2005年 8月 29日（月）

• 八代氏出馬表明「決別しかない」東京12区　怒りと恨み30分語る（毎日新聞・夕刊）
  （郵政民営化法案に反対した、自民党の）八代英太元郵政相（68）は29日午前、東京都北区の事務所で記者会見し、東京12区（北区、足立区西部）からの無所属での出馬と党からの離党を表明した。党の対応への怒りと恨みが入り交じった会見は約30分に及んだ。
  午前11時前、会見場に車椅子で姿を現した八代氏は、自民党の区議たちを従え顔をこわばらせて切々と語った。「党執行部から18日朝、『必ずあなたには福祉枠との思いで（比例での擁立を）考えている』と言われた。『心配するな、バッジを付けさせる』とも言われた。引き下がることはできない」と話した。「会見後に党本部に離党届を出す」と離党も表明した。
  記者団から「比例から出すと約束されたのか」と質問されると、福祉枠の話とともに、「小泉（純一郎）総理からは『おれを信じてくれ』と４回言われた」と話した。また郵政民営化法案への賛否を問われると「民営化全体像には反対でないが、法案には大きな問題がある」と述べた。
  自民党都連では29日午前10時過ぎから、東京・平河町の党本部１階にある都連の会議室に役員が集まり、都連を挙げて12区から出馬する公明の太田昭宏幹事長代行（59）を支援することなどを確認した。太田氏支援の特別体制を組み、北、足立両区の支部が八代氏を支援した場合は処分対象とすると警告する方針だ。
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  八代氏は郵政民営化法案に反対しましたが、「比例区に擁立する」との約束を小泉首相や党執行部との間で交わしていた（だから、東京１２区に公明党が候補を立てた）のに、その約束を反故にされたので東京１２区に無所属で立候補するという、つまらない話（失礼）。自民党・公明党のつぶし合いには全く興味がありません（勝手にやってなさい！）が、自民党の体質が現れているので記録しておきました。
  たかだか郵政の採決で「造反議員は非公認（除名処分に等しい）」にしてしまう小泉首相。そもそも「党議拘束」自体が、自由と民主主義に反する「気持ち悪いもの」ということに、もっと多くの人が気付いても良いのではないでしょうか。同じ政党に属していても、党首と意見が異なることだってあるでしょう。それを完全否定する小泉自民党には、思想の自由は無い、ということです。党首と異なる思想を持っていると、何をされるか分からない恐怖政治。北、足立両区の支部が八代氏を支援した場合は処分対象とする というのも、同様に小泉自民党の恐怖政治ですね。
  小泉純一郎は、まさに独裁者です（自分と少しでも意見の異なる者は容赦しない）。 今回の衆院選で小泉自民党が勝利すると、日本はますます息苦しい国になるでしょう。小泉純一郎が今、自民党に対して行っていることを、次は国民に対して行っても、何の不思議もありません（「国民も支持しているから」という理屈で推進しそうだな）。
  それはともかく、小泉純一郎の言う「おれを信じてくれ」は信用できない、ということだけは学習できましたね。＞国民の皆さん（笑）

2005年 8月 28日（日）

• 『週刊金曜日（05/8/12・19）』より。
  • やっぱりウソをついていた藤岡信勝と高橋史朗（P7、金曜アンテナ「政府もつくる会教科書監修虚偽記載否定せず」）
    教科書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関し、福島みずほ参議院議員（社民党党首）が８月１日付で政府に質問主意書を提出。「つくる会」元幹部の埼玉県教育委員就任の際に虚偽記載などの不正があったことについて質問をした。
    扶桑社は昨年１２月６日、公民教科書監修者から高橋史朗氏の削除を申請。同日付で、高橋氏の教育委員就任案が県議会に提出された。文科省はこれまで削除者名を公開していなかったので、今回も削除の事実が公にならないと考えた高橋氏は「今回の教科書には一切関与していない」（『埼玉新聞』）と偽っていた。
    「つくる会」幹部の藤岡信勝氏も「監修者としても全く関与していないから、教科書採択に関する全議事に何の制約もなく参加できる」（『産経新聞』）と主張していた。
    ところが、文科省が削除者名を公開したことから、高橋氏が監修者だったことが明るみにでた。一転して高橋氏は「公民の教科書は見たが、目を通しただけ。１字１句直していない」（『毎日新聞』）と答え、事実上監修したことを認めた。
    これに対して５日付の政府答弁書では、虚偽に当たるのではないかという指摘を否定せず、「著作編集の実態を踏まえて、申請者においては正確に記載すべき」と返答した。 （ｍネット［民法改正情報ネットワーク］坂本洋子）
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    埼玉県民の選択（埼玉県知事が県の教育委員に「つくる会」教科書監修者を選任）の続報です。
    「ばれなければ、ウソをついても平気」という体質が、いかにも「つくる会」らしいですね（笑）。期待に応えてくれた、とも言えましょう。
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  • 靖国という虚構の存在（P46-、天野恵一・辻子実・吉田裕「靖国、戦争責任、そして真の歴史認識へ」）
    吉田　東洋学園大学教授の朱建栄さんが以前、「日中国交回復の時に当然賠償が支払われ、中国の一般の家庭にはカラーテレビがもらえるんだという話が中国の中で広がっていた」と書いていたんです。当然賠償が支払われるのを前提にしている（中国）国民に対して、それを（中国政府が）説得して賠償は放棄する。日本の人民は被害者であって、指導者に責任があるんだという論理でかろうじて説得してきた。
    天野　その指導者を（つまりＡ級戦犯を、日本の首相が）讃えるということになれば、話は全然わけがわからなくなるわけです。
    吉田　国交回復の前提を否定する背信行為ですね。
    天野　だから中国側にすれば、これは特大の外交問題ですよ。「内政問題だ」なんていう日本側の論理は成り立ちようがない。
    辻子　その靖国神社は、Ａ級戦犯を合祀して近隣諸国を怒らせる一方で、ずいぶん冷戦構造の中ではいびつになったような気がする。靖国神社の境内に行ってもこの神社の本質は良くわからないのですが、付属の軍事博物館である遊就館に入ると良くわかる。そこでは、日本が対米戦争に踏み切るのは、いわゆる「ＡＢＣＤ包囲網」があったからだと説明しているのですね。それを読む限りでは、反共以上に反米の論理が強いんです。その一方で、米軍の将校たちが参拝に来たら、「ウェルカム」とばかり歓迎しているのですよ。「靖国神社でまた会おう」といって亡くなった「戦友」が集まる、言わば純粋培養的なナショナリズムの場にですよ。靖国も「ぬるい冷戦構造」で、冷たい水ではなくぬるま湯で禊（みそぎ）をしてきたのではないか（笑）。米軍が来て、「英霊」が喜ぶのですかね。
    天野　 だから、ものすごく融通無碍なものになってしまっているんです。僕は、本当に「８・１５」は巨大な断絶だったと思うんです。靖国神社なんて、あんなのはすでに本来の靖国神社ではないんですよ。ＧＨＱの神道指令で国家神道が解体されてしまったら米国製靖国神社なんであって、彼らの論理ではそこはもう「英霊」が集う場所でなくなっているはずなんですね。そういうメチャクチャな断絶をあたかもつながっているように、靖国神社が昔の靖国神社であるように演出し、それを崇める右翼も、天皇制があたかも戦前の大日本帝国憲法原理を現在も継承しているようなものであるような気分になっている。つまりある種の「日本人のアイデンティティ」と呼ばれるものが、戦後の米国のシステムの中に全部組み込まれて、それが現在まで続いていること自体を考えさせなくする装置としてこの神社が機能している部分があると思うんです。
    吉田　そうした装置すべてが、米国に従属しているのを隠しつつ反米を演出している。
    辻子　絶対に反米になれないくせにね。
    天野　だから僕は、「靖国神社に参拝しろ」と騒いでいる右翼に、「英霊を来れなくしておいて、英霊に会いに行くなんてそんな愚かなことを口にするんじゃない」という人がなぜいないのかと思いますよ。靖国の思想が生きているのだったら、もう全然違ったものになっているはずなんだ。
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    右翼の諸君も、このように現実を直視し、論理的に考察すれば、その運動方針も変わってくるのでは？

2005年 8月 24日（水）

• ルール無視の八つ当たり（毎日新聞・夕刊、政治評論家・森田実「ちょっと待った」）
  ルール無視の極みだ。そもそも郵政民営化を否決した参院に対しては何もせず、可決した衆院を解散して反対派を排除すること自体、八つ当たりではないか。
  党員にとって、選挙で公認を受けられないというのは除名処分に等しい。一方で法案を否決した当の参院で、反対票を投じた２２議員や棄権した８議員を不問に付すとしたら原理原則を無視している。衆院の造反議員に対して非公認方針を貫くのであれば、参院で反対票を投じた造反議員は除名処分にし、欠席・棄権した議員も党員権停止にするなどの処分を行うのが政党としての筋ではないか。
  小泉首相が参院の造反議員たちを処分できない背景には、参院まで造反議員全員を除名してしまうと与野党逆転し、公明党を合わせても少数派に転落してしまう。これでは打撃が大きすぎるという判断があるのだろう。つまり単なるご都合主義。また、衆院で欠席・棄権した議員と反対票を投じた議員を区別し、後者だけを見せしめのごとく処分するのも同じ理由であろう。政党は本来、倫理や慣習、原理原則を基準にして運営すべきだ。小泉首相はこれらをすべて無視している。まるで暴君だ。
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  いま冷静に振り返ってみると、小泉首相の判断に筋が通っていないことが良く分かりますね。

2005年 8月 21日（日）

• ＴＶ番組で火花　亀井氏　堀江氏（毎日新聞・朝刊）
  衆院選広島６区での対決が決まった国民新党の亀井静香・元自民党政調会長（68）と、ライブドア社長で無所属の堀江貴文氏（32）が20日、フジテレビの番組で初の直接バトルを演じた。民営化で多くの郵便局がなくなると指摘する亀井氏に、民営化支持の堀江氏は「残す方法はいくらでもある」と反論したが、具体論に乏しく議論はかみ合わなかった。
  堀江氏は、郵便局を残す方法として「コンビニの中に作ればいい」と指摘。亀井氏に「山の中にコンビニなんかない」と反論されると、「別に小学校でもいい」と切り返すなど、低レベルの議論に終始した。
  堀江氏は「僕が来ることによって、どんどん広島６区が紹介される」と、自らの出馬による経済効果にも言及。しかし、亀井氏は「思い上がりだね」といっしゅうする場面もあった。
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  「残す方法はいくらでもある」と言った後に、上記太線部の発言は、幾ら何でも酷すぎでしょう。＞ホリエモン
  これはホリエモン個人の問題だけではなく、
  • 自民党の教育体制の弱さを露呈。というか郵政民営化推進派は「郵便局を残す方法」をそもそも考えていない、ということが露呈（笑）。
  • このように浅薄な思考で出馬を決めた社長の率いるライブドアという会社自体の評価が下がる。
  という意味で、興味深い発言でした。
  郵政を民営化して、一般庶民レベルで良いことなんて何も無い（もし有れば教えて欲しい！）のに、馬鹿のひとつ覚えみたいに「郵政民営化」「郵政民営化」と唱えている政治家どもと、ワケも分からず賛同している支持者たち。政府自身も「公社のままなら１０年以上たっても黒字、民営化すれば赤字」と認めているのに、何という無責任な政治家＆支持者たちでしょうか。もう一度、繰り返しますが、郵政が民営化されれば政府の無駄遣いが無くなるという保障はどこにもありません。その一方で、郵便局のサービスのレベルは確実に下落するでしょう。
  そもそも小泉「改革」は、これまで「痛み」（増税、控除の廃止、補助金削減…）だけを国民に強いてきましたが、その「改革を止めない」ことを、あなたは支持するのですか？
  「改革」という言葉は、政治家にとって便利な言葉です（聞く人によって、良いように解釈される）が、実際には「改善」なのか「改悪」なのか、政治家の視点からではなく、庶民の視点からの判断が必要です。これまでの自民党政治を振り返り、政治家にとっての「改善」が、庶民にとって「改悪」となることが多かったのは、決して偶然ではありませんよ！（ちゃんと法則性がある）
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• アルカイダは諜報機関の作りもの（田中宇の国際ニュース解説、2005年8月18日）
  トルコのテロ専門家はザマン紙に対し「アルカイダという名前の組織は存在しない。アルカイダとは、テロ戦争を永続できる状況を作ることを目的としてＣＩＡなどの諜報機関が行っている作戦の名前である」「テロ戦争の目的は、常に低強度の危機が持続している状態を作ることで（アメリカが世界から頼られる）単独覇権体制を維持することにある」と述べている。…
  サクラ（アルカイダ幹部、とされている男）は起訴され、法廷に出入りする際に報道陣の近くを通る機会があったが、そのときサクラは「爆弾はたくさんある。俺の仲間たちがイスラエルの船を爆破するだろう」と、アラビア語訛りのトルコ語で叫んだ。
  このような発言は、仲間たちを捜査の危険にさらしてしまうので、爆破テロの成功を第一に考えているはずのリーダーとしては奇妙な行為である。こうした行動からはサクラが、爆破テロの成功そのものよりも、テロの恐怖をなるべく多くの人々に植え付け、イスラム教徒とその他の人々が憎み合う状況を作るというプロパガンダ作戦の方を重視していることがうかがえる。
  テロ戦争を永続させるために、当局がテロを誘発させるという作戦は、アメリカ国防総省も行っている。国防総省は２００２年、テロ組織に対して故意にテロ活動を誘発させるような作戦を行う「先制作戦グループ」（Proactive, Preemptive Operations Group）というのを省内に作った。作戦は、テロを扇動することで、休眠状態のテロ組織を活動させ、取り締まりを容易にするためと説明されたが、実際には、テロが増えただけで、取り締まりは容易になっていない。イラクでゲリラ活動が活発化したのは、このグループの作戦である可能性がある。…
  ▼アルカイダは詐欺話
  私は国際情勢を詳細に解説していくことを仕事としているが、私にとってアルカイダは、詳細に見ていくと焦点がぼやけ、実体が曖昧になってしまう存在だ。まるで、詐欺師の「儲け話」のようである。漫然と聞いているだけの人は、なるほどと納得するが、詳細に理解しようと話を詰めていくと、あやふやになってしまう
  詐欺師は、自分の儲け話に納得せず疑う人を「理解が足りない」と言って責めて脅すが、ブッシュ政権も、米当局の話を鵜呑みにしない人を「陰謀論者」「テロリストの味方」と言って責めた。私は、ブッシュ政権の方を疑うようになった。
  ブッシュ政権はその後、イラクが大量破壊兵器を持っておらず、米英などの諜報機関の中にはそれを指摘する人も多かったにもかかわらず、情報を歪曲し、イラクが大量破壊兵器を持っていることにして、イラク戦争を開始した。イラク侵攻後、こうした経緯が明らかになるにつれ、ブッシュ政権がマスコミ操作を駆使した詐欺師的な騙しの手法で戦争ビジネスを展開していることは、ますます確実性を帯びた。
  こうしてみると、トルコの専門家が言うところの「アルカイダという組織は存在しない」「アルカイダとは、テロ戦争を永続させるために諜報機関が行っている作戦の名前である」という見方は、無根拠な話ではなく、しごく正当な分析であると感じられる。
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  ぜひ、全文をお読み下さい。
  ブッシュ政権も、米当局の話を鵜呑みにしない人を「陰謀論者」「テロリストの味方」と言って責めた、とありますが、これは世界中の政権が使える手法であることに注目しましょう（もちろん日本でも使えますし、ある意味もう使っているとも言えます）。

2005年 8月 12日（金）

• 郵政民営化に反対（毎日新聞・朝刊、「共産党の衆院選公約（要旨）」）
  首相は「小さな政府」にするための郵政民営化だと言っている。あたかも郵政事業が税金をムダづかいしているかのような言い方だが、郵政公社は独立採算で、職員給料にも、事業にも税金は１円も使われていない。こんな口実で地域の大切な郵便局をなくしてしまうなど許されない。…
  「郵貯・簡保があるから、公共事業や特殊法人などの浪費がなくならない」というのは、政府が自ら浪費型の財政計画を作っておいて、その責任を郵貯・簡保に転嫁するものだ。そもそも、大量の国債発行を計画的に減らすためには、歳出のムダや浪費を無くすべきで、それは政府の責任だ。
  郵政民営化が国民を納得させられないのは、もともと、郵政民営化が国民の要求ではなく、日米の金融資本の要求にもとづくものだからだ。「自由な競争」などというが、実態は、銀行や保険会社が「競争相手」である郵貯・簡保が邪魔だから、規制緩和や民営化を求めてきた。
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  最近の「郵政民営化」に関する世論の「作り方」を見ていると、「国鉄民営化」の頃の世論操作を思い出します。
  「一部の職員がオイシイ思いをしているのは、けしからん！」という類のイメージ誘導によって、「もっと大きな問題を隠しつつ、民営化への動きを作ってしまう」という例の作戦です。
  国鉄が民営化されたのは、のちに中曽根元首相が自ら公言しているように「国労つぶし」が真の目的でしたが、当時マスコミは国鉄マンに対する圧倒的なネガティブ・キャンペーンを張っていました。その後、現場の労働者を抑圧したＪＲが作られ、「日勤教育」等によって犠牲者１００人以上の転覆事故が起きた ── という流れにつながります。
  今回の「郵政民営化」も、その裏の目的を見つめることが必要です。少なくとも、郵政民営化により国民の金融資産３４０兆円が（その一部でも）流れ込むことが明らかな銀行は大喜びですね。自民党は、超長期の超低金利政策によって、また巨額の税金投入によって、バブル崩壊後の不良債権まみれの銀行を助けてきました（つまり、国民からお金を奪い、銀行に渡していました）。これ以上、単なる私企業に過ぎない銀行を助ける必要は無いのでは？
  上記の共産党の選挙公約は、自民党とも民主党とも異なる立場で、面白く読ませて頂きました 。たしかに、無駄遣いの原因は「お金の使い道を決めている政府」にあり、郵貯・簡保それ自体には責任は無いはずですし、郵政が民営化されれば政府の無駄遣いが無くなるという保障はどこにもありません。
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• 『週刊金曜日（05/8/5）』より。
  • サマワ市民は、１年以上前から「カラバ（電気）、マイ（水）、アマル（仕事）」を求めている（P14-、綿井健陽「自衛隊に厳しい視線　イラク・サマワ緊急現地報告」）
    サマワのサドル派メンバーは、日本人に対して敵意や不信感を募らせているのではない。現段階では、あくまでもサマワにいる自衛隊の駐留と活動に対して反対しているだけだ。
    昨年まで、サマワではこのサドル派の支持者はさほど多くなかった。だが、いまでは住民の間から「自衛隊はサマワから出て行け」「もうサマワには必要ない」という非難・批判を今回は何度も耳にした。失業中のある男性は「このままだと、我々が自衛隊を攻撃するぞ」と、サドル派以上のテンションで私に警告する。昨年７月時点では、少なくともサマワでは絶対に聞かなかった言葉と口調だ。当時は「自衛隊が何をしているのかよくわからないが、何かサマワのためにやってくれるだろう」「自衛隊の後に、日本の企業がサマワに来るらしいから……」という噂やデマの方を信じる人が多かった。
    だが、もうそんな「期待」や「幻想」の声は消えている。住民たちも、自衛隊が「停電、断水、失業」問題を根本的に解決しないことを感じ始めている。そして、自衛隊の活動内容に対しても、具体的な批判を口にし始めた。特に学校の建物の修復や壁の塗り替え作業に対して、批判の声が大きい。
    「何のために、誰のためにやっているんだ。そんなことにカネと人を使うのなら、電気と水を直してほしい」と訴える。サマワ周辺の１５カ所の学校で、自衛隊が発注した地元の業者が連日作業中だが、今後この作業は、やればやるほどサマワ市民から逆に反感をかう恐れがある。
    ↓
    自衛隊がイラクのサマワへ派兵されて１年半。もう忘れている人もいるかもしれませんが、現在も自衛隊はサマワにいます。
    小泉首相も、もし「スジを通す」のであれば、法律を無視して（必要な手続きを取らずに）派兵した自衛隊を、即刻、帰国させるべきです。
    が、それをしないのは、旧態依然たる自民党体質が染みついているからで、「郵政解散」のイメージだけに引きずられないように（変な期待を抱かないように）注意が必要ですね。
    そもそも小泉純一郎は「自衛隊が活動する地域は非戦闘地域」などの妄言で世界に知られる首相です。政治は実績が全て。ごく一部だけを見て判断するのではなく、これまでの全ての「実績」を総合的に評価すべきでしょう。
    え、もう、「郵政解散」のことしか覚えていないって？　…… そんなあなたは、完全に小泉自民党の術中に陥ってますぞ！
    --
  • 日朝交渉の裏事情（P16-、鈴木宗男・佐高信 対談「小泉“無能”外交を斬る」）
    佐高　靖国問題などを最初に聞きましたが、鈴木さんが逮捕されて以降の外交をどう見ていますか。
    鈴木　驚いたのが昨年４月に日本人３人がイラクで拘束されたときです。日本人の命にかかわる事態なのに、福田官房長官（当時）が「自己責任」と言いだしたら、マスコミもみな右にならえ。権力に誘導されてしまい、自己責任論に問題がスリ変わってしまった。
    佐高　「自己責任」を最初に言ったのは竹内行夫外務事務次官（当時）ですよね。
    鈴木　竹内と福田は共同歩調なんです。竹内が事務次官になってから外務省はムネオ疑惑リークを始めた。それに合わせたかのように福田が「外務省は全部資料出せ」とネジをまいたわけですから。
    佐高　外務省内では、安倍晋三に近づく勢力もありますね。
    鈴木　たとえば田中均さんは、北朝鮮外交で弱腰と批判されましたが 、外交のプロから見ればバランスがとれているし正しいんです。たとえば、横田めぐみさんの遺骨の問題がありましたね。偽物か本物かという話。ところがですよ、遺骨を持ってくるために、調査結果を公表しないという条件を日本政府はのんでいるんですね。なのに一転して調査結果を公表したから北朝鮮は約束違反でないかと怒っているんですよ。本来の外交では、そういう条件がついた時点でもらってきちゃいけないんです。最初の拉致被害者の（一時帰国の）ときも２週間の滞在で北朝鮮に帰す約束がありました。ところが、やはり帰さないとなった。約束を破ったら相手国は怒るのが当たり前ですよ。くつがえすくらいなら、条件つけさせない外交をしなくてはいけないんです。ギリギリの交渉をしないといけない。当時の安倍官房副長官も条件付きでの帰国を了承していながら、ひっくり返しているんですよ、それを相手は忘れてはいないんです。
    佐高　どういう国であっても約束は約束ですからね。
    鈴木　お互いを信頼し、国益をぶつけあう、これが外交なんです。最初から、呑めない条件なら断るのが外交官の筋ですよ。
    ↓
    とりあえず、日本は北朝鮮に対し、最近２回も約束を破っている──ということは事実ですね。
    約束を破ると、その後の交渉が不利になる──ということも事実ですよね。
    相手がどんなに変な国であっても、「少なくとも、こちらからは約束を破らない」という姿勢を貫かなければ、あらゆる言葉に説得力が出てきません。
    北朝鮮以外の国々も、しっかりと日本の外交を見ていますよ。
    --
  • 拉致同様の強制連行の実態（P22-、篠田悠三「教科書から消えた朝鮮人強制連行　旧内務省「復命書」が立証」）
    昨年１月の大学入試センター試験に強制連行に関する設問があった際、自民党議員のグループが「事実にないことが出題されている。強制連行を裏付ける資料はない」とクレームを付けた。同様の申し入れをした「新しい歴史教科書をつくる会」（「つくる会」）は強制連行を「日本を糾弾するために捏造された嘘」と呼んでいる。１１月には中山成彬文科相が「いわゆる従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が（教科書から）減ってきたのは本当に良かった」と発言。今年３月には文科省の下村博文政務次官が中山発言への支持を表明。これらが功を奏したか、来春用の中学校教科書から、強制連行の語は大幅に減ってしまった。
    強制連行は、しかし「資料がない」どころの話ではない。戦後から今日まで掘り起こしが行なわれ、立証されている。加えて、１９９８年、強制連行の事実を含む大戦末期の朝鮮の実情を伝える旧内務省の文書が発見されている（「復命書」、水野直樹編、「戦時期植民地統治資料」第７巻、柏書房、１９９８年、に所収）。ここでその関連部分を引用し、否定派の主張に根拠がないことを示そう。
    …（「復命書」からの抜粋と解説が続く、詳しくは原文を参照のこと）…
    強制連行否定論者は、朝鮮人労務者は「契約」であり、強制ではないと主張する。ここに述べられているケースはまさにそうである。契約はあった。しかしそれはカラ契約にすぎず守られることはなかった。かような事例が「極めて多い」と「復命書」は伝える。これで十分だろう。形式だけ論じても意味はない。重要なのは実体。それも広汎な実体だ。…
    「七」では労務動員の方式について述べた後「動員の実情」として次のように報告する。「徴用は別として其の他の如何なる方式に依るも出動は全く拉致同様な状態である。其れは若し事前に於て之れを知らせば皆逃亡するからである。そこで夜襲、誘出、其の他各種の方策を講じて人質的掠奪拉致の事例が多くなる」 。正に強制連行と呼ぶにふさわしい実態である。「徴用は別として其の他如何なる方式に依るも」の文言も見逃せない。動員の方式としては、先に徴用、官斡旋、勤労報国隊、出動隊の４つをあげている。このうち「徴用」を除くすべてで強制連行が行われていると述べている。「つくる会」などは「官斡旋」は強制力を持たなかったと主張しているが、「復命書」はその論を否定する。…
    「復命書」は内務省の役人によるリアルタイムの報告である。その内容は日本の朝鮮支配賛美論を打ち砕く。資料の発見者の水野直樹京都大学教授は言う。「当時朝鮮・台湾に関わる行政事務を扱っていた内務省管理局の文書に記されていることなので、強制連行の事実は否定できるものではない。旧内務省文書や未払い賃金・郵便貯金に関する資料など日本政府が保管しているすべての文書を公開すべきだ」。
    強制連行を含む日本の朝鮮支配がもたらした悲劇は近代史の中で伝えられるべきであり、それらを欠く教科書は教科書として失格である。日本を嘘のまかり通る国にしてはいけない。事実を事実として受け止めること、そこから始まるのである。（「復命書」原文は内務省のＢ４版用箋２５枚にタイプ書き。外務省外交資料館に保存）。
    ↓
    まさに「動かぬ証拠」です。これで少なくとも「強制連行」については、被害者側（朝鮮人）だけではなく、加害者側（当時の日本の内務省）も認めていたことになります（両者の見解が一致している）。
    強制連行否定論者は、この第１級の資料をどのように扱うのでしょうか？　自分たちにとって都合が悪いことだから、また「無視」するのかな？

2005年 8月 6日（土）

• 『週刊金曜日（05/7/29）』より。
  • 国家は国民を守らない。だから、文化交流で戦争を防ぐ（P15、ジェームス三木「わたしと憲法　憲法は１００年後の世界への道しるべ」）
    ──敵視しないスタンスは脚本を書くようになって持たれたのですか。
    そうですね。３０歳を過ぎて脚本家となって、物事を相対的に見る癖がだんだんついてきたのだと思います。脚本というのは、小説と違って、Ａがこういえば、じゃあＢはこういう、という……あらゆる人たちの立場に立って書かなきゃいけない。そういう作業を繰り返していると、実際には、敵視すべきひと、というのは１人もいないことがわかる。「冬ソナ」が日本にきて、どんなに日本人の韓国に対する観方が変わったか、ということを考えるとね、戦争をしないで済む唯一の方法というのは、文化交流だと思いますね。
    ──１０歳ほどで日本の敗戦を経験された時は、どう思いましたか。
    ぼくたち日本人は、全部、殺されると思った。そういうふうに教わってきたの。でも実際には殺されなかった。「あれっ」て思った。国が戦争に敗れても、国民は残っていた。それとね、ぼくは「引き揚げ組」で、敗戦するまで満州国にいたのだけれど、敗戦すると、軍の関係者とかね、偉いひとは最初に日本に帰っちゃうんですよ。でもぼくたちのような一般庶民は放り出される。いざっていうとき、「国家は国民を守らない」ことがはっきりわかった。
    ↓
    戦争をしないで済む唯一の方法は、文化交流。これは良い言葉ですね。
    国の上層部が民衆レベルでの対立を煽ったとしても、ダマされないようにしましょう（ネット右翼の諸君は、簡単にダマされすぎ！）。
    民衆レベルでいがみ合う必要性は、まずありません。
    外国の優れた文化に触れたとき、自然に尊敬の念が出てくると思いますが、その気持ちを忘れずに。
    相手の立場を尊重することが、巡り巡って、自分を助けることになるのです（情けは人のためならず）。
    --
  • 文化の一元支配は、軍事的な一極支配を補完する危険な現象（P44、アラン・コルノー「ハリウッドの世界支配に対抗し、文化的多様性を守るフランス映画を撮る」）
    「各文化は独自性を有すると同時に、互いに影響し合うもの。しかし恐いのは、圧倒的な資金力を誇るハリウッド映画が全世界を支配するようになった結果、文化的な多様性が脅かされているという点です。そのためフランスでは、映画館のチケット料金の一部を製作費に回すシステムを設けたり、テレビ局に製作費を分担させるなど映画文化を守る手立てが講じられています」
    「これに対し米国は、彼ら特有の偽善ぶりを発揮して“保護主義”などと攻撃していますが、あの国で上映される映画のうち欧州の作品はわずか１％しかありません。海外の文化に関心が持てず、字幕も敬遠する国民のレベルの低さもあるのでしょうが、その一方で欧州の映画市場の８０％をハリウッドが牛耳っているのです」
    ↓
    自国の文化を発信するだけでは、「文化交流」とは言えませんね。
    映画に限らず、世界の文化を自国に紹介することの重要性を感じます。
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  • 相対的な視点で、論理的な考察を（P60、田崎博嗣「投書　教科書採択は戦後最大の危機」）
    ７月１３日の 『ニュース２３』（ＴＢＳ）を見て驚いた。扶桑社の歴史教科書採択に反対する東京の女性たちが署名活動をしていると、その後ろに右翼の街宣車が停まり、スピーカーから大声を上げて、その活動を誹謗中傷、「国賊」呼ばわりしているのだ。
    その右翼にも推奨される教科書が、これから続々と各地で採択されようとしている。以前は、採択に現場の教師の意見も反映された。しかし最近は、少数の教育委員の意向だけで採択が決まるように、なぜかルールが変更された地区が多いのだ。そのやり方は巧妙だ。
    彼らは何を目指しているのか。中国で反日デモが広がった時、保守の人たちはナショナリズムを煽る教科書が悪い、と批判した。しかし、中国・韓国を非難した同じ人が、日本のナショナリズムを煽る教科書は問題ないという。
    その教科書の中味は現憲法に批判的。しかし、公務員には憲法遵守義務がある。公立の教師が現憲法を批判する授業をして良いのだろうか。
    「日の丸・君が代」を尊重しない教師は処分するが、現憲法を批判する授業をする教師は処分しないのか。この点をついて裁判をおこしたり、教育委員会への異議申し立てをしてもいいのではないだろうか。
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    あらゆる分野で国際化している現代において、相対的な視点を持つことは必須です。
    上記の太線部について、保守・右翼の諸君は、論理的に弁明できるのかな？
    いや、きちんと論理的に説明できないから、上記のような嫌がらせをしたり、違反・不法行為 をしたりするのかもしれませんね。