大を受け、イタリアの野党・中道左派連合は12日までにイラク駐留部隊の「撤退」で結束し、ベルルスコーニ中道右派政権に対米追従路線の転換を求める姿勢を明確にした。事件は「撤退」支持世論にも拍車をかけており、米英に次ぐ規模の部隊を駐留させる同国の親米外交に大きな打撃を与えている。
    野党有力幹部のルテッリ前ローマ市長は11日、同日付レプブリカ紙とのインタビューで虐待事件の深刻化に強い懸念を示し、「米国偏向を改めなければ、イタリアの名誉に汚点を残す」と言明。ベルルスコーニ首相に撤退を表明するよう要求した。
    ↓
    日本もイラク駐留部隊（自衛隊）を派遣していますから、 「米国偏向を改めなければ、日本の名誉に汚点を残す」ことになりませんか？
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  • 「人間の尊厳危機」仏からも批判続々（毎日新聞・夕刊）
    イラク戦争への反対を貫き、対米関係が悪化したフランスで、米英軍によるイラク人虐待に対する批判が高まっている。国連の承認なしの開戦強行に続く米国の「国際法違反」が、人権尊重を重視するフランスの反感を招いている形だ。
    政治・歴史学者のニコル・バシャラン氏は12日付仏紙ルモンドへの寄稿で米国の非合法な行動を列挙し、「アブグレイブ刑務所の写真は、人間の尊厳という普遍的な価値観を危機に陥れた」と指摘した。一方、フランス共産党は、占領下イラクの全刑務所とテロ容疑者を収容しているキューバ・グアンタナモ基地に対する国連調査団の派遣を提案している。
    ↓
    イラク人が収容されている全ての施設に国連調査団を派遣する、というのは良いアイデアだと思います。 米英政府も、後ろ暗いところが無ければ、 自信を持って全面的に国連調査団を受け入れてくれますよね。＞ブッシュ大統領・ブレア首相

2004年 5月 12日（水）

• 「産経児童出版文化賞」森住卓さん辞退　イラク報道に反発「論調偏っている」（毎日新聞・朝刊）
  東京都在住のフォトジャーナリスト、森住卓さん（53）の写真絵本「私たちはいま、イラクにいます」（講談社）が「第51回産経児童出版文化賞」（産経新聞社主催）に決まったが、森住さんは11日、受賞を辞退する意向をホームページで表明した。森住さんは辞退の理由を「イラク戦争やこの間の産経新聞の論調は日本政府やアメリカサイドの報道に偏り、イラクの独立のために抵抗している人々をテロリストと呼び、アメリカの戦争に協力的です。イラクのこどもたちのことを書いた本が賞をもらうことはとてもうれしいことですが、この新聞社からもらいたくない」と説明している。…
  「この賞を受けてしまったなら、イラクのこどもたちに二度と顔向け出来なくなってしまう」との電子メールを10日、同社に送り、辞退の意向を伝えたという。
  ↓
  一般に（ほとんどの人にとって）「賞は嬉しいもの」ですが、だからと言ってホイホイもらってしまうのは危険ですね。「賞によって支配される」ということも同時に考えなくては…。
  この人（森住さん）は 信頼できる、と思いました。
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• 武装勢力　米国人殺害映像を公開「イラク人虐待に報復」（毎日新聞・夕刊）
  イスラム原理主義系のインターネットサイトは11日、イラクの武装組織に人質にとられていた男性の殺害の模様を収めたビデオを流した。米国務省はこの男性をニック・バーグさん（26）と断定した。…
  このインターネットサイトはアルカイダ系のサイトとして有名で、バーグさんを殺害した組織がアルカイダと関係していることは間違いないと見られる。
  ↓
  本当にイラクの平和（米英の支配からの解放）を求めている人間の行為とは思えません。米兵によるイラク人虐待で、アメリカへの非難が高まっているこの時期にこんなことをしたら、喜ぶのは支配者（米英）だけです。毎日新聞の報道によると、記事の中でこそ「アルカイダと関係していることは間違いない」と書かれていますが、見出しには単に「武装勢力」と書かれています。これでは、まじめにイラクの解放を目指しているレジスタンスたちにも大迷惑です。
  しかし、この件について、
  ホワイトハウスのマクレラン（米大統領）報道官は１１日、「自由の敵たちの本性を示している。無実の男女、子どもの生命を何とも思っていない」（asahi.com 2004年5月12日）
  というコメントを残していますが、「おまえが言うな！」というところでしょうか。これまで２万人以上のイラクの民間人を殺してきた（無実の男女、子どもの生命を奪ってきた）のに「何とも思っていない」のは、自分たちアメリカ人の方でしょう。しかも現在進行形でイラクの民間人を殺し続けている米英。
  インターネットサイトを使って世界へ向けて映像を発信するのなら、米英の極悪非道ぶり（その残虐性）をありのまま被害者の立場から報道した方が、ずっと効果があると思います。
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• 「小泉語」はズームイン話法　細部を拡大して本質はぐらかす　作家 米原万里さんが分析（毎日新聞・夕刊）
  「細部だけ見ると、『自己責任』は美しいし、誰も反対できない。でもズームアウトして大状況の中で見ると、これが見事に全部ひっくりかえる。国民の生命と安全を守ることは、国の最重要な責務。自衛隊や警察を持つ権利や徴税権を与えられているのですから、邦人保護を放棄したら、国は存在価値が無くなります。宗教団体は『信じる者しか救わない』でいいけれど、政府は政策を支持する者もしない者も救わなくてはなりません。この政府としての最低限の責任の放棄から目をそらすために『自己責任論』を持ち出したんです。『救出費用請求』だって、政府が救出に寄与できなかったことを隠すトリックでしょう」…
  「卑劣なテロに屈して、自衛隊を撤退させることはしない」。人質事件発生直後に、小泉首相が発した言葉だ。「アメリカは国連や国際世論を無視して、大量破壊兵器の隠匿という虚偽の理由をでっちあげ、劣化ウラン弾やクラスター爆弾などの国際法違反の疑いが強い兵器を使い、イラクを攻撃しました。ファルージャを包囲して、（ファルージャだけで）700人を超える死者、2000人超の負傷者を出すようなジェノサイド（大虐殺）を行っています。これは立派なテロです。そのアメリカを小泉さんは支持し続けています。卑劣なブッシュ大統領のテロに屈して、小泉さんはイラクに自衛隊を派遣しているのではないのですか」
  ここでも小さなテロに注目させて大きなテロに気付かせない、という手法を小泉首相は使っていると米原さんは指摘する。
  さらに、自分の欠陥をあたかも相手の欠陥であるかのように反転させるレトリックが小泉さんは得意だ、と米原さんは言う。
  「『避難勧告が出ているのに出かけていくのは自衛隊の活動の妨げになる』という政治家の発言もありましたが、これも逆転させると分かりやすい。イラクで人道支援をずっとやってきたのは民間ボランティアであり、自衛隊派遣が彼らの活動の妨げになったのですから」
  米原さんが驚いたのは野党議員の追及に対し、小泉首相が「どうせどう答えようと、自衛隊派遣に反対なんでしょ」とまともに答弁しなかったことだ。
  「小泉さんは、どんなに反対があっても、どんなに正当性を疑う事実が出てきても、どうせアメリカに従う姿勢は変わらない、というのと同じ。つまり、小泉さんは相手を攻撃する形で実は自分のことを言っているのです。彼の言葉には彼自身が隠れている。その意味では『良心的』なのかも（笑い）」
  ↓
  「小泉語」への対峙法は「ちょっと引いて全体状況を見ると、おかしいなと気づきます。話の“落ち”はズームアウトしないと見えません」とのことです。
  宗教団体と政府との対比の話が分かりやすかったです。もし、政府が「政策を支持する者しか救わない」のであれば、「政策を支持しない者から税金を徴収してはいけない」ということになるわけですね。

2004年 5月 11日（火）

• 菅・民主代表が辞任　年金未納で引責（毎日新聞・朝刊）
• 与党は辞任ドミノ警戒（毎日新聞・朝刊）
  国民年金保険料未納問題は、菅氏辞任によって再び与党側にタマが投げ返された形で、改めて「未納閣僚」の責任がクローズアップされることが予想される。…
  民主党内には「菅氏が辞めた後は、追及する野党に戻れる」（中堅議員）との強気の姿勢もみられる。
  ↓
  同じ辞めるのなら、もっと早い時期に辞めた方が良かったですが、辞めた以上は、最大限に「活用」して欲しいと思います。これからが勝負です！
  ただ、３党合意について、菅氏の「自民党が先延ばしに使う手であることは重々承知しており、多少の迷いはあったが、よりよい年金制度を作っていくため、国民にとって半歩でも１歩でも前進できるものが勝ち取れるはずだと判断した」（毎日新聞・朝刊）という発言は、支持者をバカにしているので、いただけませんね。未納議員だらけの国会で作られた年金改悪法案など通さずに、いったん白紙に戻すのが筋であり、野党の務めではないでしょうか。
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• ブッシュ大統領　支持率46％　最低更新（毎日新聞・夕刊）
  米世論調査機関ギャラップ・ＵＳＡトゥデー紙・ＣＮＮテレビが10日、発表した共同世論調査（７〜９日、全米1003人対象）によると、ブッシュ大統領の支持率は46％となり、就任以来最低記録を更新した。不支持率は51％に上り、同調査で初めて支持と不支持が逆転した。米兵によるイラク人虐待事件などが影響していると見られる。
  ↓
  「米兵によるイラク人虐待事件」は写真で報道されるため視覚的にも分かり易いですが、米国民には「ファルージャにおける無差別大量虐殺」などにも目を向けて欲しいところです（こちらはイマイチ分かりにくい）。
  やはり、現地の記者や写真家の持つ潜在力の大きさを感じますね（あと、メディアの力も）。
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• 社説　ウィニー摘発　逮捕だけでは解決しない（毎日新聞・朝刊）
  ファイル交換ソフトの利用者が著作権を侵害しているからといって、ソフトの作者がその責めを負わねばならないかについては、意見が分かれるところだ。複写機で本や雑誌など著作物をコピーした場合、複写機のメーカーが著作権を侵害したことになるのだろうか。…
  ウィニーの作成にあたりこの東大助手がインターネット上の掲示板に書き込んでいた内容と、ソフトのバージョンアップを繰り返していたことから、京都府警は、ウィニーが著作権侵害の目的に使われることを十分に承知していたと認定した。…
  しかし、ウィニーの作者の逮捕によって、著作権侵害をめぐる状況が改善されるのだろうか。ウィニーの利用者は激減するだろうが、ファイル交換ソフトは他にも数多く存在する。さらに、ウィニーを上回る匿名性を持ったソフトも登場してくるだろう。しかも、こうしたファイル交換ソフトの多くは海外でつくられたもので、摘発するのは困難だ。
  ↓
  上記の例でいえば、複写機のメーカーは絶対に「著作権を侵害する用途や事業に使われることを十分に承知している」と思いますし、包丁やナイフのメーカーも絶対に「犯罪に使われることも十分に承知している」と思います。
  もし、最終的な作成物（例えば、ソフトウェア）が全く同じであっても、 作者の「意図」と 権力者側の「解釈」によって、逮捕されるケースと逮捕されないケースがある、ということであれば問題だと思います。
  権力者側が（自分たちにとって都合が悪いから、という本音を隠して）「有害ソフト」と「認定（＝ 解釈）」すれば開発者を逮捕できる ーー そんな暗黒の近未来への布石なのかもしれません。

2004年 5月 10日（月）

• ファイル交換ソフト「ウィニー」開発者逮捕　違法コピーほう助容疑　33歳 東大助手（毎日新聞・夕刊）
  ファイル交換ソフトの開発者が逮捕されるのは国内初で、世界的にも異例という。…
  ［解説］ウィニー開発者が逮捕されたことにより今後、暗号化された違法ファイルのやり取りが丸裸になってしまうことが考えられ、事実上ウィニーネットワークは壊滅的打撃を受ける。摘発を恐れ現在100万人を超えるとされる利用者は激減するだろう。ただ、不特定多数の個人間で直接情報のやり取りを行う「ファイル共有ネットワーク」はビジネスモデルの創設や民主主義の観点などからも世のすう勢であって、ウィニーが壊滅的打撃を受けても、さらに匿名性の高い別のファイル交換ソフトがそれに取って代わるだけともいえる。使いようによっては毒にも薬にもなる「道具」を開発したため逮捕されるということが、今後論議を呼ぶことは間違いない。
  ↓
  ソフトウェアに限らず、たいていの「道具」は善悪両方に用いることができますが、「道具」を悪用した人間を逮捕するのではなく、「道具」を開発した人間を逮捕するというのは、（一般論としても）間違っているのではないか？

2004年 5月 9日（日）

• イラク虐待　「ひどい目に遭わせることが仕事」　告発の女性兵　米紙にメール（毎日新聞・朝刊）
  ８日付の米紙ワシントン・ポストは、アブグレイブ刑務所のイラク人収容者虐待事件で米軍当局に告発された女性技術兵（26）と電子メールで行ったインタビュー記事を掲載した。…
  ポスト紙への電子メールでは「憲兵の仕事は彼ら（尋問を控えた収容者）を眠らせず、ひどい目にあわせることだった」等と指摘、陸軍の情報将校や米中央情報局（ＣＩＡ）要員、尋問を請け負った民間企業社員から指示があったことを明らかにしている。
• イラク国内　「戦争犯罪」批判も（毎日新聞・朝刊）
  ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官による虐待問題への相次ぐ謝罪に対し、イラク国内での評価の声は皆無だ。信頼回復は極めて困難な状況で、6月30日に予定されている主権委譲など今後の占領政策が大きく揺らぐ可能性もある。
  イスラム社会にとって「性」はデリケートな問題。今回のように人前で強制的に収容者を裸にしたり、犬の首輪のような物を付けるなどの行為は「反イスラム的」と受け止められ、特に女性収容者への性的虐待に対する反発が強い。イラク人の暫定統治機構「イラク統治評議会」メンバーのヤワル前同評議会議長は、「事件は戦争犯罪として国際法廷で裁かれるべきだ」と語った。
  イラク有力紙「アルカシド」のアブドゥル・ラフマン・アナド編集局次長は「イラク国民の怒りは米国の占領政策自体へ向けられている。自由・民主主義・人権を掲げてきた米国の実態が暴かれ、信頼失墜は取り返しがきかない」と述べた。
  ↓
  個人レベル（「ごく少数の米兵」）の犯行ではなく、組織ぐるみ（米軍、ＣＩＡ、米政府 …）の犯行の可能性が高くなってきましたね。
  ブッシュ政権は必死に隠そうとするでしょうが、隠しきれなくなった場合、2004年 5月 7日の日記 の「権力者の法則」で取り上げたように「別のネタをでっち上げて、国内外の関心がそちらへ向けられるようにする」という行動に出るかもしれません。要注意です！

2004年 5月 8日（土）

• イラク人虐待　米国防長官が謝罪　上院委証言　辞任は否定（毎日新聞・夕刊）
  米兵によるバグダッドの刑務所でのイラク人収容者虐待問題で、ラムズフェルド米国防長官は７日（日本時間８日）、米議会で約６時間にわたり証言した。上院軍事委員会での宣誓証言では冒頭、「事件の責任は全面的に私にある」と述べ、被害者に対して「深く謝罪する」と語った。虐待に関する調査委員会を設置し45日以内に報告書をまとめると発表、被害者に対する補償措置も検討中だと述べた。
  ↓
  虐待被害者に対する補償は当然です（本当に実施するのかな？　口先だけじゃないと良いけど…）が、２万人を超えるイラクの一般市民の犠牲者（本人は死亡しているので、その家族たち）や、一命は取り留めたものの病気や身体障害者になってしまった方々にも、それ以上の補償をすべきでしょうね。

2004年 5月 7日（金）

• イラク関連
  • 拘束イラク人を犬扱い　米紙が写真　米兵、首にひも付け（毎日新聞・朝刊）
    ６日付の米ワシントン・ポスト紙は、米兵によるイラク人拘束者虐待事件が発覚したバグダッドの刑務所に勤務していた女性上等兵（21）が、床に横たわる裸の男性の首に付いたひもを持った写真を１面に掲載した。（ワシントンポスト１面の写真が毎日新聞に掲載されています）　写真は男性が首輪をつけられて米兵に引かれているようにも見える。衝撃的な映像が新たに浮上したことで、イラクや周辺国での反米感情や、米国内でのブッシュ政権への批判がさらに拡大することも予想される。…
    女性兵士が勤務していた第３７２憲兵中隊では、アブグレイブ刑務所でイラク人拘束者を虐待した容疑で隊員６人が告発され軍法会議にかけられる見通し。容疑者らは「軍情報機関に指示されてやった」と主張している。
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    ネットを震撼させたイラク人捕虜収容施設の虐待画像（ITmediaニュース・2004/05/07）に紹介されていた「これらの憂慮すべき写真」の中に、上記ワシントン・ポスト１面の写真と同じものがアップされています（web なので、いずれ削除されるかも）。ちなみに、同紙（ワシントン・ポスト紙）が今回入手した写真は1000枚以上に及ぶという（毎日新聞・朝刊）とのことです。
    なお、５日付の英夕刊紙「イブニング・スタンダード」の報道による７０代女性はロバ扱い　背にくら、馬乗りに（毎日新聞・朝刊）という記事も出ています。
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  • 米大統領、謝罪　イラク人虐待（毎日新聞・夕刊）
    ブッシュ大統領は６日、ホワイトハウスでヨルダンのアブドラ国王と会談した後の共同記者会見で、「イラク人収監者とその家族が受けた屈辱を申し訳なく思うと、彼（国王）に話した」と明らかにした。被害者らに直接向けた発言ではないが、米軍によるイラク人虐待事件についてブッシュ大統領が謝罪の言葉を述べたのは初めて。
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    「被害者らに直接向けた発言ではない」のに「謝罪」と見なして良いのか大いに疑問ですが、仮に「謝罪」だとしても、これでブッシュの評価が「プラス」になるわけではなく、良くて「マイナスからゼロに少しだけ近づいた」というところでしょう。
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  • 州知事庁舎　米軍が奪還　ナジャフ（毎日新聞・夕刊）
    ロイター通信によると、米軍は６日、中部のイスラム教シーア派の聖地ナジャフのはずれにある州知事庁舎を、大きな抵抗を受けずに奪還したと伝えた。
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    ちょっと待て。 この「州知事庁舎」は、もともとイラク人のものではなかったのか？　ならば「奪還」ではなく、正しくは「州知事庁舎　米軍が再び略奪　ナジャフ」という見出しにすべきではないのか？
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• 年金関連
  • 全議員の納付公開　自民拒否、民主は１０日にも（毎日新聞・朝刊）
    （民主党は）当初は与党と同時に発表する方針だったが、この日の幹事長会談で与党側が「個々の議員の問題」と拒否。このため与党との違いを際立たせた方が得策だと判断した。
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    与党（自民党・公明党）が公開を渋るのは、未納国会議員がまだまだ多数いるからですね（笑）。
    「個々の議員の問題」と言うのなら、それこそ「個々の議員の誠実さ」が試されるところでしょう。自ら納付状況を公開できない国会議員は、国民（＝有権者）に対して不誠実である、と考えて間違いなさそうです。
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  • 福田官房長官が辞任　年金未納で引責（毎日新聞・夕刊）
    福田康夫官房長官（67）は７日午前の記者会見で、自身の国民年金保険料の未納問題について発表までの対応に「不手際があった」として官房長官を辞任すると表明した。
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    上記のブッシュの評価と同様、これで福田官房長官の評価が「プラス」になるわけではなく、良くて「マイナスからゼロに少しだけ近づいた」 というところでしょう。歴史を書き換えることができない以上、福田康夫が小泉純一郎と共に犯してきた数々の罪は日本史上に永久に残るでしょう。
    ともかく、政治家や官僚の言動（特に、客観的事実としての「暴言」や「悪行」）は、記録に残すことが大切です。権力者の横暴に対抗するための有力な武器となります。
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• ムーア監督の新作　ディズニー配給拒否（毎日新聞・朝刊）
  米国のドキュメンタリー映画監督、マイケル・ムーア氏は５日、米同時多発テロ（01年９月）前後のブッシュ大統領の対応やサウジアラビア王室（同時多発テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディン氏の親族を含むサウジ有力者）との関係を批判した新作「ファーレンハイト（華氏）９／１１」の配給がウォルト・ディズニー社から正式に拒否されたと自らのホームページで公表した。…
  ５日付ニューヨーク・タイムズ紙はムーア氏の代理人の話として、新作が配給・公開された場合、ブッシュ大統領の実弟のジェブ・ブッシュ・フロリダ州知事を怒らせ、同州内で運営するテーマパークやホテルの税制面での優遇措置に悪影響が及ぶことを懸念していると報じた。…
  ムーア監督は高校の銃乱射事件を題材にしたドキュメンタリー作品「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞を受賞。ムーア氏は５日、米テレビに出演し「ディズニーはブッシュ家を恐れている」と怒りを口にした。
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  ムーア監督側は「（５月）４日になってディズニー側から正式な配給拒否の連絡を受けた」（毎日新聞・朝刊）と述べ、それに対してディズニー側は「１年前から方針を伝えており、映画の宣伝のための言い掛かり」（毎日新聞・朝刊）と述べていますが、いずれにしてもディズニーが配給拒否したのは事実ですね。この「ディズニーによる配給拒否」が原因で、結果的に世界中で報道されてしまった（結果的に映画の宣伝となった！）としても、ディズニーの自業自得だと思われます。
  ディズニーの企業イメージがますます悪化していきますが、これも自業自得ですね。
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• 『週刊金曜日（04/4/30）』より。
  • 人質解放とイラク・イスラム聖職者協会の関係（P22-、坂本卓・玉本英子「イラク現地報告８：バグダッドにまで広がる外国人拉致」）
    イラク・イスラム聖職者協会は、日本人人質解放に大きな役割を果たした。同協会は人質事件発生直後の４月１０日、武装グループに人質の解放を呼びかけるメッセージを発した。メッセージは、２つの段落からなり、大部分がファルージャでの戦闘停止を呼びかける文面となっている。
    「神の名において、ファルージャで諸君が展開している米軍に対する反占領の抵抗闘争にイラク・イスラム協会は敬意を表する。ただしこれ以上の犠牲を出さないためにもいったん戦闘の中止を求める。もちろん米軍に攻撃された場合の反撃は、その権利を尊重する」
    そして人質事件については、こう続けている。
    「占領に加担していない国の人びとの人質は丁重に扱い、ただちに解放せよ」
    これは、一般の宗教令（ファトワ）よりもさらに強力であり、これに背くことは、「神の意志に背く」とも受け取られる。
    日本ではあまり報道されなかったが、イスラム聖職者協会は、反米、反占領の姿勢を貫いている。こうした立場に武装勢力が信頼をよせ、同協会の呼びかけに応じたことも、日本人人質解放の背景にあった。
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    武装勢力（レジスタンス）が敬虔なイスラム教徒で良かったと思います。間違っても、小泉首相のように「テロリスト」などと呼んではいけません（→ 人質の解放が遅れた理由 参照）。
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  • またも米軍が引き起こした大量殺戮事件（P24-、成澤宗男「ファルージャ　血の真実」）
    米軍の軍事下請会社「ブラックウォーターＵＳＡ」の傭兵４人が殺害されたのを口実に、米軍がファルージャに総攻撃をしかけたのは４月４日のこと。以後、米軍と現地武装勢力との間で何度か「停戦」が実施されたものの、２１日から戦闘が再開している。しかも「停戦」自体まったく名ばかりで、女性や子どもたち、老人を中心にした住民が連日にわたって米軍に虐殺され続けている。…
    現地で医療救援活動に取り組み、一時武装勢力側の人質となったものの、すぐに解放されたオーストラリア人女性のＤ・マルハーンさんは、次のように証言する。
    「包囲下のファルージャは、投下爆弾やミサイル、迫撃砲で攻撃されていますが、最も悪質なのは狙撃です。屋根に隠れた米兵が、市内での移動を試みる市民を狙い撃ちして数百人を殺しているのです」 …
    ワイルディング氏（英国の人権活動家）も、同じような現地報告を発表している。
    「米軍の狙撃兵たちは、ただ大虐殺を進めているだけではありません。救急車と、救助活動もマヒさせているのです。……救急車は銃弾による損傷で、これまで４回修理されました。路上には住民の死体が転がったままですが、道に出ると狙撃されるので、だれも死体を取り戻すことができません」 …
    しかも仏『リベラシオン』氏４月１９日付によると、米軍は医療救援活動を執拗に妨害している。
    「イラク赤新月社（赤十字）がチャーターした救援医療用車輌数台は、ファルージャを包囲する米軍によって追い返された。現地の医師たちが緊急に求めていた医薬品や麻酔薬、手術設備は米軍の封鎖をくぐり抜けることはないだろう」…
    同紙によると、「医師たちはたとえ手術をしてもその後の治療ができないため、多くの患者を死なせてしまっている。しかも麻酔薬がないため、担架の上の手術は鎮痛剤なしで行われている」という。…
    だが、現地の海兵隊指揮官は、ファルージャから報道陣がほとんど退去したのをいいことに、「兵士は戦闘において正確に敵を識別する訓練を受けている。数百人の死者の９５％は敵側の男子戦闘員で、このことは海兵隊が良くやっていることの証明だ」などと驚くべき事実のネジ曲げに終始。米国防長官のＤ・ラムズフェルドに至っては、「ファルージャで数百人の民間人が殺された」と報じたカタールの衛星放送・アルジャジーラのニュースに対し、「悪意に満ち、不正確で許し難い」と逆に批判を浴びせるなど、完全に開き直りを決め込んでいる。
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    成澤氏の言う通り、１９６８年３月に起きたベトナムのソンミ村事件に次ぐ米軍の無差別大量虐殺 が現在進行中です。 ファルージャにおける無差別大量虐殺といい、イラク人捕虜収容所におけるイラク人に対する虐待といい、本当に米軍は何をしにイラクへ来たのでしょうか。
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  • 『読売新聞』の自己責任（P51、浅野健一「イラク拘束報道　企業メディアこそ自己責任を果たせ」）
    防衛庁によると、イラク南部サマワに駐留する企業メディア記者１０人が４月１５日、航空自衛隊Ｃ１３０輸送機で隣国クウェートに退避した。フジテレビ、共同通信、読売新聞、日本電波ニュースの４社で、記者たちは宿営地からサマワ近郊のタリル空港まで自衛隊車両で搬送された。
    自衛隊法に定められた「在外邦人等の輸送」の一環で、実際に適用されたのは初めてだ。輸送機での搬送は法律上大きな問題はないが、防衛庁は、「空港まで自衛隊車両を使ったのは、記者に対する人道的見地からの緊急措置だ」と説明している。
    自己責任を強調する『読売』は車両と輸送機の運賃を払ったのだろうか。
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    そもそも、 初めて適用された「在外邦人等の輸送」なのに、大々的に報道されていないのは、なぜでしょう？
    しかも、これで、サマワに残留するのは日本電波ニュースとフリーの写真記者の計２人だけとなった、という情報もこの記事で初めて知りました。
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  • 最高の国際貢献とは（P60、巖谷鷲郎「耳に心地よい憲法条文」）
    『日本国憲法前文と九条の歌』（きたがわてつ＝うた、森村誠一・早乙女勝元・ジェームス三木＝寄稿、あけび書房）を評した巖谷氏の一文より：
    寄稿ではジェームス三木の文章が興味深い。ことに、憲法第９条のおかげで「戦争では１人も外国人を殺していません。これほどの国際貢献がほかにあるでしょうか」とのくだり。
    ↓
    「暴力（武力）では、国際問題は決して解決しない」ということを 日本国憲法 は５０年以上も前から知っていた、ということになるでしょうか（ずーっと世の中の方が遅れていて、ようやく世の中が日本国憲法に追いついてきた、とも言えるかもしれません）。この先進性は、世界に誇れる（自慢できる）と思います。
    「いや〜、日本には憲法第９条があるから、戦争で１人も外国人を殺していないんですよ」
    （国際的に見ても）カッコイイと思いませんか？
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  • 権力者の法則（P65、落合恵子「犬の遠吠え 花に風74：くらくら、する日」）
    『週刊現代』５月１日号を読んでいたら、政治評論家の森田実さんが次のようにコメントしていた。
    「権力は自分の正当性が証明できなくなると、相手の欠点をほじくり出し、メディアに宣伝させて、どっちが悪いかという二元論に持ち込む。イラクへの自衛隊派遣の正当性を主張できなくなった政府・与党が、被害者と家族の身元を調べ上げて、彼らを葬り去ることで国民の目をそらそうとした。歴史は繰り返します。戦前のようなイヤな時代が、確実に始まりつつあります」
    このコメントには諸手をあげて賛成！　である。
    一方、週刊誌の報道の中にも酷いものがある。これが「表現の自由」ということなのか。
    ↓
    マスコミや政府が「特定の対象」についてバッシングを始めたら、その裏を探りましょう。国民の注意をその「特定の対象」へそらすことで、最も得をするのは誰なのか。ホッと胸をなで下ろしているのは誰なのか。
    世界史を振り返ってみても、どの時代のどの政府もこうした「政策」を行っています。現在も我々は世界史を作りつつあるわけですから、注意深く観察しましょう。
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  • 「テロに屈する」ということの意味（P76、笠原直子さんの投書「あの記事にひと言」より）
    「テロに屈した」という場合、２つの条件があると思います。ひとつはテロを起こした集団のメッセージが理不尽なこと、もうひとつはテロによって行われたこと（スペインの場合 軍の撤退の決定）がテロを受けた側にとって著しい苦痛を伴うことです。…
    軍が撤退することで、スペインとイラクの国民に著しい不利益が生じるとは思いません。上に述べた両方の条件に合っていないので、スペイン国民の選択は「テロに屈した」ことにはならないと思います。
    ↓
    そうですね。不利益が生じるとしても、旧政権の一部と死の商人たちでしょう。
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  • 侵略に反対をする人々こそが「愛国者」（P78、匿名希望の投書「殴りかかってきたエセ右翼」より）
    日本人３人がイラクで人質になったにもかかわらず自衛隊を撤退させない政府に抗議すべく、４月１０日に国会前など数カ所で自衛隊の即時撤退を訴える行動に参加した。そのうち、東京・渋谷駅ハチ公前では、街宣車に乗ったエセ右翼が卑劣な嫌がらせをくわえてきた。…
    第一に、いやしくも 右翼を名乗るなら、同国人である日本人の人質の安否を最も重視すべきなのに、アメリカの手下となってイラクの人民を虐殺する侵略行為を支持している。第二に、「皇」を冠する団体でありながら他人を批判するために「朝鮮人だろ！」と叫ぶことは、祖先が朝鮮半島から渡来したことを自認している天皇に対して失礼であり、連中の言葉でいうなら「不敬」である。
    ↓
    ちゃんと物事を考えていないエセ右翼は困ったものですね。
    ただ、中には自衛隊のイラク派兵に反対している右翼もいるようですから、彼らとはこの同じ目的について共闘できると思います。

2004年 5月 6日（木）

• イラク人虐待　米大統領、謝罪せず　アラブ圏のテレビ出演　調査と処罰強調（毎日新聞・夕刊）
  ブッシュ米大統領は５日、アラブ圏のテレビ２局（アラブ首長国連邦の「アルアラビーヤ」と米政府が出資した「アルフーラ」）との会見で、米軍によるイラク人収監者虐待事件について「憎むべき」行為であり「米軍人の本来の姿を反映していない」と釈明、実行者の処罰を約束した。しかし直接的な謝罪をせず、米英メディアもこの姿勢の是非論を盛んに報じている。…
  事件に関しては４日、アルアラビーヤに出演したライス大統領補佐官が「極めて遺憾」だと謝罪し、イラク駐留軍幹部らも謝ったが、ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官は直接的な謝罪を避けている。
  また、マクラレン大統領報道官は５日の定例記者会見で、大統領が虐待事件の報告を最初に受けた時期を明確にせず、何か不都合があって隠しているのではないかと疑う記者団から追及の質問が相次いだ。
  ↓
  「責任者」は「たとえ部下の起こした失敗であっても、その責任をとる」のが基本中の基本です（自分が責任をとるから、部下に対して命令・監督できる）。これは軍隊だけではなく、会社などでも同様ですよね。
  ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官は「命令はするが責任をとらない」という、いかにも「政治家」らしい卑怯者の様です。こういうタイプの人間は、アメリカだけに限らず日本でも見られることから、「政治家」や「権力者」に共通の傾向だと思われます。
  彼らは「失敗」を極度に恐れます。「失敗」を認めようとしない、つまり反省をしないので、進歩がありません。進歩がないので、いつまでも世の中に対して、害を与え続けます。

2004年 5月 5日（水）

• イラク　米軍、女性も虐待　米紙報道　軍内部報告書で判明（毎日新聞・朝刊）
  米紙ロサンゼルス・タイムズは３日、米軍の内部報告書を基に、昨年秋にバグダッド西方のアブガリブ刑務所内で起きた拘束イラク人に対する拷問・虐待の詳細を報じた。女性収容者を裸にしてビデオ撮影したり、収容者の首に犬用の首輪と鎖をつけるなど衝撃的な内容だ。女性に対する性的な侮辱や、イスラム教で不浄の動物とされている犬を使った虐待は、同教徒の強い反発を呼ぶことが必至で、アラブ社会全体の反米感情がさらに高まる恐れもある。…
  同紙によると、米軍関係者らは▽男女の収容者を裸にして写真やビデオに撮影▽男性収容者の指や下腹部に電線を取り付けて電気ショックを与えると脅迫▽男性憲兵が女性収容者を暴行▽軍用犬をけしかけ、少なくとも１人に重傷を負わせたーーなどの虐待を行っていた。
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  この件に関して、ブッシュ米大統領は３日、ラムズフェルド国防長官に、バグダッド西方のアブガリブ刑務所でのイラク人収容者虐待事件に関与した米軍関係者が厳正に処分されるよう電話で指示した（毎日新聞・朝刊）とのことですが、（この発言がどの程度本気かは別として）少なくとも米大統領も「米兵によるイラク人虐待事件」は事実として認めていることは分かりました（はじめは否定するのかと思っていましたが、否定できないほどの大事件だったということですね）。
  ただ、そもそも米英がイラク侵略をしなければ「米兵によるイラク人虐待」は起きなかったわけです。大量破壊兵器の無いイラクへの侵略に大義も何も存在しない以上、最高責任者であるブッシュ大統領とその側近たちの罪も厳しく問われるべきだと思います。
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• イラク人虐待　刑務所４カ所でも　市民団体　聞き取り調査で判明　数日間裸のまま放置　電気ショックで拷問も（毎日新聞・朝刊）
  イラク駐留米軍による人権被害を調べている国際市民団体「イラク占領監視センター」は４日、毎日新聞に対し、イラクの刑務所のうち少なくとも４カ所で、米監視兵が収容者を強制的に裸にするなどの虐待を行っていたと明らかにした。…
  エマン所長によると、収容者が裸にされる例は、問題化しているアブガリブのほか、バグダッドのルサファ刑務所、南部ウンムカスルのキャンプ・ブッサでもあり、広範にわたるとみられる。
  同センターの聞き取り調査では▽数日間も裸のまま放置▽刑務所内を裸で歩き回らされる▽全裸の男性収容者を使って女性収容者に食事を運ばせるーーなどの例があった。女性収容者の裸を刑務所内で見せられたという男性収容者の証言もあった。エマン所長は「イスラム文化では、裸を異性に見られるのは恥でありタブーだ。米軍はそれを知りながら収容者を侮辱したと思われる」と語り、占領当局に抗議と真相解明を働きかけている。
  一方、テロリストに疑われ米英軍により約３ヶ月間、拘束されていたイラクの民間人男性（28）が、毎日新聞に、拘束中はドアのないトイレで銃を突きつけられながら用を足したり、酷暑の中で水を充分に与えられなかった実情を明らかにした。男性の話では、昨年７月、いきなり米兵に拘束され、収容所で幅１メートル、奥行き２メートルの広さの独房に入れられ、便器に座る際も監視された。また、50度以上の酷暑にかかわらず、扇風機などは一切なく、お湯のようになった１リットルボトル入りの水を１日３本だけ与えられた。食事は米兵用の余りものとみられるという。男性は「罪もないのに長期間拘束し、説明や謝罪は一切ない。ひどい扱いはどの米英軍施設でもある」と話した。
  ↓
  これも本当にひどい話ですが、 特に重要なのは「米英軍によるイラク人虐待は、アブガリブだけではない」という点です。

2004年 5月 3日（月）

• イラク　虐待「軍、ＣＩＡが奨励」米誌が内部文書を報道（毎日新聞・朝刊）
  • バグダッドのアブガリブ刑務所に拘束中のイラク人を米兵が虐待していた問題で、米陸軍情報機関や中央情報局（ＣＩＡ）の担当者が尋問での情報入手を容易にするため虐待を奨励していたとするイラク駐留米軍による内部報告書の存在が２日、明らかになった。米誌「ニューヨーカー」（電子版）が報じた。「（虐待には）ごく少数の者しか関与していない」とするブッシュ大統領の釈明と大きく矛盾する内容となっており、さらにイラク国民の反発を招くのは必至だ。…
    具体的には、▽化学薬品や冷水を浴びせたり、椅子で殴打する▽ほうきの柄で性的暴行を行う▽軍犬をけしかけて脅すーーなど。 … 男性兵士は家族への手紙で、昨年１１月にＣＩＡ担当者が行った激しい尋問でイラク人が死亡、「遺体は氷詰めにされ、医務兵が運び去った」と書いたという。
  • 第３面には、「裸にされ、ピラミッドのように積み上げられたイラク人収容者ら。後ろにいるのは米兵２人」「ずきんをかぶせられ、両手に電線をつながれた収容者」というキャプションの付いた２枚の写真が掲載されています。
• 米軍イラク人虐待　不信深めるアラブ「サダムの軍と同じ」メディア厳しい批判（毎日新聞・朝刊）
  アラブ連盟のスポークスマンは虐待写真が公表された直後、「こうした非人道的扱いを強く非難する。占領軍はかかわった者すべてを罰しなければならない」 と語った。…
  エジプト政府系紙「アルアハラム」は２日、１面に英兵がイラク人を虐待する３枚の写真を掲載。コラムニストのサラマ・アハマド氏が「米軍は人権を侵害していることでサダムの軍と一緒だった」と批判した。ロンドン発行の汎アラブ紙「アルクッズ・アルアラビ」も１日、アブドルバリ・アトワン編集局長が「解放者は独裁者以下だった。（国際テロ組織アルカイダの）ウサマ・ビンラディンらはテロの口実ができたことを喜んだだろう」と書いた。
  ↓
  軍隊の本質は「暴力装置」ですから、こうした「軍隊による虐待」は国を問わず時代を問わず、常に行われています（今回も例外ではなかった、ということです）。現在ロシアがチェチェンで行っている虐待も、第２次大戦時に日本がアジアの人々に対して行った虐待も、すべて「強者（侵略者）による弱者（被侵略者）への暴力」という点で共通しています。
  もちろん、「国を問わず時代を問わず行われている（＝ 皆 やっている）」からと言って、罪が軽くなるものではありません（← ここ、重要！）。
  さて、その一方で、全国会議員に対する憲法第９条アンケートの結果、第１項の「戦争放棄」の維持に賛成しているのは
  ・自民党 … ５５％
  ・民主党 … ７４％
  ・公明党 … ９４％
  ・共産党 … １００％
  ・社民党 … １００％
  とのことです。（毎日新聞・朝刊）
  自民党議員の半数近くが、「戦争放棄」を放棄すべき、と考えているのは驚きですが、戦争の実態や軍隊の実態について、自民党のセンセイ方は、どの程度、正確な知識をお持ちなのでしょうか？
  「無知な人ほど勇ましい」とは本当に名言ですね（多くの物事に当てはまる法則ですので、皆さんも応用例を探してみて下さい！）。