●●●　2004年 10月の三大ニュース　●●●

（本来の執筆ペースに戻るまで）「三大ニュース」は休載します。
《今月は、新潟県中越地震などの大ニュースもあったのですが…》

2004年 10月 30日（土）

• イラク人死者１０万人　開戦以来（毎日新聞・朝刊 ）
  米 、イラクの大学の共同研究チームは28日、昨年３月のイラク戦争開戦後、米軍の武装ヘリコプター攻撃などによるイラク人の死者数が、10万人を超えたとの推計をまとめ、英医学誌ランセット（電子版）で発表した。死者数にはイラク兵も含まれているが、報告は死者の過半数が女性や子どもだったと指摘している。
  イラク戦争をめぐりイラク民間人死者数の科学的データが明らかになったのは初めて。
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  これまで、この日記ではイラク民間人死者数を「２〜３万人」としてきましたが、少なくともその２倍は確実なようです。
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• ビンラディン容疑者　米同時多発テロ犯行認める　ビデオ放映 新たな攻撃予告も（毎日新聞・夕刊）
  カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は29日深夜（日本時間30日未明）、国際テロ組織「アルカイダ」を率いるウサマ・ビンラディン容疑者のビデオ映像を放映した。この中で同容疑者は「82年のイスラエルのレバノン侵攻を米国が容認したことで、高層ビルを攻撃する考えが浮かんだ」と語り、米同時テロ（01年9月11日）の犯行を初めて明確に認めた。米大統領選直前に姿を現すことで、ブッシュ米大統領へのダメージを狙ったものとみられる。
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  （上記太線部について）それは違うでしょう。＞毎日新聞　
  今、ビンラディンが顔を出すことは、ブッシュ大統領に有利に働くはずです。特に、大がかりな情報操作下にある多くの米国民にとっては。
  ブッシュ大統領ら「ネオコン一味」の命令で動く国際テロ組織「アルカイダ」らしい、絶妙なタイミングの「ブッシュ応援演説」ですね。

2004年 10月 29日（金）

• 「強制でないこと望ましい」天皇陛下　国旗国歌で米長氏に（毎日新聞・朝刊）
  秋の園遊会で、東京都教育委員を務める将棋の米長邦雄永世棋聖（61）が卒業式などでの「日の丸・君が代」について発言し、宮内庁などによると、天皇陛下が「やはり、強制になるということでないことが望ましい」と話す場面があった。
  米長氏は招待者として出席。天皇陛下と将棋に関し話した後、都教育委員の仕事について「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させるというのが私の仕事でございます」と語った。これに対し、陛下が話したもので、米長氏も「もちろんそれはそうです」と答えた。
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  天皇は良く勉強していますね。そう、確かに都立高校の現場は「まるで戦前みたい」とか教職員本人の不起立を理由とした懲戒処分も行われている とか都教委の「君が代」起立強制にアムネスティ抗議 とか都教委の横暴さは事実ですからね。
  米長邦雄は天皇にほめられると思ったのでしょうが、逆に釘を刺された形になりました（笑）。
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• 『週刊金曜日（04/10/22）』より。
  • 空箱で家宅捜索を演出（P11、大谷明宏・宮崎学 対談「《特集・警察の裏金》 裏金を生む構造を斬る　ここまで腐った公金横領の実態」）
    ━━　警察は、（「北海道警察による公金横領」を報道した）『北海道新聞』の室蘭支局を家宅捜索しました。
    大谷　案の定嫌がらせをやりましたね。１３日に（北海道警察が組織的に作った１１億円もの）裏金を認めておいて、１５日でしょう。…
    宮崎　そう。警察は事前にテレビのカメラの位置まで全部セットしてくれて、時間を決めて家宅捜索をかけた。それで合計１４個の段ボール箱を運び出したのに、押収品目は若い衆の「当番表」がたった１枚だよ（笑い）。つまり紙切れ１枚を押収するのに、１４箱の段ボール箱をダーッと係官が運ぶわけです。
    ━━　あれ、空箱なんですか。何かテレビでは、すごい資料がどっさり出たように見えましたが。
    大谷　空箱ですよ。要するにセレモニーみたいなもんで、そんなことばかりやっている。しかも福岡の場合、それだけやって、押収品目を公開しなかったんだから。
    宮崎　マスコミはそんなことはどうでも良くて、映像がほしいだけ。警察に、空箱を運んでもらうセレモニーをやってもらってありがたがっている。そういう構造なんです。つまり日頃から使い、使われている関係性が、警察腐敗の温床なんだ。
    大谷　それで、裏金作りを追求できるわけないよ。
    宮崎　マスコミがちゃんとメディアとして機能していれば、もう少し事態は違ってきたのでは。『北海道新聞』『高知新聞』は、特異なケースじゃないかな。
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    こういう事実は、バラされると、かえって恥ずかしくないですか？＞北海道警察の諸君
    腐りきった警察の実態（＝ 組織的な巨額の裏金づくり）を報道した『北海道新聞』『高知新聞』 は立派ですね。というか、本来はこのレベルが標準で、他の新聞社が不甲斐ないだけですが…。
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  • 本宮ひろ志氏の連載マンガ「国が燃える」休載（P32、粟野仁雄「集英社が南京大虐殺まぼろし派に屈した!?」）
    出版大手の集英社（本社・東京都千代田区）のドル箱漫画家、本宮ひろ志氏が『週刊ヤングジャンプ』に連載中の大河ロマン劇画「国が燃える」が、南京大虐殺の表現について東京都の区議会議員（犬伏秀一 大田区議、松浦芳子 杉並区議）や右翼活動家から「歴史を歪曲している」と抗議された。集英社は１０月２８日発売号から休載することを決めた。同社は「抗議による休載ではない」としているが、抗議に屈した印象は否めない。
    問題にされたのは９月２２日発売号などの南京大虐殺の場面。「南京では、人類が絶対に忘れてはならない日本軍による愚行があった」という口上で、「百人斬り」を連想させる場面などが描かれる。残虐な現場を目の当たりにした主人公が義憤に駆られ、「これが…日本人の…正体か!!」と、うめく場面もある。基本的にフィクションだが、東京裁判のＡ級戦犯として処刑された松井石根陸軍大将ら、実在人物が登場する。
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    圧力に屈してしまって残念です。＞集英社
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  • 改憲論者のウソを見破る方法（P58、浅野健一「人権とメディア275・新聞週間社説　政府との二人三脚は『読売』だけか」）
    『東京新聞』の（１０月）１７日付社説「過ちを振り返る勇気」も的確だった。社説は、憲法改定問題を取り上げ、「国民の間でも『憲法は古い』『役に立たない』という意識が支配的のように見えます」と指摘してこう論じた。
    「ただ、役立たないという結論は役立てる努力をしたうえで得られたのでしょうか。政治家は憲法９条の精神で国際紛争を解決しようとしたでしょうか。改憲して環境権を盛り込もうと主張する人は、環境を守るどんな努力をしてきたのでしょう」「憲法を生かそう、役立たせようとしなかった人ほど役立たないと言っているように見えます」。
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    「改憲して環境権を盛り込もうと主張する人は、環境を守るどんな努力をしてきたのでしょう」これは名言ですね。

2004年 10月 27日（水）

• イラクで日本人人質　福岡の24歳男性　アルカイダ系 殺害猶予48時間　自衛隊撤退要求（毎日新聞・夕刊）
  小泉純一郎首相は27日午前、自衛隊撤退の要求について、視察先の兵庫県内で記者団に、男性の早期救出に全力を挙げるとともに、自衛隊を撤退させない方針を強調した。
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  今となっては遅いですが、米調査団最終報告によってイラクの大量破壊兵器保有が否定された時こそが、憲法違反の自衛隊派兵に終止符を打つべき時でした。
  小泉首相が今回、「日本国民の命より、（大義なき）自衛隊派兵の継続の方が大切である」と表明した時点で、今後長期にわたり自衛隊を撤退させるタイミングを失ってしまったことになります。
  小泉首相の言う「人質の救出に全力を尽くす」（毎日新聞・夕刊）という言葉が空々しく聞こえます。実行が伴わなくても、口先だけ（＝言葉だけ）「全力を尽くす」と言っていれば国民は騙せる、と判断したのでしょう。
  そもそも、「小泉自民党公明党政権がイラクへの自衛隊派兵を強行したから、日本人が人質にされ生命の危機にあるのだ」ということをここで再確認しておきます。

2004年 10月 26日（火）

• 『週刊金曜日（04/10/15）』より。
  • 明快な見立てで米国社会を分析（P42、巖谷鷲郎「書評『世界の明日が決する日』（カレル・ヴァン・ウォルフレン 著、川上純子訳、角川書店）」）
    ブッシュ政権は人々を“無知”に追いやった。著者は政府のメディア戦略を始め、さまざまな実態を検証する。しかし、ここで重要なのは、米国が以前から啓蒙主義の圧殺をやってきたと指摘するくだり。ものを知るとか考えるとかいうことは「左派の拡大」につながるとされ、いわゆる衆愚政治的傾向が国を覆ってきたと訴える。ブッシュ政権はそれを、大がかりな情報操作と恫喝という極端なやり方で進めてきたのだった。
    「アメリカ国民は今や、他国民では考えられないような無知に陥っている」のひと言は読み手の目を釘付けにする。
    啓蒙主義を断ち切った典型が「テロに対する戦争」というウソだ。多くの米国民がその幻想に惑わされたのは事実。
    ↓
    権力者は、自分の地位を守るために、国民を無知なままにしておく。
    権力者は、自分の地位をおびやかしかねない知識や知恵を身につけた（＝賢い）一部の国民には、「左翼」等とレッテルを貼って、攻撃する（マスコミもこれに同調する）。
    アメリカに限った話ではありませんね。

2004年 10月 16日（土）

• 最高裁、行政責任認める　水俣病関西訴訟　「規制怠り被害拡大」国の認定基準否定（毎日新聞・朝刊）
  熊本、鹿児島両県の不知火海沿岸から関西に移住した水俣病の未認定患者45人が国と熊本県に約１億8000万円の賠償を求めた「水俣病関西訴訟」の上告審判決が15日、最高裁第２小法廷であった。北川弘治裁判長は「国と県が（原因企業の）チッソに対する排水規制を怠り、被害を拡大させたのは明らかだ」と行政責任を認定し、37人への賠償7150万円を命じた。水俣病を含む４大公害訴訟で、行政責任をめぐる最高裁判断は初めて。1956年の公式発見から48年を経て国と県の敗訴が確定した。
  ↓
  この当然の判決が確定するまでに、公式発見から４８年（ほぼ半世紀）。当初５９人だった原告のうち２３人は「この日」を待たずに他界した（毎日新聞）ということの意味を、じっくり考えた方が良い。この間、政府は我々の税金を使って、責任逃れに徹していた。

2004年 10月 15日（金）

• 『週刊金曜日（04/10/8）』より。
  • ウソがバレながら、平気でイラク戦争を正当化しているブッシュ大統領 と小泉純一郎首相（P18-、成澤宗男「再選狙いでウソを連発するブッシュの愚」）
    昨年６月に行われたハリス社の世論調査では４８％の有権者が「フセインとアルカイダの関係が立証された」と考えており、「大量破壊兵器」についても３５％が「すでに見つかった」と回答しているが、政府のウソがすべてバレながら、イラク戦争に関する米国有権者の意識がさほど好転していないのが現状だ。
    ブッシュ大統領がウソを言い続けるのも、こうした背景があるからだが、加えてブッシュ陣営の選挙手腕が巧みなのも見逃せない。選挙参謀としてキャンペーンを取り仕切っている切れ者のＣ・ロブ大統領上級顧問の作戦は、
    （１）政策批判にはまともに反論せず、都合の良い「好材料」だけを何度も何度も繰り返す
    （２）自分に不利な情報やミスは絶対に認めない
    （３）イラク戦争を「対テロ戦争」とダブらせ、戦時の「強い」大統領というイメージだけをアピールする
    ----というもの。
    ↓
    なあんだ。（１）〜（３）の「作戦」って、小泉首相と、ほぼ同じじゃないですか（笑）。
    さすが「親友」だけあって、ノウハウを共有している、というわけですね。
    （ウソがバレようが）いつまでも「泥船」に乗り続ける、という点でも、仲良く一緒です。
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  • 「9・11」で全指揮をとったとされるチェイニー副大統領が「9・11」の謎のカギを握っている（P22-、成澤宗男「闇に包まれた演習［9・11事件の謎 Part2 vol.3］」）
    昨年5月23日 、ワシントンで開かれた「9・11テロに関する独立調査委員会」の公聴会に日系のノーマン・ミネタ米運輸長官が出席し、「9・11」 当日、非常事態に政府高官が指揮をとるホワイトハウス地下の「緊急作戦センター」にいた際の様子を証言した。その中で、ディック・チェイニー副大統領の奇妙な言動に触れている。
    「旅客機が国防総省に接近している間に、１人の若い男性が入ってきて、副大統領に『飛行機は５０マイルに接近』、『飛行機は３０マイルに接近』と言いました。さらに飛行機が下降し始めると、『飛行機は１０マイルに接近。命令はまだそのままでしょうか』と言ったのです。すると副大統領は振り向いて、こう言いました。『当たり前だ。そのままだよ。何か別の命令を聞いたとでもいうのか』----と」
    長官自身は「命令」の内容は知らないと証言しているが、事実であれば重大だ。「１０マイル」（約16km）は、アメリカン航空７７便のボーイング757とされる、同省に激突した飛行物体の当時のスピードからして危機的距離だが、それでも「５０マイル」以前の時点と変わらない「命令」とは何なのか。証言に注目したジャーナリストのアレックス・ジョーンズ氏は、それを「撃墜せず、目標を探させておけという内容だった」と断定している。…
    前クリントン政権時代の２０００年９月、ブッシュ政権を牛耳っているネオコンが在野時代に結成したシンクタンク「米国新世紀プロジェクト」は、圧倒的軍事力による世界一極支配を目的とする『米国防衛の再構築』と題した文書を発表。そこでは目的実現のために、今後「真珠湾攻撃のような破局的、かつ何かを誘発するような事件」が必要であると強調されていた。「9・11」がその後、「対テロ戦争」と称して、アフガニスタンとイラクへの侵略の端緒となったことを考えれば、この文書の持つ意味は軽くない。そしてこの執筆者の１人がチェイニー現副大統領であった。
    ↓
    めちゃくちゃ怪しいですね、チェイニー副大統領。
    「真珠湾攻撃のような破局的、かつ何かを誘発するような事件」が必要、ですか。たしかに、チェイニー副大統領らの書いたシナリオ（『米国防衛の再構築』）通りに「9・11」が起きましたね。
    しかも、当日 一部でハイジャックを想定し、複数の空軍演習が展開されていた点も見逃せない（成澤宗男氏）とのこと。現場の判断を混乱させて、「激突作戦」を確実に遂行するのが目的でしょう。
    本当に、ズバリ「９１１は米政府（ネオコン一味）が自ら計画し実行し証拠を隠滅した」が正解に思えてきました。
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  • 紛争を話し合いで解決する姿勢を学校教育で根づかせている 平和憲法の国・コスタリカ（P26、伊藤千尋「コスタリカ・大統領のイラク戦争支持に違憲判決をくだした平和の伝統」）
    米ホワイトハウスのホームページに、イラク戦争を支持する国のリストが載っている。ここから９月１７日、中米コスタリカの名が消えた。
    米国がイラク攻撃を開始した日、コスタリカ大統領は「テロとの戦いに中立はない」と米国支持を表明した。これに対してコスタリカの最高裁は「イラク戦争への支持は憲法、国連、国際人権規約に違反して無効」という判決を下し、「コスタリカの名を米国のリストから削除する措置をとれ」と政府にきっぱり命じたのだ。
    最初に違憲の訴えを起こしたのは大学４年のロベルト・サモラ君だ。「民主主義を尊重し戦争しないのがコスタリカの基本姿勢だ。国民の誇りを傷つけられた」と怒り、１年以上１５日かけて練り上げた提訴文を４月、最高裁に出した。弁護士会と護民官が続いて違憲を提訴。そして公聴会からわずか１カ月後、最高裁は違憲判決を下したのだ。
    コスタリカの憲法は常備軍を禁止し「（戦争の）審議、声明、宣言もできない」と定める。２０００人が死んだ内戦後の１９４９年、軍をなくすことが平和への道と考え、自らの手で平和憲法をつくった。警察官のほかは２０００人の国境警備隊がいるだけで、戦車も戦闘機もない。地域の集団安全保障条約に加盟しており、過去に侵略されそうになったときは、周囲の中南米諸国が支援部隊を出してくれた。…
    憲法で軍隊をなくしたときに掲げたスローガンが「兵士の数だけ教師を」だ。軍事費をそっくり教育費に変えた。以来、半世紀以上にわたり国家予算の約３分の１が教育費だ。非武装宣言を出したモンヘ元大統領を首都の自宅に訪ねると「発展のために教育が大切か、軍事が大切か。私たちは教育を選んだ」と語った。
    ↓
    同じ平和憲法を持つ日本の最高裁も 「イラク戦争への支持は憲法、国連、国際人権規約に違反して無効」という判決を下せたら良いですね。
    現実の日本は、憲法に違反して自衛隊をイラクへ派兵していますが。
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  • 「彼ら（人質事件の犯人）は普通の人々です」（P39、巖谷鷲郎「書評『戦争と平和』（高遠菜穂子 著、講談社）」）
    家族をアメリカ軍に殺され生きはぐれた子どもたちの世話をしてきた著者は、ときに怒りで身を震わせることもある。たとえば、武装グループに強制されて泣き叫んだ模様のビデオ画像が世界中に流されたと知った瞬間のこと。著者は“武装グループの細身の男”に食って掛かるのだ。「あんたたちはバカじゃないのか!? あんな恐ろしいビデオを見たら、日本人はイラク人みんなが恐ろしい人だと思うじゃないか！」。継いで著者は「流れるのは爆破テロと自爆テロばっかりなんだ」と、日本におけるイラク報道の実態を説明。そんな恐ろしいビデオを見せられたら「私の家族もあなたたちを恨むかもしれないじゃないか！」というわけだ。言語は英語とアラビア語、見事だ。
    さらに、スーツケースの中身が盗まれていたと知った著者はさらに怒鳴りつける。「あんたら、何がムジャヒディン（聖戦士）じゃ！　ただのアリババ（泥棒）じゃないか！」。男たちはむっつりと黙り込み、落ち込んでしまう。彼らが「（米軍と戦う以外）他の道なんて探せないよ」とぽつりと述べる情景は読み手の胸を打つ。
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    それでも、「イラク人のことを嫌いになれないんです」という高遠菜穂子さん。人間的なスケールの大きさを感じます。
    それに比べて、日米の政治家連中の貧相なこと（精神が）。

2004年 10月 14日（木）

• イラク戦争開戦支持　首相「過ちではない」　衆院代表質問（毎日新聞・朝刊）
  国会は13日の衆院本会議で、各党による代表質問を行った。小泉純一郎首相は米調査団最終報告がイラクの大量破壊兵器保有を否定し開戦根拠が揺らいでいるイラク戦争について「イラクが12年にわたり国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとしなかった」と述べ開戦の正当性に改めて言及、「イラクへの武力行使の支持が過ちだったとの指摘はあたらない」と強調した。民主党の岡田克也代表が「（イラク戦争支持が）重大な過ちであったと認め国民及びイラク国民に対して謝罪すべきだ」と迫ったのに答えた。…
  イラク開戦支持について岡田氏は「リーダーに重要なことは、自らの過りを率直に認めること」と述べ、イラク戦争支持の大義名分となった大量破壊兵器が未発見に終わった問題で首相の責任に的を絞った。
  ↓
  民主党の岡田代表の発言の中の「イラク国民に対して謝罪すべき」という観点は重要ですね。米英がウソの理由で始めたイラク戦争を日本が支持し、結果的に２〜３万人のイラク一般市民を殺してしまいました。日本にも責任はあります。2003年 12月 11日の毎日新聞・夕刊で、参院議員の田英夫氏が
  小泉さんが本当にブッシュ大統領の親友なら、「君のやっていることは間違っている」と率直に言うことが日米同盟を大事にすることだ。国連を無視、軽視しているアメリカを支持することが国際協調なのか」
  と述べていますが、もっと早期に「親友」である小泉首相がブッシュ大統領に対して「君のやっていることは間違っている」と主張できていれば、イラク一般市民の犠牲者はもっと少なかったことでしょう。現実は逆に「君のやっていることを支持する」ですから、イラク一般市民の犠牲者は現在も増え続けています。
  すでに忘れている人もいるようですが、歴史的事実として、アメリカも国連を無視してイラクへの侵略を開始しましたから、もし小泉首相が「国連重視」の姿勢を貫くつもりならば、イラク同様にアメリカも非難すべきです。

2004年 10月 9日（土）

• ブッシュ大統領　イラク開戦 正当化　第２回ＴＶ討論　最終報告書巡り激論（毎日新聞・夕刊）
  米調査団がイラク戦争開戦時に大量破壊兵器の備蓄はなかったとする最終報告書を６日に提出し、開戦の根拠が揺らぐなか、共和党のブッシュ大統領（58）はそれでもイラク戦争を正当化。民主党大統領候補ケリー上院議員（60）は、誤った戦争と批判し、同戦争の是非をめぐり対決した。…
  最終報告書がフセイン元大統領には大量破壊兵器の再保有の意図はあったが、備蓄も開発・生産計画もなかったと結論づけたことについて、ブッシュ氏は、フセイン大統領は同兵器の知識を「国際テロ組織アルカイダに渡すこともできた」との認識を表明。フセイン元大統領は「他に類をみない脅威」だと強調し、イラク戦争によって「世界はより安全になった」と改めて訴えた。
  これに対しケリー氏は、大量破壊兵器の「差し迫った脅威」のないまま強行した戦争を批判。「世界はさらに危険になった。ブッシュ大統領が正しい判断をしなかったからだ」と反論し、イラク再建について「我々は成功しなければならない。私にはより良い計画がある」と述べた。
  ↓
  民主党のケリー大統領候補は「反戦」という立場ではありません（その証拠に、兵力をイラクではなく、「アルカイダ潰し」のためアフガニスタンへ向けようとしている）が、共和党のブッシュ大統領よりはマシと思われます。
  フセイン大統領はイラク国内に対しては酷い政治をしましたが、米英がイラク侵略を開始した２００３年３月の時点で、他国に対して脅威となっていましたか？　「他国に対する脅威」としては、米国の方がはるかに危険でしょう（すぐに軍隊を外国へ派兵して殺人の限りを尽くす）。つまり、ブッシュ大統領こそが「他に類をみない脅威」と言えます。

2004年 10月 8日（金）

• 『週刊金曜日（04/10/1）』より。
  • 政府は知っていた（P18-、成澤宗男「ＦＢＩ翻訳官が目にした極秘メモ［9・11事件の謎 Part2 vol.2］」）
    さらに今年５月には、「フェニックス・メモ」と呼ばれる資料が存在することが明らかとなり、話題を呼んだ。ＦＢＩ捜査官のケン・ウィリアムズ氏が２００１年７月に、アリゾナ州のフェニックスからＦＢＩに送付した秘密捜査情報で、すでにこの時点で「オサマ・ビンラディンが航空学校に入学させるため、配下を学生として米国に送った」という事実がキャッチされている。のみならず、ドイツやロシア、イギリス、エジプトなどをはじめ、さらにはイランまでも含む各国諜報機関からもこの種の警告が頻繁に寄せられていた。特に詳しかったのはイスラエルのモサドからの情報で、早くからＣＩＡに対し、後に「実行犯」と発表された人物が含まれるリストまで提出している。
    ところがこれまでのあらゆる情報を総合すると、航空機のハイジャック対策をはじめ、米国政府が市民の保護を対象にした何らかの予防策を講じた形跡は皆無である。その一方で、ジョン・アシュクロフト司法長官が２００１年７月２６日、さらに国防総省の複数の高官が９月１０日、理由不明のまま突如民間航空機の搭乗をキャンセルするという不可思議な事態が相次ぎ、こうした事前警告と関連があるのではないかと疑う声が事件後に出たのも記憶に新しい。…
    なお、（コンドリーザ・）ライス（国家安全保障問題担当大統領）補佐官については、「９・１１」当日の奇妙な行動が問題になっている。同補佐官は以前、サンフランシスコにあるスタンフォード大学の学務担当副総長だったが、その関係から、１９９５年から２００３年までサンフランシスコの名物市長だったウィリー・ブラウン氏と友人同士だった。
    ところが事件当日の朝、旅客機で旅行を計画していたブラウン氏に対し、同補佐官は直接「飛行機に乗ってはいけない」と電話で警告していた。ブラウン氏が事件後にラジオ番組で明らかにして知られることになったが、地元の『サンフランシスコ・クロニクル』紙も、この件については何度か報道している。…
    一昨年６月、現職の空軍将校が異例にもブッシュ政権の対応を地方紙で真っ向から批判し、反響を呼んだことがある。発言の主は、カリフォルニア州モントレー軍語学学校に勤務するスティーブ・バトラー中佐だった。
    「もちろん、ブッシュは事前に攻撃を知っていた。彼が国民に何の警告もしなかったのは、戦争を必要としていたからだ」
    ↓
    米国の政府要人（複数名）は「９・１１」を事前に知っていた、と考えるのが妥当なようですね。
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  • 裏切られたサマワ市民（P22-、前川光生「サマワ市民を失望させる日本の復興支援」）
    市民は苛立ちを隠さない。ある商店主は「電気は１時間も続かない。水も悪い状況だ。たくさんの援助は必要ない。電気と水だけでいい」と訴える。５月、友好のシンボルとして日本から鯉のぼり１５０本が寄贈された。市民に見える日本の支援は、鯉のぼりだけだった。商店主は語る。「実際には鯉のぼりをくれただけ。自衛隊は私たちと『友だち』と強調するが、そう思えるものが何もない」
    サマワ市民の間で急速に自衛隊への失望感が広がっていった背景には、こうした現実がある。
    ↓
    武器を持った外国の兵隊（しかも、侵略軍である米軍の仲間）が来て、『友だち』であることを強調する ---- それだけで、もう充分に怪しいですね。
    現在自衛隊がやっていることは、（現地人を無視した）単なる自己満足でしかありません。しかも、これ全部、私たちの税金を使っています。
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• 不正が横行するアメリカ大統領選挙（田中宇の国際ニュース解説、2004年10月8日）
  タッチスクリーン方式の電子投票機に重大な欠陥があり、不正が行えてしまうということは、アメリカでは以前から問題になっている。私も昨年８月に「アメリカで大規模な選挙不正が行われている？」という記事を書いた。だが、その後も問題は改善されないまま、１１月２日の大統領選挙では投票者の３分の１近くが電子投票機を使って投票することになっている。
  ↓
  電子投票だと証拠が残らないので、 不正をしたい共和党陣営（ブッシュ側）には好都合ですね。
  そのほか、「黒人の投票を妨害する」など、露骨な人種差別も行われているようです。

2004年 10月 6日（水）

• 「旧フセイン政権とアルカイダ結びつく証拠無し」一転「質問誤解した」と撤回　米国防長官発言（毎日新聞・朝刊）
  ラムズフェルド米国防長官は４日夜、緊急声明を出し、同日午後に「旧フセイン・イラク政権とアルカイダを結びつける確かな証拠はない」と述べた自らの発言を「質問を誤解した」と撤回した。当初は、イラク戦争開戦の根拠の１つとされた問題を早期決着させ、米大統領選への影響を最小限にとどめたい思惑とみられていた。だが、各メディアの一斉報道後、あまりの波紋に再考を迫られたとみられる。…
  同長官の「失態」は、民主党のケリー大統領候補によるイラク問題をめぐる発言の「揺れ」を批判しているブッシュ陣営にとって、痛手となりそうだ。
  ↓
  おやおや、苦しい弁明ですね…（笑）。
  はじめから、 旧フセイン政権とアルカイダは関係ない（むしろ敵対する関係にあった）ということは分かっていたはずですが、イラク侵略を正当化するために、無理やり「９１１」と結びつける必要があった、というわけですね。
  「侵略戦争を始めるときには、まず政府がウソをつく」という法則があるようです。日本も例外ではありません。